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百合ありキスあり地雷さいなら!
廊下を徘徊する「元生徒」たちの足音が、理科室の扉を重く叩く。
けれど、室内の4人にとって、もはや外の世界など、滅びを待つだけの書き割りに過ぎなかった。
「ねぇ、宙。そんなに怯えてたら、自殺出来ないよ?後これ毒も入ってないし大丈夫系の薬品だよ?」
実験の薬品を手に取り自殺をしようとした宙に話しかけるあいか
宙は引きつった顔をしながら「あんた。これ飲んだ事あるの、?」
と言いながら薬品を手に取りながら口に含もうとした。「うん!先生にこっそりバレないように飲んだんだ!」そうして宙が「え〜。」って言った瞬間。
あいかが宙を押し出した。
薬品は散らばる。グラウンドで見た死体みたいに輝輝と綺麗に。
明るいはずのあいかの声は、今は獲物を追い詰める捕食者のそれだ。彼女は宙の細い手首を頭上で抑え込み、その震える唇を指でなぞった。
「あいか……、やだ、そんな……っ」
「え〜?いいじゃん、どうせみんな死んじゃうんだよ?だったらさ最後に、最高に気持ちいいことしよ?」
あいかは強引に、宙の唇を奪った。
それは柔らかな親愛のキスではない。宙の口内を荒々しく侵し、逃げ場を奪うような強欲な口づけだ。宙の喉の奥から漏れるくぐもった悲鳴を、あいかは楽しそうに飲み込んでいく。二人の口端からは、激しすぎる接触に耐えかねた唾液が糸を引いて溢れた。
「ん……っ、ふ……。あはは、宙、顔真っ赤。……もっと、あたしの味、覚えてよ」
あいかは満足げに笑い、宙の唇を噛み切らんばかりの勢いで再び貪り始めた。
一方で、私は実験台に腰掛けたるびあを、冷たく見下ろしていた。
るびあは、隣で繰り広げられる生々しい交わりに顔を赤らめながらも、私の視線から逃れられずにいる。
「るびあ。あっちが羨ましい?」
「えっ、あ、ううん……。私は、夢奈さえいれば……」
るびあが縋るように私の服を掴む。その指先は、絶望的なほど冷たかった。
私は彼女の顎をクイと持ち上げ、その片方だけのカラコンが入った瞳をじっと見つめる。
「いいよ。あんたを、誰にも触れられない私だけの人形にしてあげる」
私はゆっくりと、るびあの唇に自分のそれを重ねた。
あいかたちのような激しさはない。けれど、るびあの肺にある空気をすべて奪い取るような、深くて、重い、呪いの接吻。
「……ん……っ……」
るびあの瞳が、快楽と酸素不足でとろりと混濁していく。
私の舌が彼女の熱を奪うたびに、るびあは「夢奈…」と、心酔しきった吐息を漏らした。それは、彼女の精神が完全に私のものになったという、契約の儀式だった。
理科室のあちこちで、少女たちの濁った吐息と、水音が重なり合う。
ホシグモ菌が窓の外を紫色に染め上げる中、私たちは、誰にも許されない愛の形で、一つに溶け合っていった。
#サスペンス