テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「おめでとう、憬。」
背後から声を掛けられ振り向くと、そこにはニッコリと微笑む男がいた。憬はその男の顔を睨み付け「何が。」と素っ気なく答える。
14歳になり無事JCCの編入試験を終えた憬は、JCCへの入学が決まり、一ヶ月後にアルカマルを去ることになっている。
去ると言っても完全に関係が切れるというわけがなく、ハルマや熊埜御や楽がまだ施設にいる限り…憬は忌々しいこの施設から離れることができない。
そして、声を掛けて来た男…麻樹に連れ去られたシンも…──
「そんなに睨まないでくれ、憬…【弟】に睨まれるというのは、兄として辛いよ。」
「よくもいけしゃあしゃあと言ってられるな…釘でも刺しに来たのか。」
「はぁ、私はそんなに君に嫌われるようなことをしたのかな?」
(どの口が言う…!!)
一年前、無理やりシンを連れ去り
いくら安否だけでも教えて欲しいと懇願し、辛い特訓や試練などに耐えても麻樹は「もう少し頑張ってくれたら…会わせてあげることもやぶさかではないよ?」と言葉で釣り、皆言う通りにしているが…情報一つ落とすことは無かった。
皆、この男の残忍性と卑劣さは知っている。
もし…シンが最悪な事態に陥ってしまったとしたら、体の一部でも投げて寄越してくるような男だ。ソレを望んでいるわけではないが、シンへと繋がる何かが手に入らないかと…四人は我武者羅になっていた。
「あぁ、そうだ…忘れる所だった。憬、入学祝いに何か望む物をあげよう!何がいい?銃?刀?ソレともこの間新しく作った改造武器がいいかな?」
「シンを」
「ん?」
「シンを返せ。あの子以外は何もいらない。」
「……私のペットになぜそこまで執着するんだい?」
「お前のモノでもなければペットでもないっ!!散々僕たちをシンで釣っておいて何故だと!?」
「そんなに怒らないでくれ、はぁ……分かったよ。シンをお前達に渡せばいいんだな?ちゃんとお世話はできるのかい?餌やトイレの躾けだって──」
「ペットじゃないって言ってるだろ!!」
麻樹の胸ぐらを掴み、憬が怒号を上げると通路の先から他の職員達が何事かと顔を覗かせた。
やれやれ…と、呆れ顔の麻樹は両手を軽く上げ「分かった分かった。いつが良い?」と何もないふうに言うため、憬は「今すぐだ!!」と更に語気を強めた。
「そんなに会いたかったのかい?だったらそう言ってくれればよかったのに…」
今までの訴えなど聞いていなかったかのように言う麻樹に憬は青筋を立てるが、今すぐにシンを保護するのが最優先だと自分に言い聞かせ、怒りを抑えながら「今すぐ、僕をシンの元に連れて行け…!」と麻樹を睨み付けた。
施設の外室申請を済ませ、憬は麻樹について行く。
施設の出入り口で熊埜御と楽とハルマが立っていた。三人は麻樹が視察に来る度、シンを返すようにと直談判していた為、今日もそのために麻樹を待っていたのだろう。
しかし、今回は憬を伴ってでの移動だったので、三人は奇妙な物を見るような目で見ていた。
「憬…?」
「三人とも、聞いてくれ…シンが帰ってくる。」
「っ、本当に!?」
「あぁ…」
「本当にアイツが返すって言ったのか!?」
「僕のJCC入学の祝いに…」
「お願い…お願い憬っ!シンと一緒に帰って来て…!」
「うん、必ず帰ってくるよ。」
「憬…早くしてくれないか?私も暇じゃないんだよ?」
麻樹に促され、憬は三人に「じゃあ、行ってくる。」と告げて麻樹の車に乗り込んだ。
アルカマルから麻樹の保管庫まで一時間ほど掛かった。自宅ではなく保管庫にシンを閉じ込めていると言う時点で憬は麻樹に殴り掛かりたい衝動に駆られたが、ソレのせいでシンを取り返せなくなってしまっては元も子もない。
グッと握った手が白くなるほど力を込めて耐える。
「ふぅ、着いた着いた…」
「……なんだ、ここ。」
「ん?なんだって……保管庫だよ?」
「お前…ここに住んでるのか…?」
「あはは!そんなまさか!美術品の保管庫なんだから私がこんな所に住んでいるわけ無いだろ?」
外観はコンクリートで塗り固められた二階建ての建造物、美術品の搬入口になるガレージシャッターと小さな窓が点在して付けられているだけの倉庫
到底人が住み着いているとも思えず、麻樹に問うも「私が住んでいるわけ無いだろ?」の言葉に憬の心臓が冷えて行く。
ガレージが開き二人が倉庫内に入ると、広い廊下にいくつも部屋が有り、麻樹は「ふむ…どこに入れたかな…?」と言いながら一つずつ扉を開けていった。
「……何してるんだ、シンはどこだ!」
