テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
僕は勇者である。
勇者とは魔王を倒すために王に任命された、騎士の最上級の役職だ。
生まれが近衛の家系で、学問、武道ともに非常に優れた成績を収めていたために若くして選ばれた。
僕はこの役職をとても誇りに思っている。
人から尊敬されるのはもちろん悪い気分はしないし、何より他では絶対に体験できないようなことをたくさんできる。
毎日が全く新しく、僕の終わりがない探究心を満たすのにとてもいい。
勇者に選ばれてから2年ほど経っただろうか。
最近魔王の瘴気が強くなり、民衆に被害が出ているようだ。
僕は勇者としての最大の責務、魔王討伐を任命された。
歴代の勇者達が幾度と挑戦し、成し遂げられなかったこと。
それでも僕は怯えずに立ち向かおう。それが僕のやるべきことであり、やりたいことだからだ。
魔王城へは1人で行くことにした。
きっと兵を集めたってほとんどは城に近づけば瘴気にやられてしまう。
旅支度を済ませて、魔王城までの一週間ほどかかる道を歩いて行った。
道中、瘴気の影響だろうか。
魔物が普段より明らかに多い。
城に着くまでに予想よりも時間がかかってしまいそうだが、ここで消耗するのも良くない。
気長に歩いて行こう。
国を出てから十日が経った昼、魔王城の門についた。
一般的に想像されるものとは違い、白を基調とした洒落た洋風の宮殿のような感じだった。
ただその外観に似つかない、嫌な瘴気が漂っている。
普通の人だったらすぐに気絶してしまうだろう。 1人で来て良かった。
城の中に入ると、森などでは見ないアンデット族の魔物が蔓延っていた。
基本的にアンデットは上級に区分されており、これらもかなり強い種族である。
流石の勇者でも1人だとこの数相手にはかなり苦戦してしまう。
戦うより避けた方が楽だと思い、見つからないように隠れながら進んで行った。
なかなかに入り組んだ建物で、隠し部屋を探したり、失敗して魔物に見つかったりと魔王のいる本丸に着く頃にはかなり消耗してしまった。
勇者の中には本丸に辿り着く前に倒された者もかなり居るだろうと思った程だ。
やはり本丸の目の前に来ると圧がすごいし、瘴気も尋常じゃないほど漂っている。
正直吐きそうになる。疲労も相まってコンディションがかなり悪い。
それでもここでやらなければ更に消耗してしまう。
それに町に漂う瘴気の量も増えてきているだろう。 なんとかしないとまずい。
僕は意を決して大きな扉を開けた。
「あ!勇者さん、何年振りかな?」
コメント
1件
「はる。」だわ。第1話読んだよ! 王道の勇者もの、いいよね。しっかり者で誇り高い主人公が、一人で魔王城に乗り込む覚悟とか、道中の魔物の描写とか、オーソドックスながら地に足ついた展開で読みやすかった。で、最後の魔王の一言「あ!勇者さん、何年振りかな?」——これ、めっちゃ気になるんだけど!まさかの知り合い?続きが気になりすぎる🔥
カニちゃん
372