テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
初めまして!Jです!
最強無敵連合にハマりました…
同志が周りにいなくて悲しき(((殴
この話はフィクションで本人様とは全く関係ありません。
※以下の内容が含まれます
キル弍十メインですがニキしろ、りちょシドがかなりがっつりあります。
人が死にます(生き返ります)
エセ広島弁、関西弁です
初心者なので誤字その他色々あります
自己満で量も多いので一回で読もうとしないで!
そして、全員が核と契約して能力を使っているというよくわかんない設定あります!
理解者しようとしないで!!
では本文どうぞ!
弐十「っ、かは……!」
しくじった。
そう思ったのは俺の腹を敵の刀が貫いた時だ。
刀が抜かれみぞおちから血が噴き出るのが見える。
がく、と硬く冷たいコンクリートの地面に膝をついた俺を見てニキ君が俺の名前を叫ぶのが聞こえた。
ひゅー、ひゅー、と乾いた呼吸が自分から発せられている。
ごほっ、と咳き込めば口元を抑えた自分の手に血が付いている。
(……っ、倒れるな、敵を倒し続けろ……そうしないと意味がない…っ!)
どくどく流れる血を止めるために強く傷口を手で押さえるけど、意味がない。
そりゃそうだ、だって俺の左手はもう傷だらけでまともに力が入らない。
右手だって武器の銃を持つのが精一杯でもう話したらきっともう掴むことができないんだ。
それでも、敵を、倒さないと。
そんな焦りだけが頭を支配しているのに、俺の身体はもう限界だというように足が震えて立ち上がることすらできなかった。
このまま、此処で倒れて何になるんだ。
俺が倒れる、そうしたらまた18号さんが能力を使って回復させる。
でもそれでももう後数回しか使えないはずだ、そうでなくても18号さんへの負担が大きすぎる。
昨日だって、一昨日だって、ずっと苦しそうにみんなを回復させて。
みんなも傷だらけだ。
数日に一回は命を落とすような大けがを負って、苦しそうな顔をしても結局優しいから励まし合って、弱音も全部飲み込んで。
……何より、俺は……俺は……っ!
唇をかみしめた俺は震える右手で銃口をゆっくりと上にあげる。その瞬間鋭い声が前方から聞こえてきた。
キル「っ、おいシード!!弐十を止めろ!!」
……何で。
一番近くに居たシードに向けたその言葉にシードがばっ、と此方を振り返る。
そして、俺が何をしようと察したのか表情を変え、対峙していた敵をねじ伏せ、俺の元へと走ってくる。
シードが俺の銃を奪おうとしたが、俺の握りしめる力の強さに息を呑む様子が他人事のように見える。
……どうしてそんなことを言うの。
俺から銃を離させることを諦めたのかシードが思いっきり握りしめ半分上を向いていた銃口を下へと下ろす。
その勢いにつられて俺も体制を崩す。
思いっきり腹の傷に衝撃が走り、痛みと共に再び咳き込めば手に収まりきらず、唇の端から血がたらりと垂れる。
弐十「シード……邪魔すんな。」
シード「嫌に決まってるじゃろ!それは最終手段って全員で決め…」
弐十「もう終わらせるんだよ!!」
自分でもびっくりするくらい大きなが出た。
弐十「俺も、お前も、全員捨て駒なんだよ、国にとってはな……」
俺等が撤退を命じられない理由なんて、当の昔にわかっていた。
回復能力を持つ能力者が居る俺達は、死ぬ限り何度だって戦うことができる。
そこまで見越して、”最強無敵連合”なんて名前を付けた。
弐十「……この戦いに、終わりなんてねぇのはお前だってわかってるだろ。」
シード「でも、それでも弐十君が全部一人で背負う必要は……!!」
弐十「シード……お前は、りぃちょが死にかけの状態でもそんなことが言えんのか。」
