佐久間のキュルキュルした目が好きだ。
好奇心旺盛で、愛嬌もたっぷりで。
メンバーカラーに染めた髪も、男にしては小柄なその体躯も、そのくせ誰よりもバネのある大きな踊りも。
みんなみんな、大好きなんだ。
全部、独り占めしたい。
俺が佐久間を見つめていると、翔太が近づいて来た。
💙阿部ちゃんって、そんな顔するんだな
💚え?
💙佐久間を好きで好きでしょうがない、って顔してたぞ。
💚///
思わず両手で顔を覆いそうになるが、バレてしまったのなら仕方ない。
💚翔太はさ
💙うん?
💚どうやってめめと付き合うことになったの?
💙あー///それ、聞く?
💚聞きたい!
💙……めめの押しに負けたから
翔太は照れくさそうに言った。
なんとなく、そうかな?とは思っていたけど、めめはかなり積極的に翔太にアプローチしたらしい。
何度も断ったが、決して諦めなかったのだと言う。
💚で?今は幸せ?
💙控えめに言って…
💚うん
💙めちゃくちゃ幸せ
翔太はそう言って、笑った。
その横顔は今まで見たどんな翔太よりも綺麗だと思った。
俺も佐久間を幸せにしたい。
翔太の話を聞いて、俺は心を決めた。
今日こそ好きだって言おう。
更衣室の外で待ち伏せして、ダンスの練習が終わった佐久間を捕まえる。
💚佐久間
🩷阿部ちゃん?
佐久間は目を丸くして驚いている。
俺が一度先に更衣室を出たから、まさか外で待っているとは思っていなかったのだろう。
💚ちょっと、いい?
🩷うん、大丈夫だよ?
佐久間と二人、誰もいないレッスン室へと入る。
…さすがに緊張して来た。
手のひらが汗ばむ。
それでも、この気持ちを今、ちゃんと伝えたい。
💚あの
🩷阿部ちゃん、俺、阿部ちゃんのことが好き
💚……えっ!
🩷えへへ
💚どうして??
🩷二人になれたから、言っちゃった
佐久間がにっこりと笑う。
俺を首を傾げて見上げるその顔があまりにも可愛らしくて、俺は夢見心地になった。
目の前の光景は、本当に起きてることなの?
夢でもいい。
自分の気持ちを伝えよう。
💚俺も、好きだよ…
🩷本当?嬉しい…
驚く佐久間。
こんな幸せな偶然があっていいんだろうか。くらくらするくらいの幸福感が一気に胸に押し寄せてくる。
佐久間は俺の手を握った。
佐久間の手はしっとりと柔らかい。
そして何よりも温かかった。
🩷じゃあ、俺と、付き合ってくれますか?
💚……はい、お願いします……
結局、佐久間にリードされて、俺たちは付き合うことになった。
思った形とは違ったけど、それでも俺の想いが実ったのは間違いなかった。
…あの時は信じられなかったけど、今、俺の隣りにはいつも、ピンク髪の可愛い恋人がいる。
俺の夢は叶ったのだ。
オフを利用して春先の郊外の海へ俺たちはやって来ている。
寄せては返す波の音が、心を鎮めてくれる。
佐久間と貝殻を拾っていたら、少し離れたところからめめの声がした。
🖤阿部ちゃーん!
💙おーい、そろそろ昼にしよう
二人が俺たちに手を振っている。
これからめめが作ってくれたお弁当を四人で食べるのだ。味は翔太のお墨付きだ。
💚大介、行こうか
🩷うん、亮平!!
差し出した俺の手を世界一愛しい人が握る。
俺たちのこれからは、きっと幸せに満ちている。
おわり。