ピピピピ!ピピピピ!
耳障りな目覚ましの音。朝を告げるストレスの音。
んー…あと5分……いや5分と言わずあと5時間……はっ!
ガバッと起き上がると時計は12時を指している。ん?えっ?12時……?朝じゃなくて真昼……?大遅刻じゃん!?論外!
……待てよ?流石に今日は学校ないんじゃね?そうじゃなきゃこんな意味不明な時間に目覚ましかけないっしょ。
スマホを見て確認する。…なるほどSundayじゃねーの!ビビったぁ…。心の臓に悪い。
アレ?なーんか大事なこと忘れてる気がしなくもない……。なんか不二くんがどーのこーのだった気が?不二くん…のアクキー……?あっ。
「生きてるーッ!?!?!?な、なんじゃこりゃーッ!!!!!!」
過去一デカい悲鳴が思わず飛び出る。冷静に考えると何この見慣れないようなそうでもないような天井!病院か?いやどう見ても自室…?わ、わからぬ。誰か説明してクレメンス…。
と混乱しているとスマホに通知がきた。誰から……お?”立海男子テニス部”からか…… 。
おぉ?おっ?………リッカイダンシテニスブ?
はぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!??
何このグルチャ!?知らんなァ!?知らんぞォ!?え、ヤダ〜怖〜い…。いや名前事態はとてもよく見覚えがあるんですけどね!そんなグルチャに入った覚えはゼロでーす!!なんコレ!?アーン!?!??どういうことやねんな!死んだと思ったら爆睡してて謎の部屋で目覚めて立海男子テニス部っつうよくわかんねぇ名前のグルチャ入ってるしさぁ……。
……あ。点と点が線で繋がったかもしんない。私、天才だから気づいちゃったかもしんない。
コレ、異世界転生だ。
…………って!んなワケないないない!!あーバッカみたい!実は今までのぜーんぶ夢なんだわwいわゆる夢オチですな!それを”コレ、異世界転生だ(キリッ)“とかファーwwwww
寝よ。寝て夢から覚めよ。あービックリした!じゃ、おやすみ世界!
私は安らかに眠りに落ちた。
んー…あと5分……いや5日でも可………はっ!ここは…?
周りにはパイプ椅子の上に座った生徒達が大勢いて壇上には花と人が…あっ!アレはやたらと話が長いことでお馴染みのウチの学校の校長!そういや卒業式の途中だったわ!気づいたら爆睡してたのか。死んだりとかもろもろ激ヤバな出来事いっぱいあったけどやっぱ夢オチじゃん!そんなこったろうと思ってたさ!
少し目を離した隙に校長は席に戻り、在校生から送辞の言葉があるそうだ。あー早く終わんないか、な……?壇上に立ってるのって在校生代表だよね?あのシルエット知ってる……。
「〇〇先輩!」
え?私の名前…。アレは……?
「あーっ!!!」
日吉若2年アグレッシブベースライナー性格は冷静沈着で他人に流されない!?!!どうしてあんなとこに!?
「先輩…好きです付き合ってください!」
「えーっ!??!」
「ちょっと待ったー!」
「なーっ!?!?!!」
だ、だ、だ、誰?今度は誰?後ろから聞こえた気が…って関西弁低音吐息伊達眼鏡こと忍足侑士!?!
「俺の方が〇〇ちゃんのこと好きや!!!付き合って欲しい!!!!!」
な、な、な……なに?なに?なんなの?とてもいきなり急展開過ぎない!?この状況なに?ト〇コレで見たことあるよ!?ねぇ?というかなにこの組み合わせ!??しかもキャラ崩壊してません?侑士ってあんなクソデカボイス出せるんだ…。感動…。
「ちょっと待ったー!」
この声は…いやまさか……!声がしたのは職員、つまりはティーチャー達の席の方……。
「私が1番〇〇のことを愛している。付き合うのは私だ」
榊太郎(43)!?な、なんやねんこの状況…。
「〇〇先輩はどっちが好きなんですか?ま、俺でしょうけど」
日吉…いや…若くん……!
「それは違うで…〇〇ちゃんは俺と付き合うよな?」
侑士…いや…えっと…侑士……!