その言葉にシードはぐっ、と言葉を詰まらせた。狡い質問なのはわかってる。
誰よりも、愛して、愛されている人の死を前にして、こいつが助けないはずがない。
例え自分の命が断たれようと、シードは絶対にりぃちょを守り抜く。
シード「……全部、背負うって言うんか。」
弐十「……うん。」
きつく握りしめた拳からは血が滲んでいる。
結局シードも、優しいんだ。
きっとここに居るのがシードじゃないくても、ニキ君やせんせーだったとしても俺を止めようとしたんだろう。
シードの手がゆっくりと銃口から離された。
しっかりと目を合わせればまだその瞳には迷いが浮かんでいて。
シード「……ごめん。全部、全部……っ、押し付ける……」
弐十「……はっ、謝んなよ。お前らしくねぇわ。」
シードの肩を借りて俺は立ち上がる。
立ち上がった後、一人で前に一歩踏み出した俺を見て、シードは耐えきれなくなったように口を再び開く。
シード「……キル君は……」
ずっとそれが一番言いたかったのだろう、シードは。
俺だってわかっている。
シードを俺のところに向かわせたのだって、俺の異変にいち早く気付いた、あいつだった。
俺の相棒で、大親友で……世界で一番大切な恋人。
もうきっと、シードがきたことで大丈夫だと思ったのだろう。もうその背中は見えなくなっていた。
弐十「……じゃあ、一個だけ、伝言頼むわ。」
”ちゃんと天寿全うして、お前が天国来てくれたら、その時にはお前が一番欲しかった言葉を言ってやるよ。”
シード「……っ、相変わらずさっぱりしてるんやね……」
弐十「……未練だよ。」
シード「未練?」
そう、これは未練だ。
ずっと、俺だけのことを考えていればいいっていう、俺からの最期の未練。
我ながら女々しいなんて思ってしまう。
俺、こんなに愛が重かったっけ。
……大好きだ。
俺の名前を呼ぶその声も。
俺を見つめる暖かいあの瞳も。
側に只いてくれる優しさも。
全部、全部、全部。
弐十「……気持ちはわかるだろ?あいつのためだったら、俺は命を投げれる。」
シード「……俺、後でキル君に絶対殺されるわ。」
弐十「間違いないね。」
腹から流れる血が俺の足元に垂れて、血だまりを少しづつ作り始めている。
もう時間はない。
カチャリ、と銃のホルダーに俺は手を掛けた。
ゆっくりとそれを前にあげ、そのまま上にあげる。
その指で俺は最期の力を振り絞って引き金を引いた。
弐十「……全部、ぶっ壊してくれ。」
バンッ!!
銃声が、なった。
静かだ。
この大嫌いな戦場も、敵の声も、銃声の後の音は何にももう聞こえない。
銃に力吸い取られていく感覚がする。
もう五感も失われて何もわからない。
真っ暗で、真っ白な空間に上下もわからず浮いているような感覚、それでいて、死へ向かって言っている感覚。
走馬灯のように、皆の顔が思い浮かんでは消えていく。
……18号さんに恋愛相談も結局できなかったな。
りぃちょ君とキャメさんとご飯行く約束も、はとね君を連れてシードとパチ屋行く約束も。
あ、ニキ君とせんせーにも、全部終わったら一緒にダブルデートしようぜとか言われてたっけ。
そんな中でも結局最後に浮かぶ人は決まっていて。
ごめんね、トルテさん。
いつも、結局、一回も俺から愛を伝えられなかった。
いつまででも待ってるから、って言ってくれたことに甘えて、ずっと逃げていた。
今なら、いくらでも、言えてしまいそうだ。
”愛してる”という、単純で、ずっと喉の奥につっかえていた言葉を。
……あーあ、最後までずっとダッセぇな、俺。
ふっ、と急に意識が遠くなる。
徐々に眠りにつくような、そんな感覚に抗わず、俺は静かに目を閉じた。
_____________________
しろ「っ!?弐十ちゃん駄目や!!」
バンッッ!
