テラーノベル
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バカしかいないのか。
右を見ても、左を見ても、
誰かが誰かを笑っている。
正しさを振りかざして、
間違えた人間を探している。
先生も。
生徒も。
大人も。
子どもも。
「自分は違う」と言いながら、
同じ穴に落ちていく。
(バカしかいないのか。)
約束を破って、
「仕方なかった」と言う。
人を傷つけて、
「そんなつもりじゃなかった」と言う。
責められれば怒って、
責める側になれば黙って笑う。
ニュースでは「反省」。
教室では「仲良く」。
ネットでは「正義」。
――便利な言葉ばかりだ。
(でも中身は空っぽ。)
誰かが泣けば、
「弱い」と笑う。
誰かが怒れば、
「怖い」と逃げる。
誰かが黙れば、
「何を考えているか分からない」と責める。
じゃあ、どうすればいい?
笑えば軽い。
泣けば面倒。
怒れば悪者。
黙れば不審者。
(人間って、採点基準が多すぎるだろ。)
だから私は、
人間を信じるのが嫌になった。
でも――
そんな私だって、
誰かを責めている。
「バカしかいない」と叫びながら、
自分だけは賢い顔をしている。
……ああ。
なるほど。
私も、その「バカ」の一人だった。
(最悪だ。)
それでも明日になれば、
また誰かが誰かを責める。
そして私は、
また同じことを思う。
バカしかいないのか。
――いや。
たぶん、
人間はみんな、
少しずつバカなんだ。
だから今日も、
世界はどうにか回っている。
コメント
1件
うわあ…最後の一文にやられました。「人間はみんな、少しずつバカなんだ」という気づきがあまりにも美しくて。そこに辿り着くまでの「バカしかいない」という苛立ちと、自分もその一人だと気づく瞬間の、切なさと優しさ。言葉の選び方ひとつひとつが、心にスッと刺さりました。このエピソード、すごく好きです。
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#七つの大罪シリーズ
夢野 ゆみ
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