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 死ぬとは。生きるとは。哲学で固められ、考えることすら無駄とも言えるそんな言葉は、思春期の私たちにとってはなぜか考えてしまう問題で、私たちの目の前にある問題だった。


「ねぇ?これって、、」

「あっ、、、いや、違うよ。あのっ、、」

「何が違うの?ねぇ、何が違うの?」

 明らかに怒っている香の声、昔のロウデフの声を思い出す。そして少し、悲しくなる。

「大丈夫。心配しないで。」

「ヴッ、、エホッエホッ、、何がよ!私は昨日できた友達が自殺しようとしてるのに、心配しなくていいの?本当は心配してほしいんじゃないの?なんでドア開けたのよ!」

「そうじゃないの、自殺はやめた。辞めたからドアを開けたの、」

「本当に?もう自殺はしない?」

 短い付き合いでもわかるほど声が震えていた。よく見ると手も小刻みに震え、足元がおぼつかない。

「大丈夫、私はちゃんと生きる」「約束ね、死んじゃやだよ?恭子ちゃんが死んだら迎えに行っちゃうよ?」

 少し冗談混じりでも、それでも涙を我慢して、私のことを考えて喋ってくれている。

「うん、約束。香《《ちゃん》》」

 そう言って白くて小さな小指を絡め合わせた。何秒も何分もお互いの肩を持ち合い、香ちゃんは頬を濡らした。とても小さな雫が、頬を伝い、絡めあった手に落ちる。 2人の手の温もりで、その綺麗な水はすぐ滲む。私は涙が出なかった。もう出し切ったのだ。

「よし!じゃあ明日は学校来なさいよ!」

「明日は土曜日だよ?」

「あっ、そっかぁ〜」

  香ちゃんは苦しくても顔にださない。でも私は知っている。香ちゃんが頑張ってくれていることをだから私はそれを無駄にしないよう、精一杯生きるつもりだ。 私の人生のバトンはもう、ロウデフから香ちゃんに託されたのだ。

「じゃあまた明日〜違うか、また月曜ねー。」

 そう言って私の方を見ながら夕日に消えていく香の姿は私とは正反対の強く咲いたオレンジの花のようだった。

 はぁ、、まずは電話かぁ、

プルルルル、、プルルルル 親に電話をするのは何年振りだろう。親は私を死を呼ぶ子と言って顔も合わせようとしなかった。

「はい?山梨です。」

「私だよ、お父さん。」

「チッ、なんだお前か、早く済ませてくれ。」「ロウデフが、死んじゃった。」

「えっ?、あっ、わかった。ちょっと待っててくれ。」

 電話は切れていない。スマホを一旦置いたのだろう。コンッと音のした後に会話が聞こえた。

「恭子の使用人が死んだらしい。そうだな。|理央《りお》を向かわせてくれ。」

「かしこまりました。明日になると思いますが大丈夫でしょうか。」

「あぁ、1日ぐらいなんとか出来るだろう。」

  会話を聞いて寒気がした、また使用人が来るのか、父は大手企業の社長だがあそこの社員は好きではない。

「新しい使用人を送った明日には到着すると思う。頭痛いから切るぞ。」

 そう言って酷い余韻と共に大っ嫌いな声は消えていった。

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