キル「……は?」
しろせんせーの叫び、そして銃声がほぼ同時に聞こえた。
振り返る間もなく眩しく真っ白な光が戦場を丸ごと包み込む。
__この現象が何なのか俺は知ってる。
心の中でそんなはずがないと、俺が叫んでいる。
弐十君の能力である”銃の能力”の最大の技は所持者の全ての生命力を吸収する代わり、自分の望むものならだれでも跡形もなく消すことが出来るといういわゆるチート技だ。
普通の人ならばそう思うのだろう。
俺は、大嫌いだったが。
つまり、その技を使ったであろう弐十君は。
光が晴れれば思った通り敵の姿は一つもない。
ホワイトアウトしていた視界が晴れた瞬間俺は走り出す。
力が抜け落ち、血だまりの中へ倒れていく最愛の人へ向かって。
ドサリ、とその体が硬いコンクリートに落ちる音、そしてピチャ、という血だまりに落ちる嫌な音。
その冷たいからだを起し、俺はきっと弐十君のであろう血にまみれた震えた自分の手を見た。
キル「っ、おい……何倒れてんだよ……」
静かに目を瞑ったまま弐十君は動かない。
目の前にいたシードが膝から崩れ落ちたのが見えた。
その目には大粒の涙が溜まっていて奥歯がギリ、と音が鳴るほど食いしばられている。
俺の後ろで立ち尽くしたしろせんせーが呆然と俺の腕の中に居る弐十君を見つめている。
しろ「くそ……18!!」
18号「……無理だよ。息もしてない、心臓もっ……動いてない……」
俺よりも前に此処にたどり着いていた18号の言葉には嗚咽が混じっていて。
キル「……だ……まだ……何かないのかよ!!!」
硬い地面に向けて俺は拳を殴りつける。
何か、何かがっ……あるはずだろ!!
呼吸が荒くなる、首を絞められているような息苦しさ。
ニキ「……っ、キル、やめろ。」
キル「お前に何がわかるんだよっ!!」
ニキ「わかるに決まってるだろ!!!」
胸倉をつかまれ、前を向かされる。
悔しさ、怒り、悲しみ。沢山の感情に表情をゆがめたニキがそこには居た。
ニキ「……クソみたいな終わり方だよ……本当に。」
儀が滲んだ俺の拳を掴んだニキの手がそっと手を離す。
激情をそのまま目に宿したような、俺を止めた強い視線が俺の目から離される。
ニキ「……そもそも俺が、最強無敵連合何て作ったから……」
りぃちょ「ニキニキのせいじゃないでしょ。ニキニキが提案してくれなかったら、みんなここにいない。」
18号「……りぃちょの言う通りだよ。」
ニキ「18……りぃちょ……」
震えるシードを抱きしめたりぃちょと18号の言葉は暖かくこそあれども沈んでいる。
はとねだって、キャメだって黙って下を向いていた。
するりと握っていた弐十君のの手を離せば冷たくなった手が冷たい地面に落ちる。
____守れなかった。
助けられなかった。
救えなかった。
そんなまぎれもない事実だけが俺の手のひらに残っている。
大切なものがすり抜けていったそこには温もりも、何もない。
……何がエクソシストだよ。
弐十君は、全部背負って、俺が散々馬鹿にした勇者を全うしたって言うのに。
……アイツのおかげで、俺達は今ここに居る。
全員ボロボロだった。
あの後誰が死んでもおかしくなかった。
全部守り切った、アイツを……俺は……称えるべきなのか。
その瞬間ふとある時の光景がフラッシュバックするように俺の脳内を走った。
弐十「トルテさんはさぁ、何で軍なんて入ったの?」
キル「……何だよ急に。」
弐十「普通に聞きたいなって思ってさ。」
キル「そういうお前はどうなんだよ。」
弐十「俺?俺はねぇ…………怖いからかな。」
キル「怖い?」
__もう何年前のことだろうか。
まだニキにもせんせーにもあってなかった時のこと。
軍に入って弐十君への恋を自覚してから、まもないころ。
夕陽に照らされた弐十君の瞳がそっと伏せられる。
弐十「そう、怖いんだよね~。失うのが。笑」
キル「へぇ。」
弐十「興味ねぇだろ、自分で聞いたくせに。」
キル「戦場に居れば守れるからってことか、勇者だもんなー。」
弐十「おお、やんのかエクソシスト。」
本当にくだらない会話だなって二人で笑った。
理由なんてそんなものは無意味だとわかっていながら。
弐十「で、トルテさんは何なの?」
キル「俺は弐十君と真逆。何も考えてねぇからだよ。」
弐十「薄情者。まぁでもトルテさんらしいね。」
じゃあさ、といいながらしゃがんでいた弐十くんが立ち上がる。
そして同じくしゃがんでいた俺の頬に手を添える。
思わず固まった俺を見て悪戯っぽく、そして寂し気に目を細めた。
弐十「……俺が死んだら泣いてよ。」
嘘でもいいからさ。笑
あの時俺はなんて答えた?
