お待たせ致しました!リクエスト頂いたいこみずです!みんぐ受けは書いたこと無いのでいい練習になりました。
イコさんみんぐのこと読んでなくて解像度が終わってます…一応苗字呼び捨てにしてます…
今回もまた全年齢です、R18期待してる方は本当にごめんなさい…絶賛リハビリ中なので…
またすれ違い気味です、いこみずが同棲するまでの話
◤◢◤◢ATTENTION◤◢◤◢
・全年齢
・三者視点
「あ〜〜…」「イコさん、どないしたんです、そんな世の終わりみたいな顔して」
天を仰ぎながら唸る生駒に、隠岐が声をかける。珍しくゴーグルを外して、生駒は両手で顔を覆って答えた。
「隠岐〜…オレはどないしたらええんやぁ〜…」「何のこと言うてるんですか〜」
生駒の奇行には慣れているのか、隠岐は特に動じずにそう返す。生駒はうぅんと喉の奥でまたひとしきり悩んでから、指の間からちらりと視線を寄越して言った。
「みずか…恋人と同棲するにはどうしたらええかな…?」
言うてしもてるやん、という言葉を飲み込んで、隠岐は黙ったまま首を傾げた。隠岐は大概モテる方だが、同棲まで行ったことが指で数える程しかなかった。
「あ〜、同棲問題ですねぇ、ようありますよ」「あるん?!オレだけや無かった感じ?!」
食い気味に身を乗り出してくる生駒に、隠岐は少し後ずさりしながら答える。
「…いや、まぁ普通にあると思いますよ」
隠岐の言葉を聞いて、生駒はほっとしたような表情を浮かべた。
「よかったわー…オレだけが変なんちゃうか思たわ…」「別にそんなことはあらへんでしょう」
隠岐は軽く笑ってから、いつも通りの声音で続けた。
「まぁでも…恋人にもよるでしょうねぇ」
その言葉を聞いた瞬間、生駒はぱっと目を輝かせてから、勢いよく顔を上げて前のめりになって叫んだ。
「水上やねんけど!!」
知ってました、とでも言わんばかりの顔で、隠岐はにこやかな笑顔を作った。
「水上先輩ですかぁ…あの人、恋愛には疎そうですからねぇ」「そうやねん疎いねん!てか疎すぎんねん!えっオレら付き合ってるよな?!って瞬間あるくらいやもん!」「イコさんここにおれ一人で命拾いしましたね」
思わず口から出た本音を誤魔化そうともせず隠岐がそう言うと、生駒はぐぬぬと悔しそうな顔をする。図星なのだろう。
「ほんっまに、もうちょっとこう、なんかあってもええと思うんやけどな……」
ぶつくさと言いながら、生駒は再び顔を覆った。
「…隠岐的にはどんな感じなん、同棲とかって」「うーん…おれも数回しかしたことないんですよね〜」
隠岐は顎に手を当てて考え込む素振りを見せたあと、でも、と前置きをして話し始めた。
「おれの場合は相手が一般人やったんで長続きしませんでしたね。ボーダーと私どっちが大事なの?って毎回聞かれまくってました」
「え、じゃあオレもそうなる可能性あるってこと…?」「二人ともボーダーやからそれは大丈夫やと思いますけどねぇ…」
不安げな様子を見せる生駒を宥めるように隠岐がそう言うが、生駒はまだ心配そうだった。すると突然、隠岐が何か思いついたという風にぽんと手を打った。
「そういう雰囲気にしてから合鍵握らせだったら一発やと思いますよ」
隠岐の提案に生駒は少しの間きょとんとしたが、すぐにぱあっと顔を明るくさせた。
「それええやん!天才か?!」「まぁ、あくまで一つの案としてですよ」
それでも生駒は嬉しかったらしく、隠岐の手を握ってぶんぶんと振った。
「ありがと〜〜!隠岐はやっぱり頼りになるなぁ〜!!」「いえいえ、また相談乗るんでいつでも連絡ください」
そう言って生駒の手を握り返した隠岐の顔には、どこか意地の悪い笑みが浮かんでいた。
***
「あ、水上」「はい?」
団体のランク戦直後、生駒は水上を引き止めた。先日言われた隠岐の提案を試すためだ。
「この後…時間ってある?」「あー…すんませんイコさん、今日バイト入れてるんで」
申し訳なさそうな顔で断る水上を見て、生駒は肩を落とす。
「…ほんなら明日は?」「明日は朝早いんで…」「明後日!」「明後日はオレ高校ですよ」
断られ続け、生駒はついに泣きそうになった。水上はそんな生駒を見て頬を掴んでゴーグル越しに見つめ合う。
「そんなにガッカリせんで下さいよ……急ぎの話だったんですか?」
仕方ないという風に尋ねる水上に、生駒はこくりと小さく首肯した。
「マジすかー、でも時間ないんで…時間できたら連絡しますよ。それでええですか?」「…おん」