「違うな。〇〇と付き合うのは私だ」
榊監督…いや…太郎……!
私…これから一体どうすればいいのーっ!!!
「やめてっ!私のために争わないでーっ!…………あ?」
ここ…さっきの部屋だ。アレは夢…か。うん。思い返せばずっと変だわ。あの状況全てが。まあ夢でしょうね。うん。
だって完全に氷帝じゃん。氷帝の卒業式じゃん。しかも私の名前、字面は〇〇で問題ないけど実際の読み方「まるまる」だったかんね?なんだよ「まるまる先輩」って。マ〇マルモリモリかよ。
時計は17時を指している。5時間近く寝てたってことでおk?もうどっからが夢でどっからが現実かわかんないよ……。これが幻有夢現ってコト!?そうなんですか大和部長!?
あぁ…どっと疲れが………。ん?また通知?いや違う!電話だ……。あ!誰からか見る前に出ちゃった!これは痛恨のミス!出ちまったモンは仕方ない…
「もしもしー」
「あっ、もしもし!俺だけど」
いや俺って誰だよオレオレ詐欺かよwwwwwと言えればよかったのにね。その声は聞き覚えしかなかったのだ……。
「ゆ、幸村くん………?」
「うん。そうだけど?」
そ、そんな!当たったじゃん!……毎日テニラビやらキャラソンやらで聞いてたら間違えるハズないよなぁ。
「………………」
「どうしたの?」
「えっあっ…なんでも、ない…よ」
これがテニラビバレンタインなの……?いや時期的にホワイトデー?すごいなぁ!マジで通話してるみたい!すごいすごーい…!
情報量ヤバ過ぎ…。嬉しさ半分驚嘆半分で感情ぐっちゃぐちゃんなるわ…。冷静になれ…自分。
「大丈夫?明日から来れそう?」
明日…来る……とは?
「えーと…何に?」
「学校にだけど…」
「あ、うん…多分来れると思う」
とりあえず適当に話合わせとこ…。
「そっか…急に倒れたって聞いて心配したよ」
え…思ったよりヤバいじゃん。私、病み上がりなの?新事実発覚。
「ごめんね心配かけちゃって!でも、もう大丈夫だから」
今、ちょー元気だし!ま、幸村くんの声聞いたおかげだけどネ!
あと…全て理解した。これはやっぱり……異世界転生だ!
ツー。ツー。
切れた電話の音を聞きながら余韻に浸る。はぁ…神の子から電話かかってくるとか最高過ぎない?いや初めてではないんですけどね?バレンタイン・ホワイトデー以外だと初じゃん?
とか言ってる場合ではなーいっ!そう…今流行りの異世界転生!しかも王子様達が住む世界に……。嘘やんって思うじゃん?違うンだわ。ガチなンだわ。
突如としてこの世界で生を受けて今日まで生きてきた記憶が蘇ったのだ。
その記憶によれば私は立海大附属中に通う中学3年生で男子テニス部のマネージャーをやっているらしい……。
いや散々見たことある設定!!!!!
テニプリの世界(夢小説)に転生したって考えるのが無難かね?だって誠に遺憾だけど私、車に轢かれて死んだし。
というか死に際まで「(不二くん…不二くん…)」って言ってたのに青学じゃないんだ。しかも夢で出てきた日吉…いや若くんと侑士…いや…えっと…侑士と榊監督…いや太郎がいる氷帝でもないんだ。もうよくわかんねぇや。
どの学校に通いたい?って聞かれたら「氷帝!(お金持ちの学校だから)」と答えていたにも関わらず立海か…。いや、別にどの学校でもいいんですけどね!神に感謝!アーメン!!!
えっ…私が立海大附属に通う中学3年生……?
「シャアァッ!!!」
立ち上がって雄叫びを上げる。
「アハハ…アーハッハッハ!勝ったァ!」
ヒュー!最高じゃねーの!?だってさ…王子様達とキラキラな青春送れちゃうってことでしょ!あー!死んでよかったかもしんない!不謹慎だけども!テンション爆上がりしちゃう〜!
さ、とりあえず前世のことは置いといて今世のことを思い出していくかな。
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