きっと笑った。
無理だわ、っていってデコピンでもしたんだ。
幸せだった。
もう戻らないのに。
もう届かないのに。
キル「……んで……………」
ポタリと落ちた雫がコンクリートを濡らす。
キル「…いくなよ……っ、……俺から何もかも奪ったくせに。」
あふれる涙で視界が滲む。
奥歯をかみしめても止まらなかった。
紛れもないアイツの血で汚れた俺の手。
全部が、俺に現実を突きつけてくる。
苦しい、辛い。
俺の目はこんなにも暑いのに、きつく抱きしめた腕の中の身体はどうしてこんなにも冷たいんだ。
キル「何が嘘でもいいからだよ……嘘だったらどんだけ楽だったんだろうな……いつも息をするようにするんだから。」
何にも関心を持たずに、何も考えないでいきてきた俺を引っ張って、眩しすぎるその光で照らして。
その暖かさに気付いて手を伸ばしたら、勝手に消えていなくなるなんて。
無責任だ。
そして、何にも気づかずに幸せを当たり前と勘違いをして、手からこぼれ落ちてしまいそうなものに気付けなかった俺は。
_______本当に馬鹿だ。
キル「っ……くそ……”……くそが…”……っ」
爪が食い込むほど強く、手のひらを握りしめる。
静かになったこの戦場には、俺の静かな叫びだけが、小さく響いていた。
_______________________________________
ここは、どこだ。
暗く、真っ暗で、何も見えない。
”私はお前の魂を食らわない”
突然聞こえてきた言葉に上下も前後もわからないこの空間で音のなる方を振り向けば契約した銃の核が浮かんでいる。
弐十「……俺の魂と引き換えにあの能力を使ったんだろ?」
”ああ”
……そう、俺は、死んだはず。
みんなを失わないために、この戦いを終らせるために。
(魂を受け取らないなんて……)
弐十「……そうしたら、俺はどうなるんだ?」
”現世に戻る”
弐十「っ……!?」
そんな夢みたいなことがあってもいいのか。
その言葉に色々な感情が押し寄せてくる感覚がして俺は頭を横に振った。
”未練があるんだろう。そんな奴は不味いんだ”
弐十「勝手すぎるでしょ……」
”さっさと戻れ”
核の言葉に俺は後ろから差す光の方を見る。
輝いていて、魅力的で、それでいて、どこかぼやけている光。
弐十「……」
”……何故行かない”
立ち止まったままの俺に核は問う。
俺は段々と具現化してきた自分の姿を無言で見つめて核を振り返った。
弐十「……いきたくないって、言ったら?」
沈黙がその場を支配した。
重く、静かな空気。
”……お前の意志は関係ない”
弐十「……そう言うと思った。」
突き放すようなその言葉に俺は苦笑いを浮かべる。
はぁ、と息をつき、俺の中に溜まった黒い感情に蓋をした。
そして一歩、一歩と光の方へ歩き出す。
弐十「もう会えないかな?」
只光の方へゆっくり歩き、俺は振り返らないで聞く。
核は答えない。でもきっと、言わないってことはそうってことだ。
弐十「……この能力、俺は嫌いじゃなかったからさ。」
近づくにつれ、段々と視界が、聴覚が、冴えてくるような感覚がする。
夢から現実へと、戻るような感覚。本当は逆に近いのに。
弐十「……今までありがとう、銃の核。」
とあるところで俺は足を止めた。
ここから先へ進んだら、もうここには戻ってこれない。
”……未練、と言いながらお前は怯えているのだな”
その言葉に俺は答えなかった。
只、振り返らずに、息を吐く。
足を踏み出した。
落下していくような、そんな感覚と共に俺は白い光に包まれる。
”愚か者め”
その言葉が、酷く耳にこびりつくように残った。
ぼんやりと意識が浮上する。見覚えのなる白い天井がそこにはあった。
弐十「……生き返った……?」
ベッドから起き上がり、ゆっくり視線を動かすと、見慣れた俺の服装をしている。
