テラーノベル
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企画の二つ目だけど、あさからすたーとおおない?
そこはおいといて…スタートあとととと!!!(
朝。
カーテンの隙間から入り込んだ光が、まぶたの上をじんわりと温めていた。
「……ん……」
ゆっくりと目を開ける。
見慣れた天井。
静かな部屋。
時計を見ると、午前九時を少し過ぎたところだった。
「……まだ、いけるか」
今日は昼から収録だ。早すぎるわけじゃない。でも、余裕があるわけでもない。
起きなきゃ。
そう思いながらも、体はまだ布団の中にいたがっている。
代わりに、手だけを伸ばしてスマホを取った。
ロックを解除して、開く。
通知はいくつか来ている。
グループの連絡。
スタッフからの確認事項。
ファンからのメッセージ。
――そして。
俺は、迷わず別のアプリを開いた。
白い背景に、並ぶタイトルの文字。
創作小説サイト。
「……更新、してる」
小さく呟く。
お気に入り登録している作品の横に、「NEW」の文字がついていた。
心臓が、少し速くなる。
指先が、自然とそのタイトルを押していた。
読み始める。
静かな部屋の中で、物語の世界だけが動き出す。
メンバー同士をモデルにしたような登場人物。
名前は違う。
設定も少し違う。
でも。
距離感。
視線。
言葉の選び方。
全部が、どこか現実と重なって見える。
「……っ」
気づけば、上半身を起こしていた。
続きが気になる。
ページをスクロールする指が止まらない。
胸の奥が、ぎゅっと締めつけられる。
切なくて、でも温かくて。
思わず、声が漏れた。
「……最高……」
はっとして、口を押さえる。
誰もいないのに。
それでも、聞かれてはいけない気がしてしまう。
部屋を見回す。
当然、誰もいない。
分かっているのに、少しだけ安心する。
「……俺、何してんだろ」
小さく笑った。
でも、やめる気はなかった。
だって、好きだから。
こういう関係性が。
こういう物語が。
そして――
その“元”になっている、みんなのことが。
スマホを胸の上に置いて、天井を見る。
今日も会う。
今日も話す。
今日も、隣にいる。
そのたびに俺は、
何も知らないふりをする。
何も考えていないふりをする。
普通の顔をする。
だって――
知られたら、きっと困らせる。
引かれるかもしれない。
笑われるかもしれない。
これは、
絶対に言えない秘密。
「……はぁ」
息を吐く。
でも。
少しだけ、楽しみでもあった。
みんなに会うのが。
みんなのやり取りを見るのが。
何気ない会話。
何気ない距離。
肩が触れる瞬間。
名前を呼ぶ声。
全部が、
俺にとっては特別だった。
「……起きるか」
布団をめくる。
床に足をつけると、少し冷たかった。
立ち上がって、カーテンを開ける。
光が、一気に部屋に入ってくる。
新しい一日。
今日もきっと、
何も変わらない。
変わらないまま、
俺だけが、
秘密を増やしていく。
机の上に置いたスマホが、震えた。
通知。
グループのメッセージ。
『おはよ』
たった一言。
それだけなのに。
「……っ」
心臓が、跳ねた。
画面を見つめたまま、
少しだけ、笑ってしまう。
「……おはよ」
誰もいない部屋で、同じ言葉を返した。
送信ボタンを押す前に、
一度だけ、深呼吸をする。
そして――
いつもの“いるま”として、
今日を始めた。
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