〜side星導〜
翌朝
いつものように小柳君の家の前
インターホンを押すのにこんなに勇気が必要だとは思わなかった
やっとの思いで押したボタン
返ってきたのは静寂だけ
「‥‥そうだよな」
学校に向かい教室の扉を開ける
そこには友達と話す小柳君
小柳君の机の横
立ち止まり小柳君を見下ろす
「‥‥おはよ」
返事はない
隣の席のウェンが俺達の空気に気付き、俺に目で合図をしてきた
「何だよ。もう朝礼始まるけど」
「それどころじゃないだろ?昨日のアレのせいで」
「‥‥‥‥‥‥」
「本当に昨日のはロウに何もしてないよ。ちょっとふざけてただけ。少し悪ノリが過ぎた‥‥ごめんなさい」
「いや、俺もお前の事突き飛ばしてごめん‥‥」
「いいよ、気にしてないから。それにしてもなぁ、あの後こんな感じになると思わなかったから‥‥誰にも渡さないって言う流れでくっつくかと思ったのに」
「何だよそれ‥‥まぁ、俺が頭に血が登り過ぎて‥‥」
「恋の物語は進まなかったか‥‥」
「進んだと言えば進んだし、バッドエンド方向にも近づいてるかも‥‥」
「え‥‥ヤバいじゃん」
「いや、でも終わらせないよ。このまま終わりたくないし」
「良い報告待ってるよ」
授業が終わり、俺はカバンを持ち小柳君の元へ向かう
「一緒に帰っても‥‥良い?」
「‥‥‥‥ん」
小さく返事が返ってきた
学校を出て人通りの少ない道を歩く
「昨日は怒りが優先してて何も考えられなくて‥‥小柳君とウェン見たら‥‥気付いたら手が出てた。今朝ウェンにも謝ったよ。小柳君も驚かせてごめん」
「‥‥ウェンにちゃんと謝ったなら良かった」
「それと‥‥強引にキスしてごめん」
「‥‥‥‥‥‥」
「小柳君に気持ち伝える勇気なかったくせに、ウェンに取られると思ったら‥‥俺、小柳君のこと‥‥誰にも渡したくなかったから」
「‥‥‥‥‥‥」
俯いたまま歩く小柳君が今何を思ってるのか知りたい
でも顔が上がることは無い
気付くともう小柳君の家の前に来ている
立ち止まった彼の前に体を向けた
「俺‥‥小柳君が好き」
「‥‥‥‥」
「一年の時から好きだったよ」
「‥‥‥‥」
「もっと早く伝えてたら昨日みたいなことは無かったよな」
「‥‥それは俺も悪かったし」
「そんな事ないよ。俺の嫉妬のせいだし」
「‥‥お前急に好きとか嫉妬とか言ってくるじゃん」
チラッとこちらを見る小柳君の顔が真っ赤だ
「だって小柳君のことが好きだから」
「‥‥‥‥分かったよ」
「‥‥‥‥好き」
「分かったって!」
「小柳君は?」
「‥‥‥‥俺は」
小柳君がポケットに手を突っ込む
そして鍵を取り出し、俺を見る
「‥‥‥‥俺も」
そう言うと家に向かい扉の前に立ち、鍵を開け始める
「え、俺も?‥‥俺もの続きは⁈」
「‥‥言っただろ」
「えぇ⁈その後が聞きたいんですけど!」
「うるさいな」
扉を開け、床を見つめながら小柳君が口を開いた
「今日ウチの親、出張で居ないけど」
「‥‥へ?」
「‥‥‥‥入る?」
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コメント
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蒼月さん流石✨️神 毎回楽しませてくれる!!