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「ももにそんな甘酸っぱい青春があったなんて知らなかったよ!」
大学のサークルでは、地元から遠く離れている人たちも多くてこの時の話を喋りやすかった。
松井くんとは高校で別々の道に進んだし、それ以来会っていない。
きっと相手も忘れただろうと思っていた。
卒業から5年、私は成人式の2次会に出席した。
松井くんも同じ20歳、同じクラス。
すごく近くにいるけどきっと私のことなんて忘れている。
付き合ってもいなかったけど、恋人とは何か教えてくれた彼を見て青春を感じた。
なぜか戻りたいなとも思った。
クラスの催しで、あの時の秘密を暴露するというくだらないゲームがあった。
みんな楽しそうにやってる中で、私はずっとビッフェを食べてはお酒を飲んでを繰り返してよくわからないテンションになっていた。
これが間違いだった。
自分の番が回ってくる頃には酔いが回っていて、ありえないほど記憶がなかった。
どうやら、自分が暴露した秘密は「松井くんと付き合っていたこと」だったらしい。
クラス中が驚くかと思ったら、みんな知ってるような顔でこっちを見た。
その瞬間、酔いが覚めた。
やばい…
やってしまった。
するとその瞬間、松井くんはマイクを取った。
「そうだよ。付き合ってた。あの頃はね」
付き合ってはいなかったけど、彼は全てを理解してくれた。
私が恥をかかないように、彼が全部代わってくれた。
「俺の秘密は、あいつが全部初めての相手だった」
今でもクールで真面目なキャラな松井くんが、ありえない暴露をした。
いや、間違ってはいないけど…大丈夫か?
あたふたしながらも場の空気が最高潮に盛り上がり、みんなありえない秘密を暴いてった。
はぁ、覚えててくれたのは嬉しいけど…
やってしまったな。
3次会には行かずに帰ろうとしていたその時、
「ねぇ待って」
松井くんが呼び止めてくれた。
「そんな酔いながら帰ったら死ぬよ」
自分では気づかないほど酔っていて、気づいたらホテルにいた。
「俺、今日遠くから来たから帰る場所なくて借りてたんだ。ここ泊まって帰りな」
5年ぶりの松井くんは、違ういい匂いがした。
少しずつ酔いが覚めてきて、あの頃の記憶を笑いながら話して、気づいたら隣で寝っ転がっていた。
「あの頃に戻りたいねー!」
近くの大学に通いながらも、1回も連絡したことも会ったこともなかった。
高校の時に私が初めての彼氏ができた時、相手が連絡先を全て消して、全て忘れさせてくれたからだ。
「お前には幸せになってもらいたいんだ」
ベットの中で彼に抱きつかれると、あの時よりも熱いキスで、熱い夜を過ごした。
「帰るぞ」
昨日の夢みたいな時間は一瞬で過ぎ去り、気づけばタクシーに乗っていた。
「お前んち、ここであってるよな」
あの頃のように家まで送ってくれて、あの頃のように呆気なく帰っていった。
昨日の夜を忘れたわけではない。
今までで1番心に残るものだった。
中学生以来、5年ぶりだった。
付き合ってないのに2回も…
良くないこととわかりながらも、この先もこの時の記憶を思い出したら胸が弾んだ。