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ー瑞希sideー
出てきたのは人じゃなかった
…な、何あれ…ば、化け物…?
ボクと絵名は後ずさりをした
『…え、絵名っ逃げる…?』
ボクは相手に聞こえないようにコソッと絵名にそう言った
「そうね…」
絵名もまた相手に聞こえないように言った
「…チッ」
化け物が舌打ちをした
舌打ちをしただけでなんか…なんというか…
威圧感が凄かった
「…んだよ…鬼殺隊じゃねぇのかよ…」
化け物は不機嫌そうな声でそう言った
「俺は強ェ人間を食いたいのによ…」
強い…人間…?食べる…?
だんだんボクの顔が青ざめていく感じがした
「弱ェ人間はいらねぇんだよ…!」
化け物がそう言った瞬間草木が揺れ…
絵名のほっぺに血が流れた
「いっ…?!」
『え、絵名っ!』
「頬を傷つけただけでその程度…だから弱ェやつは嫌いなんだよ…」
化け物がそう言ってボク達に近づいてくる
『く…こ…来ないで…っ!』
「ッ…!」
絵名がほっぺを抑えて目を強く瞑る
ボクは絵名を化け物から隠す事しかできない
「弱ェ者を庇ってなにになる…」
『ち、ちか…近づくな…!』
…何でボクはこんなにも無力なんだろう
大切の1人くらい守れないのか
これじゃあ前と同じじゃないか…
『…え、絵名…走れる…?』
「え…?ま、まさか…アンタ自分が囮に…!」
『…っ逃げて…!』
「ちょ、ちょっと…!瑞希っ!」
ボクは絵名の背中を押して化け物の反対方向へと逃げさせた
あーあ…ボクってほんと無力だな…
大切の人を逃がすことしか出来ないなんて…
『え、絵名…っ!速く行って!』
「嫌に決まってるでしょ…!アンタも逃げるわよ!」
『…!』
「待て弱者共!!」
絵名はボクの腕を掴んで化け物から逃げた
だけどー
「…ッ!」
『っ…!』
ビュンと風が来た瞬間にボクとまた絵名のほっぺが切れた
「いっ…!」
『え、絵名…!』
絵名はまた同じ所に傷を負ったので傷がさらに深くなっていた…
ど、どうしよう…
「あはは!!!痛いよなぁ!痛いよなぁ!弱者だからなぁ!」
またビュンビュンと風が吹き…
絵名の足を風が切りつけた
「いっ…っ…!」
『え、絵名っ!』
「いたっ…っくっ…」
『え、絵名…!』
絵名が倒れ…足を見ると
大分深い傷だった
『絵名…!っ…!』
「おい待て…」
ボクは絵名を担いで走って逃げた
だけど、ボクはあんまり力が無いからー
『…っ!』
転けてしまった
「ふ…ははは…!そうだよなぁ…弱者だもんなぁ…」
『…っ』
どうしよ…絵名だけ…逃がす…?
だけど…絵名は足怪我してるし…っ
けど…このままじゃ…!
「もう…楽していいぜ…?」
「…っ」
「弱者は弱者らしく…惨めに死ねばいいんだよ…!」
『…っ!』
化け物はまた手を振り上げた
瞬間…
「恋の呼吸!参ノ型!」
「恋猫しぐれ!」
化け物の頸がスパンと綺麗に斬れた
『…えっ?』
「たす…かっ…た…?」
「貴方達!大丈夫?!」
気が付くと目の前には桜餅色の髪をした女の人が立っていた
『あっ…えっ…と…っ』
「あら…貴方達大分怪我をしているわね…歩ける?」
『あっ…ぁぁぁああ…!』
ボク達は…助かった…?
「…2人とも、もう鬼は倒したから…大丈夫よ?安心して…?」
女の人はボク達を優しく抱いた
「あの…お…に…て…っ」
『…!絵名っ!』
絵名がバタッと倒れた
「大丈夫?!あら…足に怪我をしているわね…貴方、お名前は?」
『ボ、ボクは…暁山瑞希で…その子は東雲絵名です…!』
「瑞希ちゃんと絵名ちゃんね!じゃあ絵名ちゃんおぶるから手伝ってくれる?」
『は、はい…!』
女の人はニコッと微笑んで絵名をおぶった
『あ、あの…貴方の名前は…?』
「私の名前は甘露寺蜜璃だよ!」
『は、はい!ありがとうございます!蜜璃ちゃん!』
「えへへ…!ちゃん呼びなんて照れるわぁ…」
蜜璃ちゃんは頬を赤らめて足を進めた
「そういえば瑞希ちゃんと絵名ちゃんは何でこの森にいるの?」
『あっ…えぇっと…』
…どうしよう…
言った方がいいかな…?だけど困惑するだろうし…
「…難しい話は後でいいわね!あっもし絵名ちゃんと瑞希ちゃんの怪我が治ったらパンケーキ食べに来ない?」
『パ、パンケーキ…!いいですね!』
パンケーキ…絵名と弟くん喜びそうだな…
…弟くんもきっと絵名の事心配してるだろうな…
そしてたわいも無い会話をしていると日の出の時間になった
「あら、丁度日の出ね!後もう少しよ!」
『はい!』
…そういえば、どこに向かってるんだろう…
『蜜璃ちゃん、どこに向かってるんですか?』
「そういえば言っていなかったわね!今から行く所は【蝶屋敷】って言って…怪我を治す所よ!」
『蝶屋敷…』
病院みたいな所かな…?
そしてまた足を進めて行くと…
『わぁ…!』
「ここが蝶屋敷よ!大っきいでしょう?」
『本当ですね!』
「…ん?えっここどこ?!」
「あら、絵名ちゃん起きたのね!」
「えっ…あっ…!助けてくれた…!」
「甘露寺蜜璃よ!よろしくね!」
「よ、よろしくお願いします…?」
絵名がビックリしている間に蝶屋敷の門みたいな所に足を踏み入れていた
「そういえば…瑞希ちゃんと絵名ちゃんの服って…見た事ない服ね…!可愛いわ!」
『これはリボンって言って…!』
「…ねね、瑞希…リボン知らないならさ…随分昔じゃない?ここ」
絵名がボクに耳打ちする
『た、確かにね…』
そういえば…蜜璃ちゃんの服も何か和服?っぽいし…
「…?どうしたの?2人とも」
『み、蜜璃ちゃん!突然ごめんね!』
「甘露寺さん…今の年号って…?」
「?大正時代よ…?」
大正…大正…
確か…100年前位だったよね…大正…
「…瑞希…大分昔じゃない…?」
『そうだね…』
「…あ!しのぶちゃん!」
『しのぶちゃん…?あっ…!』
前を見るととても綺麗な女の人が笑顔で立っていた
「な、なにあれ…綺麗すぎない…?」
「甘露寺さん、お久しぶりですね…その方々は?」
「えっとね!話せば長く…?なるんだけど…!」
「分かりました。怪我もしている様ですし診察室で話しましょうか」
しのぶさん…?が優しく微笑む
「何かこの世界美人多すぎない…?」
『だよね…何か複雑…』
「なんでよ」