「ただいまー」
静かだな…今日って誰も居なかったっけ?まぁ、静かなのに越したことはないけど
「つっかれたぁ!ん〜!アイス食べたーい!」
そんな独り言を叫んでいる。こんな日差しが熱い中帰るとか鬼畜すぎる…
「でも、アイス切れてたっけ…」
ほんっとツイてない…お兄ちゃんに買ってきてもらおうかな…
ガチャと玄関から音がする。最悪、もう帰ってきたのか…
「ねーお兄ちゃん、アイス切れて…」
お兄ちゃんじゃない。私の目の前にいるのは…
「は、晴瑠(はる)さん…」
戸惑ったままの彼は…
「こんにちは、月深ちゃん。今日もお邪魔します」
笑顔でそう言った。
「あ、アイス食べる?ちょうど月深ちゃんの分も買ってきたんだよ」
は、ハー〇ンだ…、いやいや、普通友達の妹にこんなの買って来ないって!
「い、いや…悪いです!私ならお兄ちゃんに請求しますので!」
私は手に乗せられたアイスを晴瑠さんに差し返す。
「良いから、最近月深ちゃん頑張ってるし!俺からのご褒美」
…そんなに優しくするからこんな私みたいなのが惚れちゃうんですよ!まぁ、口には出せないけど
「じゃ、じゃあ、お言葉に甘えて…」
私はゆっくり伸ばした手を引っ込めた。
「あ!お茶!冷たいの出しますね!」
いや、ここはアイスに合うようなジュースの方が良かったか?
「ありがとう、月深ちゃんの入れるお茶美味しいんだよね」
…お茶にしよう。あぁ、私ってなんて単純なんだろう。
「そういえば、お兄ちゃん達は?」
私は、スプーンでアイスを口に運びながら晴瑠さんに尋ねる。
「あぁ、律月なら部活で呼び出されて…」
律月兄ちゃんは、双子の兄の方。運動神経抜群で、色んな部活に顔を出している。
「唯月(いつき)なら、もう帰ってくるんじゃ…」
と、晴瑠さんが言い出したのと同時にリビングのドアが開く。
「ただいまー」
唯月兄ちゃんだ。
「おかえり、唯月兄ちゃん」
「あ、お前ハー〇ン食ってやんの!ずりー!」
「コレは、晴瑠さんに貰ったんだから!一口もあーげない!」
お兄ちゃんは、羨ましそうに私を…いや、私のアイスを見つめている。
「唯月も後で買いに行こーな」
晴瑠さんはお兄ちゃんを宥めるようにそう言った。ほんと、大人だなぁ
「お前、こんなちんちくりんにアイスなんて買わなくていいのに」
唯月兄ちゃんの後ろからもう1つ声がする。
「律月!お前、静かに背後に立つなよ!」
「唯月うるさい」
ほんと、こんな人にはなりたくないな。と、つくづく思う。
「私、部屋行きますね。アイス、ありがとございます」
私は、晴瑠さんにだけ声を掛けて自分の部屋へと戻った。
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