テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
僕side
あれから数時間。
組織の一室。
ソファに座る僕の腕の中で、
赤ちゃんオオカミはすっかり眠っていた。
「……ほんとに懐いたな」
小さく呟く。
最初は震えてたのに、今は——
僕の服、しっかり掴んでる。
「離す気ゼロじゃん」
思わず苦笑する。
⸻
「名前、どうする?」
横から声がした。
「……そうだね」
少し考える。
でも——
「本人に聞くのが一番でしょ」
そう言った瞬間。
「……ん……」
腕の中で、もぞっと動いた。
⸻
「……にぃ……」
寝ぼけた声。
ぎゅっと、さらにしがみついてくる。
「……」
(やっぱり、兄がいる)
しかもかなり依存してるタイプ。
⸻
「……蒼真、か」
ぽつりと呟く。
クォーツ組織の幹部。
そしてこの子の兄。
「……」
胸の奥が、少しだけざわついた。
(返すべき?)
普通に考えればそうだ。
敵対組織の人間。
しかも幹部の身内。
価値で言えば——最悪レベル。
⸻
でも。
「……やだ……」
小さな声。
目も開けないまま、首を横に振る。
「……ここ、いる……」
⸻
「……」
完全に拒否。
しかも無意識。
514