腹部の刺された傷も綺麗に治っている。
一時的に寝かされていたのであろう医務室には相変わらず消毒液の匂いが充満していた。
ガシャンッ
18号「……え……?」
大きな音とともに聞こえたその声に俺は振り返る。
呆然と花瓶を落としたまま立った18号さんがそこにはいた。
信じられないものを見るような目をしている。
口を開けては閉じ、開けては閉じを数秒間繰り返し、迷った末に出てきた言葉は。
弐十「……ただいま…?笑」
その瞬間ぶわり、と18号さんの綺麗な紫の瞳から大粒の涙がこぼれ落ちた。
18号「に、と……ちゃんっ…っ……!」
足の震えを抑えながらゆっくり歩いた18号さんの暖かい腕に俺は抱きしめられた。
声になっていない嗚咽をあげるその小さな方に俺はそっと手を置いた。
18号「、一か八かで……はとね君の能力……能力と人を切り離す能力を使ったのっ”……」
……そっか、だから…
18号「死者に”……その能力が働くわけがないって……でも、一縷の希望をかけて”っ…」
弐十「……うん。」
18号「……っ、ばか!にとちゃんのばかっ!!」
弐十「……ごめん。」
……こんなに悲しんで、俺の為に起こってくれる人が居るのに俺は……
持っていたハンカチで目元を抑えて18号さんが立ち上がる。
18号「とりあえず、こんな深夜だから皆寝てるよね。」
その言葉に時計を見てみると2:10という数字と共に真っ暗な外の景色が俺の視界に映った。
うーんと顎に手を当て、いつもの調子を直ぐに取り戻した18号さんはでも……と言葉を続けた。
18号「そうだね、キルちゃんだけでも呼ぼうか。」
弐十「……っ!」
その単語が出た瞬間まだ現実じみておらず、ぼんやりしていた俺の思考回路が冷水を浴びせられたように冷えた。
咄嗟に部屋を出ていこうとした18号さんの腕を掴む。
18号「……にとちゃん?」
弐十「あ……えっと……」
自分でも引き留めるための言葉が何も出てこなかった。
不思議そうに俺の目を見るその瞳に焦燥感だけが募る。
核と話したあの時から感じている、黒く、濁った感情。
(……トルテさんに会って……俺はどうしたらいいの?)
静止を効かないで、自分勝手に突っ走って死んだ。
挙句の果てに勝手な遺言まで残して。
嫌がらないはずがない。
もう顔も合わせたくないかもしれない。
あの人に拒絶されたら、何時もむけてくれた優しい目が軽蔑に変わってしまったら。
(……っ、俺は……きっと耐えられない。)
もしどれだけひどく扱われたとしても、俺は結局トルテさんのことを嫌いになれないから。
そんな状態になってしまうのなら、それならいっそ……いっそ。
弐十「……ねぇ、18号さん。俺のこと、死んだことにしてくれない?」
いきたくなかった、理由。心の底から焦がれる場所が、怖かった、その理由。
(……馬鹿だなぁ、この期に及んでまで嫌われたくないだなんて。)
でも、俺は。
18号「やだ。」
弐十「……え?」
18号「にとちゃんは怖がりすぎだよ。キルちゃんがにとちゃんのこと嫌いになるはずないでしょ?」
弐十「っ、でも俺はトルテさんに……!」
18号「じゃあにとちゃんは、キルちゃんがみんなの為に死んで、でも生き返ってくれた時、キルちゃんのこと嫌いになるの?」
言葉が詰まる。
ぎゅっと拳を握りしめて下を向いた俺を18号さんは静かに見つめた。
18号「……にとちゃんの気持ちがわからないわけじゃないよ。でも、信じてあげてよ。……自分のことを、キルちゃんのことを。」
弐十「……っ」
18号「……大丈夫だよ、絶対に。私が一番よくわかってるもん!二人がどーんだけお互いのこと大好きかなんて。」
だから、大丈夫。
震える俺の拳を18号さんが握り、俺に微笑んだ。
その瞬間医務室の扉が勢いよく開いた。
18号「……トルテ、さん……」
キル「はぁっ、はぁ……っ」
