やはり、本能には勝てないのでしょう。
彼は私の側にいる時に、私に深く触れそうになると自分を傷つけるようになりました。
どんどん消えない傷が増えていくのを、私には分かっていました。
その理由が、彼の中に眠る「生命を残したい」という欲と彼自身の戦いであることも。
「ねえオリバー……私気にしないから……」
他の女性を抱いても良いよと言ってしまいそうになりました。
このまま彼が傷つき、苦しむくらいなら、私が苦しむ方が良いと考えたからです。
でも、私のその考えそのものが、より彼の心を傷つけることになることを、彼から教えてもらいました。
「愛する君に、君以外を抱けと言われることがどれだけ辛いことか分かる?」
「でもオリバー?体が辛いんじゃ……」
「それじゃあ考えてご覧」
「何を?」
「もし反対に、僕が君の病を持っていて、君に子供を授けたいから他の男に抱かれてくれと言ったら、どう思う」
それは、想像するだけで吐き気がする程辛いことでした。
愛する人以外の体を、自分の中に入れて、種を植え付けるという行為なんて、おぞましくて仕方がありません。
オリバーは、私の表情を読み取るのが昔からとても上手だったので、私が考えたことが分かったのでしょう。
「おいで」
私を抱き寄せ、額にキスをし、そして強く抱きしめてくれました。
「分かっただろう?今君が感じている気持ちと、同じだよ」
「ごめんなさいオリバー……だけどあなたの体が心配で」
「分かっているよ。でも、これは僕がどうにかするから」
そう言うと、オリバーはまた強く抱きしめてくれました。
私の不安を和らげるように。
そんな彼の言葉を信じなかったわけではありませんでした。
でも、私はどうにか、私ができる方法で、彼の欲望を抑える方法がないかと調べてみることにしました。
その方法は、あっさりと見つけることができました。
村にある小さな図書館に、その行為について書いてある小説を見つけたからでした。
「これなら、出来るかもしれない……」
頭の中で想像すると、まるで獣のように恥ずかしい姿だと思いました。
なので、実際にする場合は勇気が必要だと思ってしまったので
、知識としては身につけましたがそれからしばらくはなかなか、その行為を彼にしてあげることはできませんでした。
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