テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「なんだよ…今の夢…」
僕の口から言葉は溢れていた。最初は混乱しているだけだったが、今考えれば現実っぽかった。あの声、あの感触、全てが今も残っている。いつも夢で起こったものならすぐに忘れてしまうのに。
その時、僕の病室の戸がガラガラッと音を鳴らした。
「明守くーん!おっはよ〜」
その声に僕は驚いてしまう。あの夢を見てしまったから少し関わるのが難しくなった。
「あ…おはよう…星乃さん」
「…?元気ないけど、体調悪い?」
「あ、いや大丈夫」
慌てて付け足したが、怪しまれていることは確かだ。その時、慌てた反動で足が傷んだ。
「い…っ、」
彼女は慌てて駆け寄った。
「大丈夫!?」
「あ、ああ、大丈夫。気にしないで。」
彼女は心配そうな目でじっと僕を見つめる。
「足…いつ動くのかな…笑」
雰囲気を悪くしてはいけないと思い、僕は笑いながら言うが彼女にはそれは通用しなかった。
ずっと黙っていた彼女が口を開いた。
「…君の足は…必ず治るよ。3ヶ月先だけど。」
「…え?3ヶ月後に治るの?」
「ぁ…ま、まぁ…」
なんと僕の足は3ヶ月後に治るらしい。でも、彼女なんかにそれが分かるわけない。医者じゃあるまいし。
でも、彼女の言っていることが完全に”ウソ”だとは思わなかった。いや、思えなかった。僕だって足が治ることを信じたい。それに…彼女は”雨”を当てている。この前のはまぐれだと信じたいが、これで当てたら彼女は何者なのであろうか。
「…ねぇ、明守くん。」
沈黙を破って先に口を開いたのは彼女だった。僕は思わずびっくりする。
「うん、何?」
彼女は病室から外を眺めながら言葉を続ける。
「…今日の夜、二人で抜け出そうよ。」
「…え?病院から…?」
「うん。君と二人で。」
意外な提案に僕は驚いた。病院から出ていいのだろうか。彼女は病気、僕は足が動かないのに。
「準備が出来たらそっちに行くね。」
僕は戸惑いながら答えを探す。悩んだ末、僕からでた答えは_
「…うん、待ってる。」
これが僕の答えであり、君と僕の短い旅の始まりだ。