肩で息をしているトルテさんが俺を見た瞬間走り出す。
すれ違うようにして部屋をでた18号さんによってその扉が閉ざされる音と共に俺は大好きな人のぬくもりに包まれた。
キル「………本当に、生きてる…………」
弐十「……あはは、俺もびっくりしてるよ。急に現世に戻れって契約切られてさぁ。」
思わず場を和ませるような発言が俺の口から出る。
でもその肩が小さく震えていて、俺は言葉を止めた。
それが、俺のせいであることに、まだ、俺を包んでくれるそのやさしさに、胸が苦しくなる。
視界が滲むのを抑えるように唇をかみめた。
俺の肩が濡れるのを感じる。
暫く道が沈黙の後に最初に言葉を発したのはトルテさんの方だった。
キル「……………………生きてて、よかった……っ」
限界だった。
ポタリ、と俺の目からあふれた雫がトルテさんの耳に落ちる。
そのことに気が付いたトルテさんが抱きしめていた腕をとき、半ば呆然としたように俺を見つめた。
キル「………なんで、お前が泣いてんだよ……」
弐十「っ、う”ぅ、トルテ”さん……っ、ごめん……ごめんなさ”い…!」
泣いている姿を見られたくなくて、その暖かさに触れていたくて俺はトルテさんの方に顔をうずめた。
とめどなくあふれてくる涙が今度はトルテさんの肩を濡らす。
さっきのトルテさんよりも、18号さんよりも震えた俺をトルテさんは戸惑いながらも抱きしめた。
その温もりに更に涙が止まらなくなる。
弐十「…っ”、勝手に死んでごめん…っ、トルテさんの”こと、置いて逝ってごめん…っ…」
キル「いや、そんなこと言われたら俺、何も言えないんだけど。」
困ったような声色をにじませながら、トルテさんが俺の頭をなでた。
弐十「っ……謝るからぁ”…っ、嫌いにならないで……っ”……見捨てないで……っ”」
キル「……なわけないだろ、俺弐十君のこともう戻れないくらい好きだし。」
弐十「もうやだぁ……俺も好き”だし……っ」
キル「情緒大丈夫そ?」
ナチュラルなトルテさんのツッコみに俺は泣きながら少しだけ笑った。
笑い声が嗚咽に混じったことに気付いたのかトルテさんがおい、と俺の頭をポンッと優しくはたく。
……きっといま顔ぐしゃぐしゃなんだろうな。
キル「てか本当に大丈夫?水飲めよ。」
弐十「頂戴”。」
キル「調子のんな。」
そう言いつつも動かずとも手で届く範囲にあった小さい冷蔵庫から水を取り出してくれるトルテさん。
ようやく俺は肩から体をどけ、熱い目頭を押さえながら手渡しされた水を飲む。
弐十「う”……また涙出てきた。」
キル「嘘だろお前、俺より泣いてるじゃん。」
弐十「しょうがないでしょ……」
ハンカチも何も持ってない俺は自分の袖で涙をぬぐい。
息をゆっくり吸って吐く。数回それを繰り返しようやく落ち着いたところで再びトルテさんと向き合った。
弐十「……本当にごめん、トルテさん。」
キル「いや、だから…」
弐十「……さっきのは冗談でもなく、本当のこと。」
ベッドの近くの椅子に座ったトルテさんの目を見つめ、俺は言葉を一つ一つ選ぶようにして、ゆっくりと話し始める。
弐十「……俺は、この戦争を終らせるために、自分の魂を銃の核と交換した。トルテさんの言葉を無視して、死ぬことを選んだ。」
キル「…………」
ゆっくりと、言葉を紡ぐ。
弐十「……でもね、後悔はしてないんだ。俺の命を捨てて、みんなを失わないことが、あの時俺にとって一番だった。」
俺は、トルテさんを、選べなかった。
弐十「…………嫌いになって当然だと思う。軽蔑して当然だと思う。……そんなことしておいて、俺は此処に戻って来てる。」
弐十「………ねぇ、トルテさん。…………こんな俺とは、別れた方が、いいんじゃない?」
もう、目を合わせられなかった。
下を向ききった俺を、トルテさんはきっと、無言で見つめている。
怖い、けど、受け入れないと。どんなことを言われても。
