テラーノベル
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#ハッピーエンド
麗太
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お風呂で汗を流した私は、タオルで髪を拭きながらリビングのソファに腰を下ろす。
「とりあえず、調べてみましょうか……」
スマホを手に取り、「吸血鬼」と検索する。
出てきたのは、おとぎ話やホラー映画の情報ばかり。ダンジョン関連のニュースを片っ端から見ていくが——吸血鬼という名前のモンスターには、まだ誰も遭遇していないらしい
「……マジで前例がないんですね、これ」
次に「変身系スキル」で調べてみる。
ゾンビ化、ドラゴン化、ラミア化、スライム化……バリエーションは豊富。
ただし、どの事例も「変身しても、時間経過かMPで元に戻れる」のが基本らしい。姿が戻らなくなったケースは見つからなかった。
「情報、少なっ……」
私はソファに背中を預けて、深く息を吐く。
でも、やっぱりアレくさいよなぁ……
昨日のダンジョン探索を思い出す。
階段を下りた先。ぼんやりした意識の中で、確かに見た。あの……コウモリ。
「やっぱり、コウモリかな……」
吸血鬼といえば、ドラキュラ。ドラキュラといえば、コウモリ・ニンニク・十字架。定番の連想ゲームだけど、案外バカにできない。
あのコウモリ、モンスターだったんじゃないかな……もしあれがレアモンスターで。
私が触れたとき、何かスキルを授けられたとか、そういう展開なら——
「……うわ、完全にフラグだなぁ…」
独りごちて苦笑する。
「……うーん、ここで考えても始まりませんね」
ソファから立ち上がると、私は靴を履いて自転車にまたがった。向かう先は、昨日訪れたあのダンジョン——尋坊ダンジョン。
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【尋坊ダンジョン】
北陸の断崖絶壁に口を開ける、海に面した天然のダンジョン。現在は観光も兼ねて公開されているが、確認されているモンスターは2種のみ。来訪者が一日ゼロの日も多く、日本で最も不人気なダンジョンとして有名。堂々たる「人気のないダンジョンランキング」第1位の常連である。
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「こんにちは、受付お願いします」
入り口に佇む、年配の管理職員に声をかける。あまりの来訪者の少なさに、職員はこの人ひとりだけらしい。
「おっ、2日連続で来るとはなあ。お嬢ちゃん、若そうだが……ダンジョンは初めてかい?」
「昨日も来てたんです。中野といいます」
探索者カードを差し出すと、おじさんはカードの写真と私を交互に見比べて眉をしかめる
…あ、しまった。写真のこと、忘れてたな
あの時と比べて今の私は見た目が変わってる
「えっと、その……実は、昨日の帰り際にスキルを手に入れたみたいで。姿が変わる系の獣人化スキルみたいな……。だから写真と違うんです。すみません……」
「ふむ……なるほどね。じゃあ、これに手を置いてくれるかい?」
おじさんが取り出したのは、水晶のような球体。探索者登録時の情報と照合するためのアイテムらしい。
緊張しつつ手を添えると、球体が淡く光り、即座に照合が完了した。
「……うん、大丈夫だ。確かに君が昨日のお嬢さんだ。姿が変わるとは、ずいぶん変わったスキルだね」
「やっぱり、珍しいですか?」
「珍しいどころじゃないよ。俺もこの仕事10年やってるが、初めて見た。海外では、たしかに数人いるって話は聞いたけど……」
なるほどね…ちょっと安心しつつ、
気になることを聞いてみる。
「あの……吸血鬼に関するスキルって何かご存知ありませんか? ネットで探しても、ぜんぜん情報が出てこなくて」
「吸血鬼? うーん…それは聞いたことないな。ていうか、スキルの話はあまり他人にしない方がいい。俺らも確認できるのは身元とレベルぐらいだし、ギルドの職員にすら黙ってた方が無難だぞ。女の子なら、なおさらな」
…職員にも、言わない方がいいのか
「分かりました。ありがとうございます。
……ダンジョン、入っても大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ。気をつけてな」
おじさんに軽く会釈して、私はダンジョンの中へと足を踏み入れる。1層を駆け抜け、あっという間に2層目へ。その間、コウモリの姿を探して目を光らせていたが——
…いない。どこにも、いない。
あのコウモリがもし外に出られる存在だったら……正直、詰みでは?
まあ、来たからには収穫欲しいし…肩から下げていた鞄から小型ドローンを取り出し起動
「…よし、スケルトン狩りますか」
「どうも、マガです。今日はスケルトン狩りしてレベル上げをします。あと見た目が変わってるのはイメチェンです。イメチェン」
ドローンカメラにお辞儀してから私は、メリケンサックを付けてスケルトン狩りを始める。レベルを上げた影響もあり昨日より効率的にスケルトンを処理出来た。
スケルトンを狩りをしつつ私は地図を頼りに3層目の階段を見つける。階段を見ると塞がれていて通れそうに無い状態だ。
「やっぱ、行けないか…」
このダンジョンの最終層である3層は数年前に失踪事故が相次ぎ封鎖されていると聞いた。
ネットで調べても事件の詳細が見つからず何が起きたかは分からない。ネットでは陰謀論とか囁かれている。
コウモリが居るかもしれないから3層を確認したいけど、勝手に入ろうとしたら怒られる
まあ鉄の扉で凄い頑丈そうだし入れないか…
「3層は立ち入り禁止らしいので一応ダンジョン制覇となります。明日は新しいダンジョンに行きますので、良かったら見て下さい」
ドローンをしまい、のんびりと帰路につく。
出口までにおよそ二十分。地味に長い。
魔石の換金は、また今度でいいや。
それよりも今は――お腹、空いた。
受付のおじさんに軽く会釈して外に出る。
駐輪場に止めておいた自転車にまたがり、家までゆっくりペダルを漕いだ。
帰宅してすぐ、コンビニで買っておいた唐揚げ弁当に手を伸ばす。でも、それだけじゃ足りなかった。気づけば、カップラーメンも追加。
「ん〜……さすがに食べすぎかな?」
もう一品いこうか悩んだけれど、これ以上は太る未来しか見えない。ぐっと我慢して、代わりにシャワーを浴びることにした。
湯気の中、腹の虫がグーッと鳴いて、つい笑ってしまう。風呂から上がると、まだ濡れたままの髪とバスタオル姿でベッドにダイブ。
ふかふかの枕に顔をうずめる。
「う〜……あっ、レベル確認しなきゃ……」
眠気がじわじわと迫ってくる。けれど、
探索者カードだけは見ておきたかった。
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山田愛菜
レベル5 Gランク
HP21/21 MP30/30
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スキル
•〇〇の吸血鬼の従者
•魅力
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「魅力…」
新しいスキルだ。聞いた事が無いスキル。
また内容が文字化けしてるから効果が分からないからネット検索とダンジョンで検証かな
新しいスキルが気になるが、やはり眠気には勝てないらしい。枕を背に目を閉じる。
寝る時でも腹の調子は戻らないが睡眠が勝つ
目を閉じれば意識が黒く染まり眠りに落ちる
「お…や…すみ…」
誰もいない部屋に私の声が響き渡った。
——おやすみなさい