渋々といった様子で了承した生駒に苦笑いして、水上は生駒の頬から手を離した。
「ほな、お疲れ様です」
そう言い残し立ち去る水上を、生駒は名残惜しそうな目で見送った。
***
「隠岐〜!!」「うわ、なんです?」
生駒は作戦室に入ってくるなり隠岐に突進した。隠岐はそれを避ける。壁に顔からぶつかるも、気にせずに話を進める。
「水上から連絡が一向にこぉへんねんけど!冷められた感じかこれ?!」「…んな事はないと思いますけど…」
隠岐は困ったような笑顔で答えた。確かに、生駒は生駒で忙しい身だし、水上は水上で色々とやることはあるだろう。
「水上先輩はそんなに薄情な人や無いですよ」
そうフォローするが、生駒は納得がいっていないようで、うぅんと首を捻っている。
「でも、最近会えてへんし…隠岐はどうなん?」「確かに…おれも最近水上先輩見てませんねぇ」
隠岐は顎に手を当てて考える素振りを見せる。しかし目の前に見えない犬耳を垂らす生駒を見ると、ふっと表情を和らげた。
「まぁ、きっとそのうち連絡きますよ」「そうかなあ……」
生駒がしょんぼりした声を出すと、隠岐はくすりと笑って言った。
「それにしてもイコさん、ほんまに水上先輩のこと好きですねえ」「そりゃもう…めっちゃ好き!!」
即答する生駒の言葉に、隠岐は少しだけ驚いてから、嬉しそうな顔になった。
「…そりゃ良かったっすわ」
***
「隠岐ぃ〜!!」「はいはい、今度は?」
また突進してくる生駒を避けて、生駒は壁に顔をぶつけながら話を進めた。
「連絡きたあ!」「おぉ〜!それは良かったですねえ」
隠岐がにこやかに返すと、生駒は勢いよく隠岐の方へ向き直って叫んだ。
「隠岐!前の作戦でええんやんな?!」「うん…もう、普通に無理やり握らせましょう、断るはずないですわ」
隠岐が半ば投げやり気味に答えると、生駒は腕を組んで考え込んだ。
「でもいきなり合鍵渡すのは重いと思われへんかな」「んな事ないっすよ、大丈夫です」
生駒は隠岐のその言葉を聞くと、ぱあっと顔を明るくさせてガッツポーズをした。
「よしわかった!じゃあ来週会うわ!」「はあい、頑張ってくださいね〜」
***
「水上ー!」「あ、イコさん」
生駒は水上を見つけるなり、駆け寄って抱きつこうとしたが、水上は横に避けた。
「避けることないやーん…」
不満げに言う生駒に、水上は呆れたように溜息をつく。
「イコさん重いんで…」「え!酷い!イコさん泣いちゃう」
大袈裟にショックを受けるふりをする生駒を見て、水上はまた深い溜息をついた。そして、いつも通りだとも思った。
「そんで、なんの用すか?」「あ、そうや。ちょっと…手ぇ出して」
生駒がそう言えば、水上は首を捻る。だが素直に左手を出した。生駒は水上の手に鍵を落とした。
「…何すかこれ、鍵?」「合鍵」「…え?」
水上が困惑した顔で生駒を見つめると、生駒は照れくさそうな顔をして言った。
「分かれや!お前はホンマに鈍感ブロッコリーやな!」「イコさんまでそのいじりするんすか?!」
水上は思わずツッコミを入れた。まさかこの生駒にまでブロッコリー弄りをされるとは思ってなかったからだ。そして生駒はしばし俯いた後、小声で喋り始めた。
「…最近、なんか…冷めてきてるかなって思って、無理やりでも同棲に持ち込んだろ…って思ってん」「え、こわぁ…」
本気で引いた水上を見て、生駒は慌てる。
「だって!最近なんも無いやん!」「…オレにだって、タイミングってもんがあるんすよ」
水上がそう言って顔を逸らす。生駒はこのまま別れ話をされかねないと水上の顔を覗き込む。そこには頬を染めた水上の顔があった。
「水上…?」「…なんやオレが恋愛にも戦略立てるタイプやなんや言われてますけど実際そんな事ないですからね、恥ずかしいんすよ、」
水上は早口で捲し立てていく。生駒はそんな水上をぽかんとした顔で見ていた。
「…つまり、タイミング逃してただけでおれのこと冷めてはない…ってこと?」「…オレ、そんな薄情やないんすわ」
水上は目を伏せた。生駒は水上の言葉の意味を理解すると、みるみると表情を輝かせていった。
「水上〜!!」「うわ、抱きつかんでください…!てか、この鍵ほんまにもろてええんですか?」「もちろん!」
後日、隠岐が見たものは普段より仲良くしていた水上と生駒だった。
[END]
*あとがき*
ほらぁ〜〜〜もうまた長くなってる〜〜〜〜(ごめんなさい)
コメント
4件
うわぁぁぁ(TT) 本当にありがとうございます🥲 好きすぎます👍🏻✨