全部、打ち明けてから、全部、トルテさんに決めてもらう。
…………ごめんね、18号さん。俺は、どこまでも…
___臆病者。
キル「……そういうことね?ようやくわかったわ。」
ドサッ
弐十「い”っ……ちょっ、は?ちょ、待て”…!」
視界がぐるんと回転する。
頭に衝撃が走る。
抵抗しようとした俺の手首をを華奢な癖に妙に強い握力で一つにまとめる。
組み敷くようにベッドに押し倒された俺はトルテさんの表情に息を呑んだ。
怒り。
きっと、軽蔑一色だろうと思っていたその瞳には怒りが浮かんでいた。
初めて俺に向けられたその感情に俺は意味が分からないまま抵抗を続けようとするも無理やり顎を掴まれる。
弐十「っ!?」
キル「弐十君さ…今俺が目の前で泣いてたの見てそんなこと言ってんの?」
ギリ、と掴まれる力が強くなる。
キル「……ならわからせてやるよ。多分生き返ったから体力も全部回復してるんでしょ?なら問題ないね。」
弐十「っ、トルテさ…!」
最後まで俺は言葉を言えなかった。
殴られたからではない。気を失うほど大きな痛みを感じたからでもない。
只、先ほどの怒りをにじませた声からは想像もできないほど優しい口付けをされた。
拘束されていた腕もとかれ、只優しく抱きしめられる。
弐十「……え?」
キル「…………ま、嘘だけどさ。ここまでお前が鈍感だとは思ってなかったわ。」
急な態度の変化に混乱している俺にトルテさんは長々とため息をついた。
キル「……一言お前に返すけどさ………無理。てか本当に話聞いてないね?さっき俺好きっていったぞ?」
弐十「え、いや、ぁの……」
キル「…………」
弐十「……マジで?」
キル「大マジだわ。」
再び椅子に座ったトルテさんの真っすぐな瞳が俺を見つめる。
キル「…………お前のこと捨てる気も、離してやる気も毛頭ねぇから。」
弐十「……っ、!」
間違えてしまった恥ずかしさやら、失言やらへの申し訳なさ含め大量の感情が一気に俺に襲い掛かってくる。一言も発さなくなった俺を見てトルテさんは鼻で笑った。
弐十「マジで俺の馬鹿……」
キル「いや滑稽だったねあそこまでくると。」
弐十「え、じゃあ俺勘違いした挙句に人の話聞かなかった奴ってこと?」
キル「最低だな。」
弐十「くそ……まじで阿保すぎる。」
頭を抱えながら俺は頭を冷やすように置いてあった水を一気に煽った。冷たい水が喉を通る感覚と共に更に過去に俺を殺したくなる。そんな俺をじっと見つめるトルテさんが気になって俺は振り返った。
弐十「何ジロジロ見てんの。」
キル「…………ていうかさぁ…怒ってんのは本当なんだけど?」
弐十「え?」
キル「え、だってつまり弐十君は俺のこと疑ったってことでしょ?それってまず許せないし。」
弐十「えっと…………ごめん?」
キル「謝って許されたら警察は要らないよね~?」
弐十「…え、まさか……」
キル「……回復してるんでしょ体力。朝まで付き合ってよ。」
ドサッ
デジャヴを感じる音と共に俺は押し倒される。
キル「……抵抗しないんだね。」
弐十「…………まぁね。」
あーあ、結局俺が馬鹿だったってことだったんだ。
そう思うと本当に馬鹿らしくて笑いが漏れる。死ぬときって人ってこんな思考になるんだ。
弐十「……ねぇ、”俺のことが大好きな”トルテさん?……
前も後ろもわからないくらいに激しく抱いて、俺を満たしてよ。」
キル「っ……」
驚いたような表情をするトルテさんの頬に手を添え、キスをする。
悪戯っぽくペロッと舌を出すとトルテさん表情が変わった。
___本当に馬鹿だな、俺。
いつものように見ているのに。
俺に激情を抱いて、俺しか見えなくなっているこの人のこの瞳を、知っているというのに。
嗚呼、幸せだ。
ずっと、ずっと幸せだった。
もう逃がさない。
もう目を逸らさない。
もう二度と、疑わない。
