サイド ルネ
キノが背負っていた人に女の子の面影があった。
確かめようと顔を見ていたら、急に起きて悲鳴を上げるし、シツレーな子になったなって思った。
その子はフジイ キリって名乗った。巻き込まれた人の名前はフジイ ミヤビ。間違いないだろう。
……俺はチラリとキノを見た。兄弟姉妹間でも、似てる似てないの差がすごいあったからねぇ。
キリちゃんはまだ姉が死んだ原因の人を恨んでいるだろうか。ダイキはダイチを殺した(と思っている)人を憎んでいるだろうか。もし、そうなら最悪だ。
だけど、この団のことを下手に調べられても困るし……なら、なるべく余計なことを知られないように制御しよう。誰にも、気付かれないように。
キノが命日だと話す前にキリちゃんをモンダイジ団に誘った。
ユメちゃんが死んじゃう気がすると言って余計なことを考えさせないようにした。
屋上に先回りしたのは、保険のつもりだったんだけど、ホントに結果オーライだったなぁ。
嘘を書いたマオの住所を渡した。
マオにダイチの墓参りに行くなって伝えたのも、全部三年前のことを話させないため。
……まぁ、もう全部水の泡になったけれどね。
これが、俺の話せる全てだよ。
「……俺は、信じないぞ」
マオがそう低い声で言う。
「別に信じなくてもいいけどさぁ、『真実』も信じなければ『嘘』になるってこと、マオが一番よく知っているんじゃないの?」
マオはグッと言葉に詰まった。……まぁ、それもそうか。
「長くなったけど、これがモンダイジ団の三年前の話だよ。何か質問有る人、いる?」
俺はそう言ってグルリとあたりを見回した。
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