「……俺のためになんて泣いてくれて、ありがとうな…理沙。
俺は、もう誰も本気で好きにならないと思ってたが……でも、おまえならって……」
銀河が言葉を切って、じっと私を見つめる。初めて、互いの視線が向き合った。
「……。……理沙、俺のこと……その、好きか?」
こくっと小さく頷いて、
「好きだよ……銀河」
胸の奥に浮かんだ気持ちを、包み隠さず正直に彼に伝えた。
「……うれしいよ、ありがとうな…。……店にいたら、流星の奴から急に電話があって、『理沙を助けたかったら、すぐに来い』と言われた時には、どうしたらいいのかわからなかった……。
おまえが、あいつに何かされたりしたらと思ったら、いてもたってもいられなくなって……。……俺がどれだけおまえを好きだったのか、気づかされたよ……」
私も同じだと思う──流星に迫られて、自分が好きなのは銀河なんだという本心に、改めて気づくことができた。
「……なぁ、理沙…キス、してもいいか?」
返事の代わりに瞼を閉じると、銀河の唇がそっと柔らかに触れた。
「理沙……好きだ……」
「うん……私も、銀河のことが、大好き……」
なかなか素直になれないでいた私を、自分と似ていると言い、面倒な生き方をするなと伝えてくれた銀河……
最初は軽いだけの人でとも思っていたけれど、次第に内に秘めた真っ直ぐな思いを感じられるようにもなっていった。
誰かを真剣に愛することは、銀河にとっては、過去を乗り越えなければならない辛いことでもあったけれど、それは、私自身にとっても同じことだった。
上辺でしかない人付き合いに疲れ果てて、いつからか人と距離を置くようになり、誰にも上手く心を開けなくなっていた私に、
ありのままで周りと向き合うことを悟らせてくれたのは、人の心の痛みを知っている、他ならない銀河だった……。
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