私たちは肩も、手も、触れそうな、でも決して触れない距離で二人並んで、周りを見渡せば田んぼか森しかない線路の上を歩いた。
「私、田舎の線路の上、歩いてみたかったんだよねー。」
なんて、いましていることに似合わず呑気な会話をする。
翔太は自然な顔でふふっと笑ってから、自分も線路に飛び乗って、ニヤッと笑った。
この笑顔がずっと続けば良かったのに。守ってもらえれば、良かったのに。
今日も蝉がうるさく鳴いている。汗は髪の毛を伝って肩に滴り落ちて、セーターにシミができる。
私は教室に着くなりあほみたいに窓の先を見つめた。授業中も、ずっと。
先生に当てられればさっさと終わらせるためにそれっぽそうな答えを出して、また席に着いて窓の先を見つめる。
毎日。同じことの繰り返しだ。
終礼終わりの鐘がなる。『ありがとうございましたー。』
みんなの声を聞いてから私は素早く鞄を持つ。
家には帰りたくないから、遅くまで学校近くの図書館で勉強してから帰る。それが私の日課だ。
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