弐十「全部、全部……俺に頂戴。」
臆病者は欲張り者。
弐十「トルテさん、愛してる。」
ほら、言えたじゃないか、簡単に。
_____________________________________
りぃちょ「はぁ!?お前ら昨日じゃあヤったの!?」
弐十「ちょ…!」
18号「へぇ……にとちゃんあの後やったんだぁ……病み上がりでどんな症状出るか分かんないのに?」
弐十「…………すみませんでした。」
朝10:00。
弐十君が全員に囲まれながらベッドに座っている。最強無敵連合全員が揃い、戦争も終わったことだし、と呑気に飲み会に近いものを朝早くからしていた。
キル「てかシードお前いつまで泣いてんだよ。」
シード「キル君だって泣いたじゃろ!?俺に言うのブーメランだろうが!!」
ずっとハンカチで目を抑えてるシードを揶揄えばいい反応が返ってくる。
おもろ、と思いながらずっと揶揄っていると18号の冷たい視線が俺に降りかかってきた。
……説教されたくねぇからやめるか。
ニキ「反応で言うとやっぱ一番はとねがおもろかったけどねww」
はとね「いやいやびっくりするでしょあれは!!」
弐十「まぁ確かにやっちゃった俺も良くないんだろうけどはとね君は一番面白かったね。角から幽霊ドッキリw」
はとね「自分の能力使ったとはいえさぁ!!いやてかニキお前もやばかったぞ!!」
ニキ「えぇ俺!?」
りぃちょ「に”と”ちゃ”ん”よ”か”った”~!!っていってたもんねニキニキw」
ニキ「おいりぃちょそれは盛りすぎだろw」
しろ「いやでもお前そのくらいヤバかったぜ?まぁ俺も人のこと言えんけどな。」
キャメ「せんせーは、うううううううう~ってねw」
しろ「おぉぉぉ、キャメそれはお前だろ。」
キャメ「いや違うけど!?」
全員で談笑するのを見ながら俺は弐十君の隣を陣取りながら煙草を吸った。
その瞬間18号に取り上げられる。
18号「キルちゃん?よくないよね?」
キル「…………はい。」
18号「と言うかなんできのうやったのかなぁ?教えてほしいな~。」
まちこ「私も知りたーい!」
キル「いや興味本位だろ後者は。」
弐十「でもトルテさん過去一だったよ。」
りぃちょ「お、キルちゃん過去一だったん?ww」
キル「いやだってしょうがないじゃん!?だってさぁ、めっっったに誘ってこない弐十君が上目遣いで舌でペロッてキスするんだよ?しかも愛してるって?」
弐十「トルテさん????」
ニキ「それは耐えられないよな。俺ボビーにやられたら無理だもん。」
シード「それは仕方ないねキルちゃん、俺もシードにやられたら無理。」
18号「ニキニキとりぃちょは同じ事やったら1時間正座コースね?」
シード「うわきっつwwがんばれりぃちょ君ww」
りぃちょ「いやまだやるってきまったわけじゃないんだけど!?」
全員が笑いあう中弐十君が笑いながら言う。
弐十「でも本当によかった、みんなとこうしてまたしゃべれてさ。俺幸せだわ。」
全員「……………………」
弐十「え、何で急に静かになったの?」
ニキ「…………今のはにとちゃんが悪い。」
キル「いや昨日から此奴ずっとこんな感じ。」
しろ「待って今ので俺また涙出てきたんだけど。」
シード「しろせんせー弱いの~!!」
しろ「お前が一番人のこと言えないだろうが!」
……きっと、本音だろうな。
隠さない、心の底からの本音。
弐十「……トルテさん?」
キル「弐十君さ、絶対幸せにするわ。」
返事はない。
……あれ、俺今恥ずいこと言ってくね?
キル「ごめん今のなし…………」
振り返り、早口で否定しようとしたところで俺は言葉を止めた。
ゆでだこのように真っ赤になった弐十君がそこにはいて。
弐十「……不意打ちは……狡くない……?」
最後の抵抗として睨んでくるその姿が、心の底からいとおしいと俺は思った。
End