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「敵対組織だね」
僕がそう言うと、
空気がピリッと張り詰めた。
「……どこだ」
蒼真の声。
完全に“狩る側”の声だ。
⸻
「落ち着きなよ」
僕は軽く笑う。
「焦ると余計に見失うよ?」
「……っ」
「それに——」
少しだけ、楽しくなってきた。
⸻
「その子、たぶんもう懐いてるよ」
「……は?」
一瞬で睨まれる。
でも僕は気にしない。
⸻
「だってさ」
僕は指で机をトントン叩く。
「君、過保護すぎたでしょ」
「……」
「怖がられてたよ、あの子」
⸻
蒼真の目が、ほんの一瞬だけ揺れた。
ああ、図星だ。
⸻
「だからね」
僕はゆっくり立ち上がる。
「優しくされたら、そっち行くに決まってる」
⸻
(そして——)
僕は確信していた。
あの子は今、
安心できる場所にいる。
⸻
「取り返すの、簡単じゃないよ?」
わざと楽しそうに言う。
「……関係ない」
蒼真は即答した。
「俺のだ」
⸻
(あーあ)
僕は小さくため息をつく。
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「“物”じゃないんだけどねぇ」
⸻
でも、口には出さない。
言っても無駄だから。
⸻
その代わりに、僕は歩き出した。
「どこ行く」
「ちょっと散歩」
振り返らずに答える。
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「様子見だよ」
「?」
「どんな子に拾われたのか、気になるじゃないか」
⸻
廊下の奥へ進みながら、僕は笑った。
⸻
(さて)
君はどんな顔で、あの子を抱いているんだろうね。
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そして小さく呟く。
「——壊すか、奪うか」
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「どっちがいいかな」