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夜、祐希はソファで読書中。
その隣に、膝枕状態で寝転がる藍。
……が。
「なぁ、祐希さん。あとどれぐらい読むん?」
「あと30ページくらい」
「30……長い〜〜〜」
「邪魔すんな」
「ほんならさ、ページめくるたびに“藍”って呼んでや?」
「……は?」
「そのたびにかまってくれたら、大人しくしとく」
「ほんっとにお前は……」
呆れながらも、祐希はページをめくりながら小さく言う。
「……藍」
「はい♡かまわれた〜」
「……次のページいくぞ」
「はいっ♡」
1ページ1藍。
少しずつ藍の甘えた笑顔が祐希の心に染み込んでいた。
読み終わった本をパタンと閉じて、祐希は深く息を吐いた。
「……30ページも“藍”って呼んだんだぞ」
「えへへ、贅沢やったわ〜」
膝の上でごろりと寝返りを打つ藍。
「俺、今日めっちゃ幸せや」
「……単純だな」
「単純でええやん。祐希さんが呼んでくれる“藍”は特別やねん」
「……」
そんなふうに真顔で言われると、こっちまで変に照れくさい。
「なぁ、次はページめくるたびにハグでもええで?」
「……は? お前、どんだけ構ってほしいんだよ」
「一生分」
「……バカ」
呆れながらも、祐希は本を置き、藍の頭を抱き寄せた。
藍は目を細めて、小さく笑った。
「はい、構われた〜♡」