テラーノベル
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「…は!?」
「何してんだ!!!」
デアモントが叫び、咄嗟にピッケルを取り出すと、1回はプリュートの殺意を防ぐことができる。
だが、それでデアモントは腰を抜かし、動けなくなる。
タヒぬまいと、必死に上半身を動かし、何度も回避をした。
_だがそれも無駄だ、もうデアモントは、立ち上がれないのだから。
縋るような、だが怒りも混じる目がプリュートに向けられる。
メルリウスは叫んだ。
「プリュート!!!?急に、急にどうしたの!?ねぇ!!」
メルリウスの叫び声も最早、プリュートには届かない。
今、泣き腫らしているプリュートは眼前のデアモントを、必死な目をして見つめていた。
足が擦れようと必死に後ずさりをし、デアモントは逃げることだけを考え、細道に戻ろうとする。
(…そしたら岩を落とし…)
(たら…)
グチャァッ!!!
そんな音が、洞窟に、響き渡った。
「…あ゛……」
バタンッ!!と、思いっきりデアモントは頭を打ち付け、ヘルメットの後頭部あたりの箇所が思いっきり、穴が空くように割れた。
破片が、思いっきり後ろの方へ、吹き飛んでいく。
突然すぎるこの状況に、彼も冷静では居られなかった__
びちゃり。
ベテランである彼の鮮血が飛び散り、メルリウスの顔面に、付着する。
「ごめん、ごめん、ごめぇっ……」
確かに、デアモントにそれを向けて、何度も、何度も何度も、先を腹に突き刺し続けている。
ぐちゃ、ぐちゃ
ぐちゃ…
何度も飛び散る赤黒い血は、一体を瞬く間に鉄錆の臭いに変えて、メルリウスはその残酷すぎた光景に膝をつき、吐瀉物が喉まで出かかってしまいそうになる。
「…ぇ、ぇ?」
「ねぇ、どうして?プリュート、どうして?」
遺物以外のことでは極端なほど冷静な彼女ですら、ひどく動揺してしまう。
それは全身を寒気でも襲ったかのように止まらない、動けない。
プリュートは13回ほどデアモントにピッケルを叩きつけたのち、メルリウスの方も、ギロリと見る。
「あ、あぁ、なんで?なんで?」
メルリウスは震え声で、必死に、必死に訴えかけた。
だが、もうメルリウスなぞ、眼中になかった。
コン、コン_と、プリュートの足音がゆっくり、ゆっくりとこちらに向かってくる。
「ごめん、ごめんなさい、俺、ここにいれない」
「…俺、怖いよ、ここをいつか、いつか、こうしないと、いけなかった」
どんどん近づき、メルリウスは後ずさりをする。
だがそれも無駄だ、ブリュートは独白をしながら、ゆっくりと、だが確実に_こちらを視ていた。
「…なん、で?…なんで?なんで俺は、こんな感情を持っちゃった? 」
メルリウスを見るプリュートの目は血走っていた、だが大粒の涙を絶えず流していた。
「…ほんとうは、本当はこんなことしたくなかった…!!!」
プリュートは、今までかつてないほどの声で叫んだ。
「嫌だ嫌だ嫌だ!!俺は何を言ってるんだ!!」
「ごめん、めるりうす、ごめん」
プリュートはピッケルを再度持ち上げる。
「ねぇ、待って、プリュート、今なら、引き返せるよ、だか_」
それを次は_メルリウスに向けた。
「いや、ぁあ…っ!」
「きゃぁあああああっ!!!!!!」
メルリウスは叫んだ。
「プリュート!!!ごめんなさい!!!わた、わたしが何かしたなら、謝る、だか…」
腹に、ピッケルが刺さっていた。
命乞いも虚しく、メルリウスに襲ったのは、他でもない自分から、赤黒い液体が流れているという事実
「おえ…っげほ、げほ…!!」
メルリウスは、思いっきり血を吐いて、それがべったりと自身の服に。
そして、プリュートの顔を大きく覆うように付着する。
「なんで…?なんで、なんで?プリュート」
血塗れのプリュートに問いかける、だがそれに答えることはない。
「……もういやだ…」
「……これ以上みんなといたら、ここ…去れないよ……」
プリュートは6回刺したのち、そんな弱音を吐露する。
「俺は…おれは…!!」
「ぅ、うぅ、うっ…」
嗚咽が漏れ出し、かなしみで吐いてしまいそうになる。
「…どうずれば…!! 」
微かな意識のなか、メルリウスは回らぬ頭で必死に考えた。
この状況を、メテヲたちに知らせる方法を。
そして、2人だけでも助かる方法を。
「…いぶつは… 」
(…だめ、だ…もう、とりだすちからが、ない)
視界が明滅し、感覚が薄れる
「…か、みさ…ま…たすけ…」
はるか空の希望に手を伸ばして、そのまま、力尽きると同時に意識を落としてしまう。
「はぁっ…はぁっはぁっ…はぁっ…」
血で塗れたプリュートは、大粒の涙を流しながらその場にへたりこんでしまう。
「…おぇ、げほっげほ……!!」
「…はぁっ…」
「ごめん、なさい…」
今の自分が心底醜く、心底気持ち悪いと自覚する。
_いや、最初からしていたはずだ、それなのに忘れていたんだ。
____
「プリュート。」
「今回の任務を完遂できたら、莫大な報酬をやるよ。」
「…このチームに潜入してこい。」
「はい、分かりました。」
「精一杯頑張ります。」
「…出来なかったらどうなるか、わかってるよな?」
「お前を1番苦しいタヒに方で…」
「わ、分かってます!!」
___
「あー……よろしくっすー!」
「あぁ、よろしくな。」
「よろしくね〜!」
「よろしく。」
____
あんなにも賑やかだった洞窟の広い空間は、プリュートの微かな泣き声以外、何も残っていない。
洞窟のゴオォという音が全てをかき消し、何も無かったかのように。
それを心配する声もない、2人分の血が、プリュートを紅に染め、穢れていく。
プリュートが何度もピッケルを叩きつけた場所からはポロポロと岩が崩れる音が響く。
プリュートはそれに反応することなく、ただ無の表情で、タヒ体となった2人を、ぼうっと見つめている。
もはや、何も言葉を出すことはなかった。
「…こ、こっちです!!こっちからメルリウスさんの悲鳴…」
「が……」
プリュートの後ろから、疲弊した様子のユピテとメテヲが合流した。
ユピテが、走り出したのだ。
遺物など興味もないかのように、微かな音が、ユピテの”嫌な予感”を刺激した。
「ぷ、リュート?」
メテヲは、震え声で聞く。
_人が2人、確かに倒れている。
ヘルメットのライトでわかる、見た事のある顔
だがそれはひどく冷たく、何の感情も全く宿ってはいない。
眠っているのか?
そう錯覚していないと、壊れてしまう気がした。
プリュートが、ゆっくりと振り返る。
この時間が、長く長く感じる
ユピテは既に崩れ落ちていた。
(…?)
メテヲよりも先に、現状を受け入れていたのだろう、知ってしまったのだろう。
(…やめて…)
振り返ったプリュートは_
「……ごめ、んなさ」
全身血に塗れ、穢れきってしまっていた。
「あ、あ、あ、ぁ」
「プリュート?お前、うそ、」
「……プリュートさん…?なんで、うそ、ですよね?」
問いかけるユピテをよそに、メテヲは何も喋ることは無い。
その眼には、炎が宿っていた。
「プリュート…っ殺したの?」
「ねぇ……どうして?」
今まで聞いた中で、1番低く、暗い声だった。
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