「ねぇ、みんなの名前って、本名なの?」
──銀河と一緒にお店を訪れていた。
晴れて思いが通じ合ったこともあり、ちょっとだけテンションが上がっていた私は、お酒が入り酔いがまわってきたのも手伝って、興味があったことを訊ねてみた。
「一応、本名かな。本当の名前より、こっちの方が親しみがあるから」
天馬がそう言って、にっこりと笑みを浮かべた。
「まぁな…本名なんて、俺たちには、あってないようなものだしな。確かに、こっちの名前の方が親しみはあるよな」
流星が、天馬の話に同意する。
「本名があってないようなものって、どういうことなの?」
酔いにまかせてつっ込んで尋ねてみる。
「……俺たちは、もともと施設育ちなんだよ。全員が乳児院で育ち、その後に施設で出会った。だから俺たちはみんな、親の顔も知らなければ、自分の生まれも知らない。
俺たちの本名なんていうのは、便宜上付けられただけのものだからな。そういうわけで、今のこの名前の方が自分たちらしくて、しっくりくるっていう意味だ……」
銀河が打ち明けてくれた話に、驚きが隠せなかった。
「施設って……みんなそうなの?」
四人がそろって頷く。
「私たちは、4人とも同じ施設で育ちました。年が近いこともあって仲良くなり、成人後にこうして集まって、この店を始めたんです」
三日月が、ここが出来た経緯を教えてくれて、
「私たちの名前が、空にまつわるものとなっているのは、私たちが過ごした施設名が、『そらのいえ』だったからです」
それぞれが空に関する名前を付けている謂れを、話して聞かせてくれた──。
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