テラーノベル
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二つに分かれている道の前に立ち止まり、話し合ってから進む。
まずは国境に行きたいけど、どこに向かっているのか分からない。
グリーンホライズンの王子であるレト。
彼は自国を旅してきたみたいだから、何か知っていそうだ。
でも、この道がどこに続いているのか教えてくれなかった。
「足の裏が痛くなってきた……。
普段からこんなに歩いてなかったから……」
三ヶ月後に、この世界で再び始まる戦争。
時間がないから、急ぎ足で進みたいのに、もう疲れてしまっている。
体力も元の世界にいた時の自分と変わらないようだ。
「明るいうちに野宿の準備をしようか」
「私は外で寝たことがなくて……。
どんな感じなんだろう……」
「かけらの住んでいる場所は、野宿をしなくていいんだね。
僕は旅をしてきたから、こういうのには慣れているんだ。
準備するから待っていて」
「王子に準備させるのは申し訳ないよ」
「気にしなくていいよ。
馬、こっちに来てくれ」
手を叩いて合図を送った後、馬が急いでここにやって来る。
どうやら、この近くにいたようだ。
レトは、馬の背中に乗せていた荷物入れから寝袋を取り出して、地面に広げた。
そして、その近くに焚き火を作る。
あまりにも手際が良くて、私が手伝えるところがなかった。
「食べ物が袋に入っているから、それを出して……。
あれ? ジャガがいっぱい入っている。
もしかして、ジイがこっそり持たせてくれたのかな……。
おかげで、食料はしばらく大丈夫そうだ。
でも今、取りたかったのはこっちで……」
次に取り出したのは、手の平くらいの大きさの小袋だった。
中に何かがぎっしり入っているのか、膨らんで見える。
「これはかけらの分。
村を出てからベリーを摘んでいたんだ。好きな時に食べて」
小袋を開けて中身を確認すると、ビー玉くらいの大きさで青紫色をした果物がいくつも入っていた。
袋を開けた瞬間にほんのりと甘い香りが漂ってきて、見た目はブルーベリーに似ている。
レトには申し訳ないけど、このベリーはジャガ煮より食べやすそうだ。
「貴重な食料を私にくれるなんて、レトは親切な人だね」
「一人で旅をしている間、大変な思いをしている人をたくさん見掛けてきたから。
困っている人を助けるのは、当たり前のようなものだよ」
きっと、私もその一人だったんだろう。
何か理由があったわけではなく、レトにとったら当たり前だったから助けた。ただ、それだけ……。
初めて会った時に“かけらは特別だから”っと言われて、嬉しくなった自分が恥ずかしくなる。
野宿の準備ができてから、レトはジャガ煮を作ってくれた。
今回も不味いけど正直に伝えられなかった。
暖かい焚き火を見ながら、私たちはご飯の時間を楽しむ。
元の世界で食べていた料理の話、会社のこと、住んでいた家のこと……。
ちょっと話しただけでも、レトは興味を持つのか次々と質問してくる。
そうしているうちに、あっという間に日が暮れていった。
「かけらにとっては、色んなことがあって疲れてるよね。そろそろ休もう」
「うん。そうさせてもらうね。
えーっと……、野宿する時って草の上で寝た方がいいかな?」
「いいや、かけらは寝袋を使って。
僕の使っていた物で嫌だと思うけど……。
土の上に寝るよりはマシだと思うから」
「じゃあ、レトはどうするの?」
「僕は何も敷かずに寝る」
「王子なんだから、それはだめだって」
「いや、王子とか関係ないよ。
一人だけいい寝床を使うわけにはいかない」
肩に触れてきたレトは、私を押して寝袋の前へと誘導する。
少しだけ抵抗してみると、強い力で止められた。
恐らく、拒否するなということなんだろう。
レトが使ってきた寝袋を私が使っていいのかな……。
緊張しながらも靴を脱いで、まずは座ってみる。
地面に直接敷かれている上に、生地が薄いからひんやり冷たさを感じるけど、体を休めるには十分だ。
でも、王子に土の上で寝せるのは、どうしても申し訳なく思える。
「やっぱりレトがここで寝て。
風邪を引いたら国の皆が心配するから」
「いいや、かけらがそこで眠るんだ」
「ううん。私は大丈夫だから」
「まったく。かけらは……――」
靴を脱いで寝袋に上るレト。
やっとここで寝る気になってくれたかと思っていたら、隣に腰を下ろし、また私の肩に触れてくる。
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