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一目惚れをした。
艷やかに色付く桜色の唇
長い睫毛に隠された何処か虚ろなアッシュグレーのダイヤモンド
青白い月光に輝く六等星の様な三つ編み
そして……何とも彼を象徴するのは片目に刻まれたロザリオ
何時しかそれら全てを自分だけの物にしたいと思ってから何れ程の月日が経つだろうか
「ニコラーシャ…♡」
部屋中に張り付けられた彼の写真。
中には自慰中の物や入浴中、脱衣中のものも少なく無い
他にも彼が捨てた爪、器用に自分で切った髪の毛
後は彼本人だけだ。
「ヒョードル君!!おは……ょ……」
そんな事を企んで居るとも露知らずのこのことやって来た彼は初めて見る明るみになった僕の部屋の全貌に沈黙する
そりゃあそうだろうと思いつつ憐れな彼を押し倒した
信じたくないとでも言うように目を見開いた儘、此方を見つめている
「其れ、シグマさんから貰ったんでしたっけ?
確か、片方ずつ分けたと」
僕の手のひらにある自身の右耳のピアスと同じ模様に彼は肩を震わせた
右耳のピアスに、そっと手を置き引っ張った
「い”だぃ”!!!ぁぁぁぁぁ!!!!」
小さな穴は段々拡がり、耐え兼ねて、ぶちり。
「あ、…あ、……あぐッッッ、!?」
スプーンを彼の目に突き付けた
ほんの僅かな隙間を抉り、彼の喘ぎにつつまれる。
グリッッッ、ぐりゅッッ、……スープを掻き混ぜるようにスプーンで彼のダイヤモンドを血に染めた
「厭だッッッッ、いだい、いだい、、よぉ、」
血液で濁った其処はもう僕しか見ることがない
此れこそ究極的な愛情だと言えるのではないか。
「命に憐れみを。頂きます」
彼の眼球は、人間の血肉とは思えない程に甘く、鼻の奥にしっとりしたミルクの風味が木霊する
「ねぇ、今日はどう食べてくれるの?」
両目を無くし、片腕を片耳を恋人を無くしすっかり壊れた彼は僕に問う。
今日は………
「一人に置いて一度しか食べられない場所が有るのですが、
ニコラーシャ。僕に、僕だけに貴方の全てを捧げ、共に血肉として永久に添い遂げる事を誓いますか?」
まるで、結婚式みたいだ。
勿論、新郎からの熱烈なプロポーズに新婦は断らず笑顔をと共にブーケ・トスに落とされた紅い紅い貴方だけの薔薇を純白のウエディングドレスに乱れ咲かせて。
刹那に散りゆく
その様子はどんな恋人よりも夫婦よりも幸せを噛み締めていて、二人はお互いに愛を伝えあった
「それでは、新郎。入刀を」