「まぁまぁ、待ってくれ…あの子をどこの部屋にしまったのか忘れてしまってね。絵画だったかな?彫刻だったかな?」
「っ!ふざけるな!!お前ここにシンを閉じ込めておいて…食事はどうしてるんだ!!」
「餌は私が来た時にあげているよ?ちゃんと昨日も餌はあげているしね。」
「シン…!シン!!どこだっ!!」
「あぁ、こらこら…はしゃぐのはいいけど、ここにあるのは貴重品なんだから、走り回ったら埃がたってしまうだろ?」
憬は見える限りの扉を開け放ち、シンの名を呼び続けるがシンの姿は何処にもない。
焦る憬とは対照的に、麻樹はゆっくりと部屋を確認すると「あぁ、そうだった。」と声を漏らし、内ポケットから鍵を取り出した。
それを見た憬は「何処の鍵だ!」と詰め寄り、麻樹は「ここのカギだったかな?」と勿体ぶるように鍵のかかった部屋を開ける。
光もない真っ暗な部屋が広がり、麻樹が壁についたスイッチを入れると明かりがついた。
天蓋付きのベッドだけが置かれた広い部屋は寒々しい…そんな光景に憬は眉を寄せた。否、この空間に広がる異臭にも気が付いていた。
ベッドに駆け寄ると蛍光灯に照らされた金色の頭髪がキラキラと輝いている。
一年振りに見るその美しい髪に安堵した。しかし…──痩せ細った体と所有物のように巻かれた赤い首輪と重々しい鎖、点在する痣と足の間から流れ出ている精液に憬は言葉を失った。
幼い体に不釣り合いなそれらを見て「し、ん…!」と声を掛けると、薄くぼんやりと開いた瞳が無気力に憬を見た後「ケー…くん……?」と弱々しく鳴いた。
「ただいま、シン…いい子にしてたかな?」
二人の再会など、どうでもいいとばりに麻樹はシンの首輪から繋がる鎖を引っ張り上げると、首が締まったシンは「ぅぐッ…けほっ…!」と咳き込み、掠れた声で「アサキ、さま…おかえり、なさい。」と言った。
「ほら、しっかり躾けられてるだろ?あの施設にいた頃とは大違いだ…やはり、ペットの躾は飼い主の技量があってこそだよ。憬。」
憬は麻樹が持っている鎖を奪い取ろうとしたが、麻樹は憬の腹を蹴り押しベッドから遠ざけると鎖をさらに引っ張り、シンはその力に引かれペタッとベッドに座り込んだ
喉元に食い込む首輪の苦しさに「ぇほ、あ…ぐっ…けぇ……くんっ」とシンは呻き、憬は「やめろっ!」と蹴られた腹を押さえて叫んだ。
「愛しいペットの譲渡なんだ、最後の別れぐらいさせてくれ。シンを連れて帰りたいんだろ?大人しくそこにいなさい。」
そう言うと、麻樹はシンの首輪に繋がった鎖を引っ張り上を向かせ、酸素を求めて開いていた口をキスで塞いだ。
くちゅっ…チュッ…と生々しいリップ音が室内に響き渡り、シンは息苦しさに涙を流して首輪を引っ掻いた。
憬はただ呆然としたまま、幼い体が陵辱される光景を眺めることしかできなかった。
息苦しさに顔を歪め涙を流し、青白い不健康な柔い肌の上を男の無骨な手が這い回り、閉じられた足を乱暴に掴み開き、柔らかく熟れた穴に無遠慮に指を突っ込みグブッグジュッ!と蜜の音を鳴らす。
麻樹が注ぎ込んだ精液が溢れ、孔を刺激する度に流れ出るモノは麻樹の指をベットリと汚し、それを見た麻樹はその指をシンの口の中へと捩じ込み汚れた手を舐め取らせた。
「ぇほっ!ごほ、ごほッ!や”っ…や”ぁ…!!けー…けぇ”、ぐ…ん”っ!!」
「し、ん…っ」
「シン、今はこっちだろ?さぁ…腰を上げて。」
「ひっ!?ぃいい”ッ!!い”っ!あ”!んぁ”!や”ぁあッ!!」
「っ、どうしたんだシン…いつもよりッ!たくさん啼いてくれるじゃないか…っ?」
「けー!ぁ”!あぁっ!けぇ…!けぇ、くん”!や”だっ!た、ぅ…たす、け…てっ、やぁん”…!!」
「シン、キミは悪い子かな?いい子かな?」
「ひぃ”ッ!!ご、ごめんな、さぃっ!うぅ…いいこ、シン、くん…いいこッあ”、あさき、さま…っ!麻樹さまっ、すき、だいっすき!あさきさまぁッ!!あ”ぁ!ひっあぁああっ!!」
麻樹の腕の中で跳ねる幼い体から聞こえる蜜音、憬が握った手からは血が流れていた。
***
「それじゃあ憬、シンの世話はちゃんとするんだよ?」
「……。」
「やれやれ…じゃあね、シン…わがままは言っちゃダメだよ?シンはいい子だから、みんなの言う事は聞けるだろ?」
「…はぃ」
二人を施設の入り口で下ろした麻樹はシンの髪を撫で、去って行く。
「…ごめん、シン。こんな…僕がもっと……」
やりきれない言葉が喉につっかえる。
冷えた指先が憬の手に触れた。
「ケーくん、シンくんは………いいこ…だから、もう、いたいのも…だいじょーぶになったよ?」
身体中に残る痕を見て、憬は謝り続けた。