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第六話 アイツの堕落:快感と罪悪感の無視
「少しくらい……大丈夫だろう」
その一言で、俺は一歩踏み出した。
壊すことに、もはや罪悪感はなかった。むしろ、壊すこと自体が快感を与えてくれるようになった。あいつが関係を大事にしてきた人々にちょっとずつ近づいていき、あいつが信じていたものを俺のものにしていく。そのたびに、俺の中で何かが震えるのが分かった。
「あいつが持っているものを壊して、俺がそれを手に入れる」
その感覚が、心地よくなった。最初は不安だった。でも、次第にその不安が消えていくと、代わりに快感が広がっていった。
あいつが見ていないところで、あいつを信頼していた人々に忍び寄る。それが、俺にとっては一番の楽しみになっていた。