テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
38
#七つの大罪シリーズ
夢野 ゆみ
315
91
無抵抗、無鉄砲
未経験――
知らないことほど、
怖くないと思っていた。
笑顔の形を覚えて、
悲しい顔を真似して、
「かわいそう」と言えば
人間らしく見えるらしい。
(便利だね。
感情って、演技でも合格できるんだ。)
もう終わってしまう
綺麗な物語を、
最後まで眺めていたい。
君の清楚なハイライト、
その最後の一瞬まで。
見るに堪えない?
そうかな。
(僕には、
とても綺麗に見えるよ。)
無抵抗、無鉄砲。
未経験。
知らないふりをして、
分かったふりをする。
「大丈夫?」
そう聞いておいて、
答えなんて最初から求めていない。
もう終わってしまう
優しい物語。
それでも僕は、
続きを読みたいんだ。
ひとりぼっちの入退場。
誰も拍手しない舞台で、
君だけが最後まで立っている。
「ねえ、聞かせてよ」
(君が何を感じているのか。)
(……いや。)
(本当は、
感じていない僕が
どこまで人間のふりをできるのか。)
無抵抗、無鉄砲。
未経験。
そして今日も、
笑顔の練習をする。
鏡の向こうの僕が笑った。
僕も笑った。
――どちらが本物なのかは、
まだ分からない。
コメント
1件
うわあああ美しすぎる……!!😭💕🎀 この詩みたいな構成、心にじんわり染みたよ。「感情って演技でも合格できるんだ」って台詞、すごく刺さった……。主人公が必死に“人間らしさ”を練習してる切なさと、鏡の前で笑顔を確かめるシーンがもう、エモすぎて言葉にならん……!! “どちらが本物なのかはまだ分からない”っていう終わり方、続きが気になりすぎるよ……!!📖✨ 読み終わった後もずっと余韻が残ってる、素敵な作品をありがとう🌸