【あの星の下で遭う時に】
あれから数日が経とうとしている。
あれ以来、僕と星野さんはよく話すようになった。
今日も学校に行くと
「あ…み、宮内君…おはよう…」
と星野さんが挨拶をしてくれた。
「うん、おはよう、星野さん」
と僕が返す。
最近星野さんは、僕によく話しかけてくれる。
星野さんがスクールバッグを机の上に置くと、スクールバッグに昨日までは無かった可愛い星のぬいぐるみがストラップで付けられていた。
「その星のぬいぐるみ、可愛いね」
と僕がそう言うと
「あ、ありがとう…これ、お気に入りなんだ…!昨日部屋掃除してたら見つけてね、今日スクールバッグに付けてきたの…!」
と星野さんは嬉しそうな表情で言う。
星野さんの嬉しそうな顔を見るとなんだかこっちまで嬉しくなってくる。
そうしているうちに1時間目が始まる5分前になってしまった。
「あ、今日1時間目移動教室だ…!」
そう言って僕は急いで移動教室の準備をして教室を出ようとすると、
「あ…!あの宮内君…!ちょっといいかな…?」
と星野さんに呼び止められた。
「ん?どうしたの?」
僕がそう聞くと、
「今日ちょっと放課後空いてるかな…?この前のお礼がしたくて…」
と星野さんは僕に言った。
「えっ?この前のお礼…?」
と僕が疑問に思って星野さんに尋ねると
「ほ、ほら…前私が放課後に他のクラスの人に絡まれてた時に宮内君助けてくれたでしょ…?その時のお礼…」
と、星野さんは言った。
「え、あぁ!いやほんとにお礼だなんて大丈夫だよ…!!ほんとにあれは全然気にしないで!僕がやりたくてやったんだから! 」
と僕が言うと
「い、いやでもどうしても宮内君にはお礼がしたくって…なんでもするからぁ…」
と星野さんは少し困ったような顔で言った。
「ほんとにお礼なんていいんだよ…?」
と僕が星野さんに言うと
「お願い…します…!お礼させてほしい…です…」
と星野さんが僕に物欲しそうな顔で言う。
(ここまで言われたら流石に断りずらいな…でもお礼なんて本当に大丈夫なのに…)
と僕が心の中で思っていると
「あ、ご、ごめん…宮内君…困らせちゃったかな…また私、宮内君に迷惑かけちゃった…」
と星野さんは下を向いて言う。
「い、いや!!全然迷惑なんて思ってないから!!お礼欲しいです!!!」
と僕は咄嗟に言ってしまった。
「ほ、ほんとに…?じゃあ放課後今日も一緒に帰ってくれないかな…ちょっと寄りたい所があって…いいかな…?」
と星野さんは少し恥ずかしそうな表情ととても物欲しそうな表情でこちらを見る。
「う、うん…!!」
と僕は星野さんの眼差しに負けてこう言ってしまった。
「ほんとに…!?良かった…!じ、じゃあ…!今日…放課後下駄箱で待ってるね…!」
そう言って星野さんは小走りで教室を出ていってしまった。
(星野さんに思わず「うん」と言ってしまった…)
そう思いながら僕は教室を出た。
授業が終わり僕が下駄箱に行こうとすると、
「おーい宮内、ちょっといいか?」
と先生に呼び止められた。
「はい、どうしました?」
と僕が聞くと
「悪いんだけどさ、ちょっとこのダンボール図書室まで一緒に運んでくれないかな…?」
と先生に言われた。
「す、すみませんちょっとこの後用事があるので…」
と逃げようとしたが
「そう言わずにさぁ…頼むよ…これだけだからさぁ…」
と先生に念押されてしまい僕は渋々運ぶ事になった。
「星野さん…ごめん…!早く終わらすから…!!」
そう思いながら僕は急いでダンボールを運んだ。
〜20分後〜
「おうありがとうな宮内、すまんな〜急に呼び止めて」
と先生が言うと
「全然大丈夫なのでお先失礼します!!!!」
そう言って僕は急いで下駄箱まで走った。
