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冬望からリクエストが来たので書こうということです
文ストのbeastです
太中です
下手注意、気をつけましょう
首領が死んだ
俺はポートマフィアの建物の中に居た
夜の暗い空の上、あの人は空を舞っていた
どこまでも続く闇の中で黒い外套がはためいていた
俺が殺すって…決めていたのに…
もう”彼奴”を敬う気もない
あとから側に居た虎の野郎と探偵社の野郎に聞いたが
云えないの一点張りで何も云わなかった
「まあ…やっと居なくなったのか」
彼奴は時々遠くを見ていた
まるで居ない人を想うかのように
ま、思い人なんか気にならねぇけどな
「お、此の酒ほしかったやつ…」
酒を買ったはいいがこれからを如何しようか
俺が変わりに首領にでもなってポートマフィアを再建しようか
きっと何人かはついてきてくれるだろう
そんな先の見えないくらい道のりを考えながら歩く
こんな道を歩いて来たのかと思うと矢っ張り流石だと思う
ぼぅっとしていると何か声が聞こえた
「くぅん……」
動物…犬か…此方から声がしたけど、路地裏…
何回も鳴き声が聞こえる
「うおっ…お前…」
其処に居たのは如何にも捨て犬のような子犬だった
痩せ細り、助けを求めるかのような
其れ共、もう生きていくことを諦めたかのような
でも、此奴を見た瞬間思ったことがある
「彼奴みたいだなっw」
何処となくそう思った
一度目があったら不思議で愛着が湧いてきた
「うちくるか?お前に似たやつが居なくなっちまってよ」
すると先刻まで弱々しく鳴いていたのが嘘みたいに
元気にワンッって鳴き出した
そいつを持って家までの帰り道、色々なことを話した
ポートマフィアに入るまでの話
首領の右腕にまで上り詰めたこと
そいつが今日飛び降りちまったこと
「そうだ、名前決めねぇとな」
といってもなかなか出てこない
此奴は似ている
あの〝太宰治〟に
かなり悩んでいると此方を診て人吠えした
“ぱっと浮かんだ名前で良いんだよ”
犬が喋るはずがない
だから俺の空耳に過ぎなかったのだろう
だけどまあ…のってみてもいいかな
「決めたっお前の名前は―――」