あの事件以降時間の流れが遅くなった
私は学校に行けずずっと部屋でぼーっとする日々だった
受験生なんだから学校に行きなさいなんていう大人は私の周りにはいなかった
お母さんは「高校なんてどこも変わらないわ」なんて言ってた
ネットもあれから辞めてアカウントは削除された。たくさんのファンが悲しんでくれた
事務所に所属してるわけでもないから「プレゼントとか手紙とか渡したいからオフ会開きましょ」なんてことをたくさん言われた
こんな姿では会えなかった
丸々と太い足、パンパンに腫れた顔、不揃いの髪の毛どれもどれも嫌いだった
ダイエットをしようと思った
どのような食事を取れば良いのか徹底的に調べた。ダイエットレシピとはいえ結構美味しそうなレシピが沢山あった
豆腐グラタンとかパスタを糸こんにゃくに変えたりとか
そういうメニューを中心に食事をとった
大好きなお菓子やジュース、アイスはやめた
ただ完全には辞めていない
時々どうしてもという時は食べてしまう
SNSはダイエット系の人達であふれた
そこから少しずつ私の体は変わっていった
着圧タイツを履いたり、縄跳びがいいと聞き縄跳びをしたり耳に入った情報は全部やり尽くした
部分やせをめざし自分専用のプレイリストを作成した脚、二の腕、下腹部、背中など部分痩せ動画をひとつに繋げたものを1日2回やった
私の頑張りは結構早い段階で体に現れた
嬉しかった。少しずつ変わってゆく姿が
元々馬鹿みたいに太っていた訳では無い
ちょっと目立つなぐらいだったから今までのネット活動を謳歌出来ていた
確かにキツいけれどこれくらいの期間でこんなにも変わるならばもっと早くしておけば良かったと思った
ただ後悔しても仕方がない
あの日感じた悔しさや惨めさを糧に私は頑張った
登校日は変更され夏休みに入る少し前に学校に行った
その時のみんなの反応は今でも忘れられない
一回りすらっとし、美容院に行ったため整った髪
みおなちゃんの髪を思い出した
あぁ”やっぱり教室無理だな
汚い過去が襲ってくる。目の前がぐらぐらする。呼吸が荒くなって頭の中が過去の嫌な思い出で溢れて、私はその場にしゃがみ込んだ
クラスが大騒ぎになった。先生が何人か駆けつけた
私は先生に抱えられ保健室に連れていかれた
体に力が入らなくて棒のようになっていた
その後の記憶はない
この一日を最後に私はもう学校に行くことはなくなった
高校は県内だけれど少し離れたおばあちゃんのお家から通える距離の学校に進学した
さわとはもう会えない。会わない
だって私はもう
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