今日は図書館にあいつがいる。いつも私の隣の隣くらいの窓の前のカウンター席に座る。
夕陽に照らされて、綺麗なオレンジに輝くあいつは、私の幼馴染の翔太だ。
せっかく難しいところを受験して周りの子から離れたのに、同じ高校だったのだ。
翔太は部活のない時だけ私の悪あがきが終わるまで一緒に勉強してそれとなく一緒に帰る。
お互いわざわざ話しかけることは無いが、それがなんとも心地よく私にとっては唯一安心できる居場所だった。
自転車を降りて、鍵を抜き、玄関の前に立つ。私は一呼吸してから精一杯の笑顔を張り付け、ドアを引く。
「ただいまー。」
おかえり。とママが出てくる。私は笑顔を張りつけたまま、着替えてくるね。と言って部屋に続く階段を登った。
部屋、と言ってもひとつの部屋を二段ベットと棚で区切っただけで丸見え、丸聞こえだ。
私の部屋には妹が食べたであろうお菓子のゴミが落ちていた。
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