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目覚めの良い朝だ。私は昨日、可愛らしい女の子を助けた。名を琥珀_美羽と言うらしい。美羽は私と同い歳だ。
昨日、私は近くのカフェテラスに夜限定のフラペチーノを飲みに外出していた。その途中にいつも通る歩道橋を利用していた。その時、私は立ち止まり見てしまった。
__歩道橋に立ち尽くしている小柄な人間を。
私は本能的に走った。気がつくと傘を手から離していた。無我夢中にその人の元へ向かった。得体の知れない何かに誘われていった。近づくにつれてその人に微塵も生気を感じられなくなってきた。その人は雨に打たれつつもその場で静止していた。遂に傍まで走りきることが出来た。だが、もう遅かった。その人は一歩、足を踏み出し重力に身を任せる素振りを見せた。次の瞬間、その人は目を瞑った。
私は咄嗟にその人の腕を掴んだ。何故か”助けないと”という意識に駆られた。その人の冷たい肌に触れ、呼吸を整えた。傘を拾って、その人と見つめ合った。整ったお顔立ち、透明感溢れる綺麗めな髪、大きなぱっちりお目目。正に理想の女性像が具現化したかのように思えた。私は一瞬にして恋に落ちた。こんなこと人生で初めての経験だった。女の子を好きになってしまった。
美羽は私と解散する際に
「あ、あの、連絡先交換しませんか…」
と、お願いした。私は速攻、受け入れた。きっと美羽も同じ気持ちだよね。そう、勝手に期待してしまった私は頬を赤らめた。
その時、通知音が鳴った。その唐突の機械音に驚いた私の肩はビクッと跳ねた。スマートフォンのパスワードを入力して通知を確認した。
「あ、え…?」
そこには美羽のチャットが書かれていた。
『明日、あの場所で会いたいです。助けて下さった御礼をしたいです』
あの場所、それは二人が初めて出会い美羽に一目惚れしたあの歩道橋。
私は直ぐに返信した。あの場所で私達はもう一度会うこととなった。美羽に少しでも意識して貰えるように私は桜の髪飾りを身に着ける。これで少しでも美羽が私だと認識してくれるだろう。窓を開け涼しい風に髪を靡かせた。