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「ますみん、お疲れ様!」
「もかっぺ観に来てくれてありがとう」
下に降りて、真住に声をかけると笑顔で応えてくれた。
「さっきのスリーポイント、凄かったよ」
「味方がディフェンスの気を逸らすのが上手かったからだよ」
凄いプレーをしても鼻にかけず、そう答えれる所は彼の素敵な所だと思う。
「わっ、すごい汗。ダメだよ、ちゃんと拭かないと」
「ねーねー、五十嵐ちゃんってさ慶太の彼女なの?」
「え?」
真住の首に掛けられているタオルの端を掴んで汗を拭おうとしたら、近くにいた真住のクラスメイトに声をかけられて、素っ頓狂な声が出た。
タオルから手を離して真住との距離を置く?
「入学した時から思ってたんだけどさ、クラス違うのに超仲良いじゃん」
「中学が同じだったから」
「それにしても距離感も近くない?やっぱ付き合ってる?」
「タケ、やめろって」
五十嵐に距離を詰めながら質問攻めしてくるタケと呼ばれた男の子との間に真住が割り込む。
「俺は彼女いないって言ってるだろ」
「付き合ってないの?」
「あはは、私なんかじゃ釣り合わないよ」
「付き合ってないなら五十嵐ちゃんの連絡先教えてよ〜」
「おい、困らせるな」
「タケくんはフレンドリーだね」
どうしよう。ますみんと話したかっただけなのにこんなこと言われるとは思ってなかったし、でしゃばりすぎたかもしれない。人気者のますみんにはあまり声をかけない方がいいのかも。
「あ!そうだ、私みずきちの応援行かなきゃ」
咄嗟についた嘘。早くこの場を去りたくて理由をつけてその場を後にした。
「………」
「あー…逃げられちゃった。慶太ごめん」
「余計なことすんなよ」
タオルの端を掴んで自分で汗を拭う。自分のクラスの応援に行くか、共通の友人の応援に行くか、真住は頭を悩ませながら次の試合の対戦表を確認しに行った。
「はぁ……」
彼氏だとか彼女だとか…まあでもそうだよね。男女で仲良かったら、そう思われてもおかしくはない。それに私とますみんの距離は近い。さっきのも別に彼女面したいとかそういうのじゃなく、ただ汗を拭いて体を冷やさないようにって思っただけで…
「五十嵐さん」
名前を呼ばれて振り返ったら知らない女の子たちが数人いた。
「…はい」
「さっきの話って本当なの?」
「え?」
「私、真住くんのことが好きなんだよね。付き合ってないなら、あんまり近寄らないでもらえる?」
あ、そういうこと…
「うん、付き合ってないよ。友達として仲良くさせてもらってるだけ」
「あんなに近い距離で話してて友達って、五十嵐さんの感覚変わってるよね」
「大きな声で話しかけたりするし、仲良いですアピールしてるつもりなのかなー?」
「そんなつもりはないんだけど」
「誰にでも良い顔して笑ってるし、男好きだよねビッチなんじゃないの」
数人の女の子たちは声を出して笑っていた。
「もう’真住くん’とは必要以上に話さないからそれで良い?」
馬鹿にしたのに気にも止めずに淡々と話す五十嵐が気に食わなかったのか、彼女たちは面白くなさそうに顔を顰めた。
「なんか偉そうでうざい」
「男に好かれてるから女にどう思われてもいいって思ってんの?」
「性別問わず好かれたいって思ってるよ」
「キモ。あんた絶対女から嫌われるタイプだよ、友達いないでしょ」
「あはは、言い過ぎ~」
進学校って進学を考えてる真面目な人ばかりなのかと思ってたけど、全然そんな事はないみたい。
「私がさっき言ったこと覚えてる?もう必要以上に話しかけないから、もう行ってもいい?」
「この子誰でもいいんだからさ、地味な瀬南にもニコニコしてんだよ?」
「真住くんでも瀬南でもいいの?水島にも言い寄られてない?」
何でここで彼の名前が出てくるのかさっぱりだけど、私だけでなく彼らのことまで馬鹿にされてるような感じがするのはすごく嫌だ。
「人のことをビッチとかいう前に、男に好かれたいならもっと愛想良くしてみたら?」
私の一言に彼女達はあからさまに表情を変えた。