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家に帰ると、父さんの靴があった。海外赴任から帰って来たんだろう。リビングの明かりもついているし。
「ただいま。父さん。」
「おかえり、芽郁。」
年齢は30近くであるが、現役怪盗である父さん。中学になった頃、突如カナダに海外赴任になって、しばらく会えないと思ったが、こんなに早くに帰って来るとは思いも寄らぬことだった。
いつぶりだろう、おかえりって言われたの。義父母なんかまともにぼくに興味を持たなかったし、何にせよ実家(ここ)で一人暮らししてたからこそ、おかえりと言われることはなかった。
ぼくの体を見た父さんは呆れたような表情をした。
「それ、誰の?」
うっ…………痛いとこ突かれた!流石父さんである。でもうまくごまかしができるといいけど………
「クラスメートに貸してもらったんや。」
「嘘おっしゃい。」
やっぱりバレた。ぼくに体力とそれなりの口説き方を教えただけあるなぁ………
「知り合いに借りました………。」
「それでよし。」
………
ご飯を食べて、風呂に入って、もう寝ようという時。ふとスマホの通知が鳴った。
修司からだった。
『明日学校でお泊まり会するけど来る?』
どうせ生徒会一同でやるだろうよ。
(クソ猫に襲われないか心配やけど………)
まぁメンバーとの顔合わせとして行ってもいいかもしれない。ぼくは修司に
『わかった。行く。』
と返信した。