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11 ◇心なしかうれしそうに見えた
今となってみては―――
機嫌よく……
心なしかうれしそうに……
出勤した、としか思えないのだ。
「ふっ」
だって、納会のあとに正義はきっと満島まほりと会うだろうから、考えるまでもなくそうなのだ。
遅くなるとは言わなかったけれど、きっと遅くに帰ってくるだろうことが
予想される。
昨今、仕事が激務なうえ、パワハラなどに遭い、うつ病になって会社に行けなくなっている
人たちが増加しているような話も聞く。
だから、機嫌よく会社に行き、ちゃんとお給料を運んでくれるのなら、よしとしますか!
由香は、そう考えることで早々と自分の気持ちと折り合いをつけた。
嫉妬するような愚かで無駄なことはしない。
前方を向き心地良い風を受けながら、自転車を軽やかにこぎ続けるのみ。
無駄な考え、いらない人間は、景色と同じようにただ流していくだけだ。
大切じゃないものに時間をとられるなんて、愚の骨頂のなにものでもない
《大切じゃないものに時間をとられている場合じゃない》。
人生は長いようで短い。
だから、自分の貴重な時間は大切な者たちに向けるだけ。
そして人生ってものは、なるようにしかならないこともある。
それを肝に銘じて割り切ることも必要ではなかろうか……。
夫が出勤したあと、そんなふうに考えながら由香もまだ眠りを貪り続けている
息子たちを尻目に会社へと向かう。
最寄り駅の電車に乗るまでは、朝はどうしたって毎日バタバタと慌ただしい。
電車に乗り込む都度ほっとする。
あとは遅刻する心配なく、電車に揺られながら夜の献立などを考える。
『……できる時は楽をしたい』
夫が夕食を食べないのが分かっているので、デパ地下で豪華版な総菜か
弁当でも買って帰ろう、そんな風に夕飯を決めた。(美代志のも)
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