テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
fura
10,427
junp_Sn-Fk.
5,404
酢酸🐣♡🐤
14,187
コメント
5件

ちょっとづつ 距離が近くなってる 優しくされてる🥰
うわぁぁあぁぁぁぁぁぁん
冬の気配が近づく頃、屋敷の庭には白い霜が降りた。
朝、縁側の障子を開けると、庭石の上に薄く光る氷が張っている。
「ずいぶんと寒くなったな。」
後ろから聞き慣れた声がした。
振り返ると、目黒が立っていた。
「…おはようございます」
mg「おはよう 」
以前なら、それだけで終わっていた会話。
けれど、最近は違う。
ほんの少しだけ、言葉が増えた。
それが、それだけで嬉しかった。
「朝食、用意できています」
mg「今日は一緒に食べる」
「….え?」
目黒はなんでもないことかのようにいう。
mg「時間があるから」
「…はい」
ぱっと顔を隠しながら俯く。
だってきっと、嬉しくて顔が緩み切ってしまっていそうだから。
2人で食事をする時間は、正直まだどこかぎこちない。
けれど、以前のような冷たい沈黙ではなかった。
mg「この漬物。」
目黒が箸を止める。
mg「美味しい。」
「母から教えてもらったものです。」
mg「そう」
「旦那様、好きですか?」
mg「ああ」
短い返事。
けれど、その後。
mg「また作って」
その言葉に思わず顔を上げる。
「…..はい。 」
返事をした瞬間、ぱっと目黒が顔を逸らす。
「旦那様?」
mg「何」
「え? 」
mg「笑ってる」
「…嬉しかったので」
そういうと、目黒は少し困ったような顔をした。
mg「…お前は、そういうところが変わってる。 」
「そうですか?」
mg「あぁ」
「悪い意味ですか?」
mg「…..違う」
その一言に、おのずと胸が安心した。
しかし、穏やかな日々は長くは続かなかった。
昼過ぎ。
本家から急な知らせが届いた。
「旦那様」
商人から渡された文を読んだ目黒の表情が変わる。
「…何かありましたか?」
尋ねると目黒は少し困った顔をした。
mg「本家が、後継について話したいそうだ」
「後継…」
目黒は静かに頷く。
この家を継ぐ者。
そして、その隣に立つ者。
避けては通れない話だった。
数日後。
本家の屋敷へ向かう日。
私も一緒に同行することになった。
「私も、行っていいのでしょうか」
mg「妻だから」
その言葉に少し驚く。
以前なら「家のため」と言っていたはずなのに。
今、目黒は迷わずそう言った。
本家では、親族たちが待っていた。
「若様」
年配の親族の方が口を開く。
「家を守るためにも、早く跡継ぎを考えねばなりませんな。」
…指先がわずかに強張る。
分かっていた話だった。
この結婚に求められていたもの。
それは家同士の繋がり。
そして、未来へ続くもの。
けれど。
「その話は、まだ早い。」
目黒の声が響いた。
「何を言っている?」
mg「安倍を巻き込む話なら、私が決める。」
空気が変わる。
いつもの静かな声。
けれど、そこには明確な意思があった。
mg「この結婚は家のために始まった」
目黒は続ける。
mg「だけど、今は違う。」
その言葉に驚いて目が開く。
「….旦那様」
mg「彼を道具のように扱うことは俺が許さない。」
その言葉に広間が静まり返った。
目黒が誰かに対して、ここまで強い言葉を使う姿を初めてみた。
帰りの車の中。
2人の間には静かな時間が流れていた。
「旦那様」
mg「何」
「どうして…」
言葉を必死に探す。
「どうして私のために、、あんなことを? 」
しばらく、目黒は黙っていた。
そして、小さく白い息を吐く。
mg「わからない。」
「えっ」
mg「前なら、家の決まりだから従ってた。」
窓の外へ視線を向ける。
mg「でも、…..」
mg「お前が傷つくのは嫌だった」
胸の真ん中あたりが、大きく揺れる。
「そっ、れは…」
mg「何?」
「…優しいですね。」
その言葉を聞いて、目黒は少しだけ目を伏せた。
mg「優しくない。」
「では?」
mg「…大事にしたいと思っただけ」
その言葉は、まるで雪のように静かだった。
だけど、私の心には温かく降り積もっていた。
屋敷へ戻る頃には、空から細やかな雪が舞い始めていた。
白い庭。
静かな夜。
その日初めて、二人は同じ景色を見ながら歩いた。
続__