「ごめんっ!!ほんとに星野さんっ!!!20分も待たせてしまっているっ…!!急げっ!急げ!!!!」僕は全力で走って下駄箱まで行った。
息を切らして下駄箱に着くと、 下駄箱には誰も居なかった
「あれ…?星野さん…?星野さん!!」
僕が辺りを見当たすと何か床に落ちている事に気づいた。
「ん、なんだろうあれ…」
近づいてよく見てみると
そこにはストラップのちぎれた星のぬいぐるみが落ちていた。
この瞬間、僕は全てを察した。
今何が起きているのか。星野さんに何が起こったか。
「くそっ!!くそぉぉっっ!!!! 」
僕は悔しさと罪悪感で壁を殴った。
「僕が…僕が断れなくてダンボールを運んだからっ…!!なんで断れなかったんだっ!!!最初からこうなる事はなんとなく分かっていたのにっ!! 」
僕は昔からかなりのお人好しで人にお願いされるとどうしても断れない。
「あいつだ…あいつしか居ない…!!!」
犯人は頭に1人だけ浮かんでいる。
「田中…あの野郎…!!!!」
僕はすぐに田中が犯人だと分かった。
「あいつ…星野さんを無理やりどこかに連れていきやがったなっ…!!」
僕は確信した理由が2つある。
1つ目は、田中からしたら絶好のチャンスだったからだ。僕も居ないし人もあまり居ない下駄箱で星野さん一人。そりゃあ狙われるに決まっている。
そして、もう1つの確信はぬいぐるみのストラップだ。 見れば分かる。星のぬいぐるみのストラップはスクールバッグにしっかり結ばれていた。そう簡単には外れない。自然にちぎれる事も無いだろう。
という事は、誰かが無理やり星野さんを襲って星のぬいぐるみのストラップをちぎるぐらい強引に襲ったとしか考えられない。
そんな強引な事をするのはこの学校で田中ぐらいしかいない。
僕は星のぬいぐるみを持って急いで星野さんを探しにいった。
「星野さん!!!星野さん!!!」
学校を回っても星野さんは何処にも居なかった。
(学校に居ないってことは…田中、学校の外まで行きやがったな…!)
僕は急いで門を出て星野さんを探しに行った。
「星野さん!!星野さん!」
僕は走って必死に探した。街の人にも聞いた。
「すみません!近くで金髪ツインテールの女の子と強面の男居ませんでしたか??」
そう聞くと
「うーん…僕は見てないねぇ…」
と街の人は答えた。
「分かりました!ありがとうございます!!」
僕は手当り次第声を掛けて言った。
しかし目撃情報はどこにもない。
「くそっ…くそっ!!!僕は星野さんに約束したのにっ…!!!星野さんを守るってっ!!!」
僕は息を切らしながら全力で星野さんを探した 。
もうすぐ日が暮れる。でも僕は諦めずまだ走っていた。
「絶対助けるっ!!星野さん!! 」
僕はそう思いずっと走って街の人に聞きこみを続けた。
すると1人の老人が居た。
「すみません!金髪ツインテールの少女と強面の男見ませんでしたか!?」
と僕が息を切らしながら聞くと
「あぁ…見たよ」
と老人は答えた。
僕はこの瞬間切らしていた息を振り絞って
「えっ!!??本当ですか!!?何処に居ましたか!!!?」
と大声を出して言った。
「あそこに人があまり居ない商店街があるじゃろう…?あそこに行ったよ…あんな所に高校生2人がなにするんだろうって疑問に思って ね…」
と老人は言った。
僕は
「ありがとうございます!!本当に!!」
そう言って僕は走って商店街まで行った。
「あ、でもあそこは…」
と老人は最後に何か言いかけていたが僕は老人の話を最後まで聞かずにその商店街に行ってし
た。
3話へ続く…
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