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junp_Sn-Fk.
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、
雪は一晩で庭を白く染めた。
朝、障子を開けると昨日まで見えていた石畳も、庭木の枝も、すべてが淡い白に包まれていた。
「綺麗」
思わず独り言。
mg「寒いのに、よくそんな顔が出来るな」
背後から声がして慌てて振り返る。
目黒が立っていた。
「おはようございます」
mg「あぁ」
以前ならこの短いやり取りだけだった。
けれど、今は。
mg「寒くないか」
「え?」
mg「手」
目黒の視線が自分の手の指先を見つめる。
mg「冷えてる」
そういって、目黒は自分の羽織を優しく掛ける。
そのあと、ゆっくりと私の手を取って覆う。
「旦那様」
mg「何」
「最近、少し変わりましたね」
目黒は一瞬黙る。
そのあと、心なしか微笑んだような気がした。
mg「そうか」
「はい」
mg「自分では分からない」
その言葉に、思わず小さく笑ってしまった。
「そういうところも、旦那様らしいです」
その言葉に、目黒は一瞬目を瞬かせて、それからは何も返さなかった。
けれど、その表情は以前より柔らかかった。
その日から、距離が少し縮んだ。
例えば、夕食を一緒にすることが増えた。
私が庭を歩けば、目黒も少し遅れて隣を歩くようになった。
会話は、まだ多くない。
でも、気まずいという気持ちは一切なかった。
そんなある夜。
書庫を目黒が整理していた。
「まだお仕事ですか」
mg「少しだけ」
「…無理をしすぎです」
mg「昔からこうだから」
慣れている。と。
「昔から?」
mg「ああ」
目黒は手を止める。
mg「家を継ぐと決まってから、弱音を吐くことをやめた。」
mg「誰かに頼れば、その人に負担をかけると思っていた。」
その言葉を聞いて、何も言えなかった。
「…..」
mg「だから、1人でいいと思っていた。」
灯りの揺れる部屋。
普段は感情をあまり見せない目黒が、少しだけ、遠い目をしていた。
mg「でも。」
目黒が続ける。
mg「阿部が来てから、そう思わなくなった」
その言葉に胸が大きく鳴る。
「私が、来てから?」
mg「うん」
「何もしていませんよ」
mg「してる」
即答だった。
mg「毎日、帰る場所を作ってくれてる」
その言葉に、言葉を失う。
目黒は目を逸らした。
mg「…だから困ってる。」
「困ってる?」
mg「これ以上、あたり前になったら」
mg「お前がいない生活に戻れない気がする。」
静かな声だった。
その言葉は、まるで告白のようで。
けれど、目黒自身はそれが何を意味するか。
まだ分かっていないようだった。
そっと、笑う。
「旦那様」
mg「なに」
「それは、困ることではないと思います」
目黒は少しびっくりしたような顔で見つめる。
「私は、ずっと、ここにいますよ」
その瞬間。
ずっと足の上に置いていた目黒の手がわずかに動いた。
何かを言おうとして止める。
いつもの目黒だった。
でも、分かった。
この人はきっと、言葉を探している。
数日後。
実家から手紙が届いた。
佐久間からもらった手紙の内容を読んだ瞬間、どくん、と胸がなる。
mg「どうした」
いつのまにか近くにいた目黒に聞かれる。
「…..父からです」
mg「なんて?」
いうか、悩んだ、迷った。
でも、迷うのは、申し訳ない気がした。
「この結婚について、もう一度話したい。と」
目黒の表情が固まる。
mg「帰るのか」
「はい、数日だけ」
mg「そうか」
短い返事。
けれど、その声にはわずかな寂しさが混じっていた。
それに、気づかないふりをした。
「すぐ帰ります」
mg「….」
「旦那様?」
目黒はしばらく黙った後、低く呟いた。
mg「戻る場所は、ここだと思っているのか?」
その言葉に驚いて目黒の目を見る。
「もちろんです」
迷うことなくいう。
その瞬間、目黒は目を伏せた。
mg「わかった」
それだけ。
たった一言、それだけでも、嬉しかった。
初めてだった。
この人が、自分が帰ってくることを待っているように感じたのは。
雪が静かに降り続く夜。
二人の間にあった見えない壁は、もうほとんど消えていた。
ただ一つ。
まだ誰も口にしていない想いだけが、静かに残っていた。
続__