「何?話って…」
彼女は不思議そうに首を傾げながら僕を見つめる。
「…あのさ」
彼女はじっと僕を見つめて言葉の続きを待っている。僕はふぅーっと深く息を吐いてから彼女の目を見る。
「なんで…雨降るってわかったの?」
彼女は驚いたように目を大きく開いてから狂ったように笑った。
「あははっ!真剣な顔して何言われるかと思った!」
彼女は何度も思い出してあははっと可笑しそうに笑った。
「なんで笑うんだよ。どこのアプリ見ても雨だなんて書いてなかった!」
僕はつい興奮して声を荒らげてしまった。彼女は少し躊躇してから微笑みながら言った。
「私の予感は当たるの。」
自慢げにふふんと鼻を鳴らしながら言うが、僕には訳が分からなかった。
「は、はぁ、?」
とりあえず、もう聞かないことにしよう。
「それじゃあ、また。」
僕は疲労のため息をついて彼女の、星乃明花の病室を出た。
自分の病室の扉をガラガラっと開け、車椅子から身を離し、ベットにドサッと寝転ぶ。
(予感は当たる…か。)
僕の予感も当ててくれればいいのに。そう思いながら僕は目を閉じる。
なんだ…なんだなんだ…この真っ暗な空間は…ただ、何も無い。真っ暗な道が続いている。
(これは…どこなんだ?)
誰か答えてくれ。教えてくれ。真っ暗なところは怖い。
(あれ、なんか光が…)
僕はその光に向かって走り出した。
「明…守くん」
僕はその声にばっと後ろを振り向く。その声は彼女に似ていたから。
「え…星乃さん…?」
血まみれになっている彼女の肩をそっと抱く。辺りを見回すと、ここは信号交差点のようだ。
(もしかして彼女は轢かれたのか…?)
「さようなら…明守蒼太…くん」
「星乃さんっ!!」
そして僕は、夢から覚めた。