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#感動
クッキー
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昼下がりの神山高校の屋上は、心地よい風が吹き抜ける二人だけの隠れ家だった。フェンスに背を預けて座る瑞希の隣で、類はいつものように奇妙な仕掛けの設計図を広げていた。けれど、その指先は数分前からぴたりと止まっている。瑞希が類の肩に頭を預け、退屈そうに彼の手元のペンを指先でつついているからだ。
「ねえ類、その仕掛け、さっきから全然進んでないんじゃない?」
瑞希が上目遣いに悪戯っぽい笑みを浮かべると、類は困ったように眉を下げつつ、その瞳をふわりと細めた。
「おや、誰かさんの可愛い邪魔が入るせいで、素晴らしい演出プランが頭から吹き飛んでしまってね」
「ふふっ、人のせいにしないの。……ほら、それよりボクのこと見てよ」
瑞希は身を乗り出し、類の長い前髪を指先で梳くように触れた。類はその手に自分の大きな手を重ね、そっと包み込む。普段は突拍子もないショーの話ばかりしている彼も、瑞希の前で見せる表情は驚くほど穏やかで、甘い。
「瑞希の手は、いつ触れてもあたたかいね」
「類の手が冷たすぎるだけだよ。……まあ、ボクが温めてあげてもいいけど?」
軽口を叩きながらも、瑞希の頬にはほんのりと朱が差している。類はそんな瑞希の微細な変化を見逃さず、組んだ手に少しだけ力を込めて自分の方へと引き寄せた。
「おやおや、素直じゃないな。では、お言葉に甘えて……このまま充電させてもらおうかな」
類が瑞希の額に優しく自分の額をこつんと当てると、至近距離で交わった視線に、瑞希の胸がトクンと跳ねる。
「……ずるい。そういうこと急にするの、類の悪い癖だよ」
「ふふ、君が僕をからかうからだよ」
照れ隠しに類の胸元を軽く小突く瑞希を、類は腕の中にすっぽりと閉じ込めるように抱きしめた。チャイムの音が遠くで響く中、二人はどちらともなく笑い合い、柔らかな午後の陽だまりに身を委ねていた。
コメント
1件
ああ、このエピソード、すごく好きな空気感でした。屋上っていう閉じた空間に、瑞希と類の二人だけの時間がそっと切り取られていて、読んでいて自然と頬が緩みました。特に類が「仕掛けの設計図」を広げているっていう設定、普段は突拍子もないショーの話をしている彼が、瑞希の前ではこんなに柔らかい表情を見せるんだな、というギャップがいいですね。額をこつんと当てる仕草とか、手を重ねる動作の描写がすごく繊細で、二人の距離感がちゃんと伝わってきました。学校のチャイムが遠くで聞こえるのも、この二人だけの秘密の時間を強調していて素敵でした。続きが気になります!