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耳の奥に響き渡るチャイム。
夕焼けが窓から姿を覗かせ、今日も1日を締め括ろうとしている。
やっと1日が終わるのだ。
ここまで嬉しいことはないだろう。
そして、
ここまで悲しいことはないだろう。
早く帰らなければ。
「あ、iemnじゃーんw」
「帰るの遅くなっちゃったんだなw」
「…」
教室で1番後ろの席に座る俺に絡んできた2人の男子生徒。
本当に最悪だ。
1番会いたくなかった。
「なーiemn、ちょっと金貸してくんね?」
「最近金欠なんだわ〜」
「あ俺も俺もー!w」
は?ふざけんなよ。
どこの物好きがお金貸すかっつーの。
なーんて、言えるわけもなく、
「…わかりました」
「お、本当!?いやー、ありがとねぇーw」
「軽く一万でいいぞーw」
…最近、俺も金欠なんだけどなぁ。
俺は財布から二万円を取り出す。
「一人一人に一万円くれんのかよww」
「わかってんねぇw!」
そういい、当たり前のように俺の手からお金を取る2人。
本当、大嫌いだ。
…これで二万円を出さなかったら、睨んで圧をかけるくせにさ。
「じゃまたなーiemn!!」
「またくるわーw」
そう言いながら颯爽と教室から出ていく2人。
唯一の救いは、クラスが違うことだ。
「…帰るか」
そう、早く帰らなければならない。
…会わないといいな。
“彼ら”に。
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「ただいまー」
俺は家中に届くように声を出した。
返事がない、…父さんはまだ帰ってないのか。
…やばいな。
俺は急いで二階へと駆け上がった。
早く、1人になりたい。
今も、後ろに”彼ら”がいる。
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ガチャ。
そんな音を立てて、俺はすぐにドアを開け、自分の部屋に入る。
ベッドに大の字になって、息を吐いた。
「疲れたぁ…」
この部屋には”彼ら”も、男子生徒もいない。
「…」
きっと
明日も今日と変わらない日々が続く。
嬉しいようで悲しい。
「あ」
「これ外さないと」
俺はベッドに座り直し、首にかけてあるネックレスを取る。
細い紐に、虹色に光る石が付いているだけの至ってシンプルで質素なネックレス。
…懐かしいなぁ。
昔、俺が幼い頃。
1人で近所の公園に来ていたんだ。
ブランコに乗って、砂場で遊ぶ。
そして、滑り台を滑る。
滑り終わった時、足元にとある石を見つけたんだ。
灰色の色をしていて、至って普通の石だった。
だけど、俺はその石に惹かれた。
だから持って帰ることにした。
ポケットにお世辞にも綺麗とは言えない石を突っ込み、家へと走った。
玄関で靴を脱ぎ、手を洗い、石を取り出す。
するとびっくり。
石が虹色に輝いているではありませんか、
本当に綺麗。
だから、母さんにあげたんだ。
入院している、母さんに。
それから3日後。
お母さんがネックレスをくれた。
俺があげた石を簡単なネックレスにしてくれて。
心の底から嬉しかったんだ。
それから、母さんは亡くなった。
ネックレスをくれてから、いつだったかな。
そんな事実を受け入れられなくて、
もう忘れてしまったけれど。
きっとそれがきっかけで、俺はこの能力を手に入れてしまった。
霊が見えるようになる、能力。
見えていいことなんてなに一つない。
見えることが霊にバレれば狙われる。
そんな人間珍しいもんな。
「って、1人でなに振り返ってんだよ…」
「てか課題もやんなきゃな…」
父さんが帰ってくる前に風呂に入っとくか?
そんなことを考えながら1日は終わった。