R美は、定年退職後、某ビルの清掃のアルバイトをしている。朝道行く人は、彼女を女性管理者か、役員と思うだろう。ブランド物づくめだからで有る。彼女のサラリーは外資系金融だったため、他の女性とは比較にならないほど良かった。年に数回の海外旅行、エステ、ブランドのバッグ、靴、洋服は全て一括払いだった。清掃の面接に行った時に、目を疑われた。「あなた本当に掃除でいいんですか?」「いいんです。」
彼女のアルバイト先は以前勤務していたビルだった。
「あっとごめんなさい、掃除中で、下の階のトイレに行って下さい。」ギョッとした男性は、それまでの上司だった。彼は急いで下の便所に行こうとした。しかし…遠目にも「清掃中」のコーンがあった。更に下に行くとやっぱり「清掃中」が… 彼はもう諦めた。全速力で隣のビルに走り、やっと用を足せた。(こ、これはイジメだ…この嫌がらせは…)
R美は清掃のアルバイトを常勤の管理者にしてくれと願い出ていた。面接官には渋られたが、「無断欠勤がでたら私がやります。」とまで言って勝ち取ったポジションで有る。
彼女がいた職場は「ここは外資系だから定年で速やかに辞めて下さい」と女には言う。しかし、80代のジジイは何故嘱託でやる事も無く勤務継続が認められるのか?彼女は許せ無かった。毒でも盛ってやろうかとさえ思う。嘱託は休憩室のテーブルを食卓替わりにし、菓子を年がら年中食べているのである。故に清掃のバイトで復讐をするには、どうしてもこのビルでなければならなかったのである。
彼女の目論見は全てのアルバイトの女性の同調を得た。速くも彼女は牢名主の如く、ここでも御局様になったのである。
(フィクションです)
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