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ロビンの腕に鋭い棘が刺さった。「イ、イテテ…!」彼は顔をしかめながらも懸命に棘を引き抜こうとする。
アイビーもまた、茨の棘が腕に食い込み、痛みに涙をこらえた。
「リク、助けて…」小さな声で呟く。
リクは茨の毒がどれほど危険かを知っていた。
「すぐに処置しないと、どんどん毒が回る…!」
だが、その時、不気味な声が虚構庭園の空間に響いた。
「お前たちの命は、もう長くはない」
暗闇から現れたのは、茨の中に潜む何者か――生物兵器セラフィムの影。
三人は茨の毒とセラフィムの攻撃に立ち向かうため、結束を強めるしかなかった。
ロビンとアイビーは茨に刺された神経毒が全身に回り、体の自由を完全に奪われていた。
「くっ…動けない…!」ロビンの目が必死に訴えるが、体はまるで鉄の鎖に縛られたかのように重く、指一本動かせない。
アイビーも泣きそうな顔で震えている。
「リク…たすけて…」その声すらも掠れてか細い。
リクは絶望の中、冷静に状況を見極める。
「この神経毒は、普通の解毒剤じゃ効かない…だが、スキルで分解できるかもしれない!」
彼は深呼吸し、取得済みのスキル「分析」を発動。毒の構造を解析し始める。
だが、その間にも、セラフィムがゆっくりと三人に近づいてくる…!
リクの頭に衝撃が走った。
「セラフィム…まだ死んでなかったのか…!?最深部で倒したはずなのに…!」
背後から響く低く不気味な唸り声。
黒い影がゆっくりと三人に迫る。
「くっ…どうしてこんなところに…」ロビンが必死に目を見開くが、体はまだ動かない。
リクは焦りながらも冷静に頭を働かせる。
「復活の秘密…何か方法があるはずだ。まずはこの神経毒を何とかしないと…!」
彼はスキル「分析」を使って毒の正体を調べ始める。
だが、その間にもセラフィムの影が、じわりじわりと近づいてきて…
セラフィムの黒い瞳がじわじわと二人を支配していく。ロビンとアイビーの身体は完全に動かなくなり、まるで操り人形のように無抵抗のまま地に伏した。
「くそっ…!このままじゃ…」リクは震える手でスキルを使おうとするが、解析と応用しかできず、解毒も治癒も自分にはまだ手に負えなかった。
絶望の中、セラフィムはゆっくりと三人に近づく。その時、リクの頭に一つの考えが浮かんだ。
「…でも、俺ができることはまだあるはずだ。」
懸命に意識を集中し、解析スキルでセラフィムの動きを読み解く。次の瞬間、リクは砂煙の中に目標の弱点を見つけ、スキルを駆使して攻撃を試みる。
だが攻撃はぎりぎり届かず、セラフィムはなおも迫る。
「これじゃ守りきれない…!」焦燥がリクを襲う。
そんな時、遠くから砂埃が舞い上がり、誰かの足音が近づいてくる。
「リク!…今は俺たちに任せろ!」
その声に希望を見出したリクは、命を賭けて時間を稼ぐための最後の一撃を繰り出す。
リクは重く沈む視界の中、動かないロビンとアイビーを背に感じながら、全身の力が抜けていくのを感じていた。
「あと5分…あと5分だけ、動けないだけだ…」
そう自分に言い聞かせても、胸の奥からこみ上げてくる焦燥はどうにも抑えられなかった。
目の前で蠢くあの巨大な生物兵器、セラフィム。
その圧倒的な体躯は、まるで絶望そのものだった。
HP12万、リクの攻撃がどんなに当たっても焼け石に水。
何より、その一撃は死を意味する。
「逃げる?でも、ロビンもアイビーも動けない。抱えて逃げられるか?」
痛む肩の傷口から侵入しようとしていたあの白い花のことが、ふと頭をよぎる。
「このままじゃ、みんな終わる…終わらせたくない…!」
足元で、砂が小さく揺れた。
それは、刻一刻と迫る死の足音のようにリクの胸を締め付ける。
「何か、何か方法はないのか…!」
リクは必死に、かすかな希望の光を探そうと目を閉じた。
暗闇の中で、幼い頃の記憶がぼんやりと蘇る。
“諦めるな”と、かつて誰かが言っていた言葉。
“どんなに絶望しても、生きる道は必ずあるんだ”と。
唇を噛み締め、リクは歯を食いしばった。
「ここで諦めるわけにはいかない。俺は――まだ、戦える」
胸に滾る決意が、絶望の淵で静かに炎を灯す。
この5分間で何ができるか。
何があっても、俺は諦めない。
リクの瞳が鋭く光った。
そして彼は、動かぬ仲間たちのため、恐怖を押し込めて立ち上がるのだった。