この作品はいかがでしたか?
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海人side
俺には好きな人がいる。
あんまり言いたくないけど、岸くんや廉と同じ方向…BLの方で、だ。
その人とは小さい頃から仲が良い、幼馴染。
いっつも明るくて優しくて……俺の初めての友達でもある。
その人の名前は……
「おはよ。紫耀。」
他の誰でもない、紫耀だ。
「お、海人!おはよー!」いつも通り、ニコッと笑って挨拶をしてくれる。
俺より背が小さいのに、なんとなくお兄ちゃんぽい感じがして、頼もしい。そんな紫耀が俺の初恋の人でもあり、俺の片思いの相手だ。
「海人、どした?今日はやけに静かだな」
紫耀に呼ばれて我にかえる。
あ、そうだった。今は俺にとってはスペシャルタイム……『紫耀と一緒にいられる唯一の時間』だ。
我ながらネーミングセンスやばいなぁ。
「いやー今日は天気がいいなぁ……って。」
梅雨も明けて夏本番!っていう時にこんなこと言わないと思うけど…まあ、いっか。
だって……
「そーだなぁ。でも海人、めっちゃ暑くない??」
紫耀は超がつくほどの天然だから!!
そういうところがまた、俺の紫耀が好きな理由だったりする。
そうこう言っているうちに俺のスペシャルタイムは終わりを告げようとしている。理由は簡単。もうすぐジンの家に着くからだ。ジンがまだこっちに住んでいなかったころ…中学までは学校まで二人で行ってたけどね。
「おはよー!ジン!」
ジンはいつも通り、高そうな服を着てのご登場。
廉とジンはいつも高そうな服を着ている。
特に廉なんて有名ブランドのものばっかりだ。羨ましい。一着いくらするんだろう……。
「二人とも、いつも仲いいよねー。やっぱ幼馴染ってそうなんだ?」
「どうなんだろ……考えたこともないやー」
「俺もーでもなんか幼馴染だからこそ知ってることとか、やっぱあるよねー」
「え、なになに?」ジンが興味深々に聞く。
ああ!もしかして!
「たとえば…ふみゅぐっ!」
俺は紫耀の口を塞ぐ。
危うく俺の黒歴史がジンに盛大にバレるところだったよー危ない危ない。
「おはよー!3人ともー!」
「おはー」
いつのまにか大学近くの交差点に来ていたようで、廉と岸くんと合流する。今日も仲が良い二人。
…ちょっと羨ましいなぁ。すると何に気付いたのか、廉が俺の方に寄ってきて
「なんか悩みでもあるん?」
と聞いてきた。
え、なんで!?ない、ない、ないってば!
「ふっ…昼休み、屋上なー」
え、無いって言ってんじゃん!!
「廉、俺も言っていい??」
ジンまで乗ってきた!!
「口出しせんならええよ」
「じゃあ、俺もいくー」
えええ!?
「じゃあ、俺はやめとこ、足でまといになりそうだし」
「俺もー」
岸くんと紫耀はこないようだ。
まあ、よかったっちゃ、よかったけど……。
昼休み。
廉に言われた通り、屋上に行くと、ジンと廉が待っていた。
「やっほー」来たよと一応挨拶すると、廉は屋上の柵に寄りかかり、「海人、お前、好きな人おるやろ」と唐突にとんでもない(?)ことを言い出した。
「え、え…あ…」なんて言ったらいいんだ……!?
嘘ではないんだけど……!!
「しかも、紫耀」
「あー!ジン喋ったー」
ダメだって言ったやろと廉がジンに注意する。
「えーっと……」
本当のことを言おうかとオドオドしていると廉に「オドオドしてたって無駄や。バレバレやもん。」と言われてしまった。
「そんなに、俺……」
「「うん、顔に出てる」」ジンと廉が声をそろえて言う。
あー、ジンまた喋ったー。
「ジン、また喋ったな??」
廉がものすごい圧でジンを見る。ジンは圧にやられ、小さくなってしまった。
「んで…紫耀には絶対に……」
「言わん、言わん。それは当たり前。」
そうだよね。良かった。
そして廉は少しだけスマホをいじり…
「てことで、俺とジンと海人だけのグループLINE作ったから入っといてなー。じゃ。」
そう言って、ジンと廉は帰ってしまった。
えー。早いよぉ〜。
とりあえず、グループLINE入ろっかな。
LINEにグループLINE招待の通知が来ていた。
名前は『ジン、海、廉』
……雑!!!
俺はグループLINEの申請を許可し、スマホをしまい、講義室に戻る。なんか…不安だなぁ。
勇太side
海人と廉と別れて講義室に行く途中。前を歩いていた人がペンを落とした。俺はそのペンを拾い、落とし主に届ける。
「ペン、落としましたよ。」
その人は振り向く。垂れ目が特徴的な背の低い可愛い男の子…失礼、男性だ。
彼は「あ、ありがとうございます。」と頭を下げた。
たまたまチラッと見えた彼のノートには『岩橋玄樹』と名前が書かれていた。見たことも聞いたこともない子だから一年生だろう。それにしても……可愛い子だなぁ。
「いえいえ、見つかって良かった。」
「本当にありがとうございます。」
そう話をしているときだった。
「あれ、神宮寺先輩じゃない!?」
「本当だ!カッコいい!!」
女子からの強い視線を感じた。モテるって良いのか、悪いのか。
とりあえず、めんどいことになるから逃げるか。
「本当に見つかってよかった。じゃあ。」
そう言って俺は講義室まで急ぐ。遠くで玄樹くんがポカンと突っ立っていたが、まあ、いっか。
その後の講義のことは玄樹くんのことで頭がいっぱいで何も覚えていない。
海人side
放課後。
「海人ー!一緒に帰ろー!」
紫耀に呼ばれて振り向く。
…て、あれ……??
「紫耀、今日の放課後サークルの先輩に呼ばれてなかったっけ……??」
多分、告白されるんだろうなー。紫耀モテるし、しょうがないよ(ダジャレじゃないよ)。
「あれーそーだっけ??」
「今日の朝、下駄箱にラブレター入ってたでしょ!覚えてるからねー!」
紫耀のラブレター情報は俺が1番知ってる。⚪︎月×日誰々からって全部メモ帳に書き留めてるんだからね!!
「まー、さっさとフッてくるわー!海人は先帰っててー!」
フるの確定なの!?かわいそうだけど……俺的にはちょっと安心。
紫耀はいつもそうやって知らない女子や好きでもない女子はちゃんとフってくれる。俺にとっては気が楽なんだけどね。一人で大学の校門まで歩いていると、ジンときてぃれんカップルーごめん、ちょっと恨みある感じの呼び名だけどーと合流した。
「あれ、紫耀はー?」
廉が岸さんと手を繋ぎながら言う。廉は本当に常に岸さんのどこかに触れてないと死んじゃうの…?
「紫耀はサークルの先輩に呼ばれてるよ」
「じゃー告白やなー。フってくれるとええけどなー」
「紫耀なら絶対フッるって。」
そうだといいけど……。
すると背後からトコトコと足音がした。
振り向くと俺らより年下と思われる子が。
「あ、さっきの……!」
ジンのお知り合い……?のようだった。
「あの!神宮寺先輩!!」
「あ、うん?」またなんかあったかい?とジンは首をかしげる。
「あ、いえ…。えーっと、さっきはペン、拾ってくれてありがとうございます。すごく大事なものだったので………」
その子はちょっと恥ずかしがりながら言った。
「そーなん?ジンが人助けとか珍しいなぁ」廉が横入りする。
やめとけ、いい感じだったのに……
「……ホントに…カッコいい………((ボソッ」
その子は廉を見て呟いた……え??
俺は廉と顔を合わせ、目で会話する
(ちょっと、廉…これ……)
(ジン…ホントすまん。やらかしたかも)
(いや、でもあの感じ、元から廉のことが好きなんじゃ……)
(マジ!?えー。俺岸さんいるのにー!)
ジンのこの感じ、ジンは多分この子が好きで、でもこの子は廉のことが好き。でも廉は岸くんと付き合ってる……
もしかしたら……
とんでもない四角関係になっちゃうかも!?
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