コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「今日ぐらい遊んだっていいじゃないか」
そう言って笑う君の顔はとても辛そうで、とても……
彼は今日死ぬ
病気でもなんでもない
ただの呪いだ
誰がその呪いをかけたのか、どんな呪いなのか、分かる人はいない
ではなぜ彼が今日死ぬと言うことがわかるのか……
彼の勘だ
全く笑える
なにが勘だ
苛立ちながらも子供達や数多い友人たちと楽しそうに遊んでいる彼の方を見ていると何故だか涙が出てきてしまった
私は彼が嫌いだ
とっても。
視界に入るだけで腹が立つ
それに彼と私は正反対の性格をしていて、相性が全く良くない
一緒に過ごしたのもたったの一ヶ月だ
なのに何故泣いているのか
決して悲しいわけじゃない。
悲しいわけじゃないんだ…
あぁ、止まらない
ここから離れないと
私は早足で人通りの少ないところへ行った
路地裏へ入り、頭を勢いよくぶつける
いたい。
それでも涙は溢れるばかり
『ああっ!!くそっ!!!』
後ろから、人の気配がした
というか、さっきからしていた
見なくてもわかる
彼だ
長年過ごしてきた友達を置いて泣いている私のところへ来るなんて、なんて趣味の悪い
『なに』
彼に背を向け問う
「俺のために泣いてくれてるのか?ん?笑 」
ほんとイライラする
『なんであんたなんかのために泣かなきゃいけないの』
嫌いだ
『てか、なんで私のところに来たのよ』
『早くお友達のところに戻りなさいよ』
「えぇー、どうして?」
「俺はお前に会いたくてついてきたのに〜」
プチンッ
何かが切れる音がした
そして次の瞬間、私は彼の頬を叩いていた
涙でぐちゃぐちゃになった顔で
『ふざけなさいよ!』
『私がどんな気持ちで、今ここにいると思ってんの!?』
『なのにあんたはヘラヘラ笑ってさ!』
『こっちの気持ちを少しでも考えたらどうなの?』
「……ごめんなぁ笑」
『被害者ヅラしてんじゃないわよ、』
『だから嫌いなのよ』
あぁ、止まらない。
全てが溢れてきちゃう
こんなこと言いたいんじゃないの
ごめんね。ありがとう。
そんな優しい言葉が言いたいの
愛してるって、
出会った時から、ずっと……
貴方がいなくなるなんて嫌よ
私には耐えられない
いかないで、いかないでよ
私を見て
あぁ、でも全部私のせい
貴方となんて出会わなければよかったのに
『貴方となんて出会わなければよかったのに』
「…………流石に傷つくぞ」
『えっ、あ、ごめん、違うの今のは…』
ここで嘘をついたら貴方は後悔するかしら
そんなことしてはダメよ。
なんて、頭ではわかっていてもうまくいかないもので口に出してしまった
『いや、違わないわ』
『あんたなんかに出会わなければ私も自由気ままに生きれたのよ』
『そう、全部あんたのせいよ!』
『全部全部、』
『あんたが勝手に私の呪いを貰ったのが悪いのよ』
あぁ、そんな顔しないで
『私が気づかないとでも思った?』
『気づくに決まってるでしょ』
『魔力も簡単に使えて、血も吐かなくなって、息苦しさもなかった』
『確かにその前日に実験してたからほんとに治ったのかと嬉しかった』
『でも、違和感がずっと残ってるの何かわからない違和感が』
『それでも気づかないふりをしてた』
『だんだん、確信が湧いてくるの』
『どれだけ私が絶望したかわかる??』
『私はこんなの望んでなかった』
『どうしてこんなことしたのよ泣』
「……サユに生きて欲しかったから」
「サユを、愛してるから」
『っ、だったらなんで尚更……』
『私はこんなこと望んでない』
『あんたは本当に私の事をわかってない。』
『あんたに生きて欲しいのはこっちのセリフよなのよ』
『あんたを愛してるのも………泣』
『言うのが遅いのよ…』
『あんたも私の想いに気づいてたはずよ。なのに気付かないふりをした』
『もっと早く言ってくれれば、私もこの問題を一緒に解決しようとした』
『私って、そんな頼りない存在?』
「…………」
そう言う私に彼は悲しそうに困ったように微笑んだ
あぁ、悔しい
彼にこんな顔をさせてしまうのも、素直に言葉にできないのも、全部全部
こんな自分が嫌になる
でもそれも今日で終わり。
あぁ、そんなの嫌だ
まだ彼といたい
彼に触れたい
「ねぇ………………いかないで」
私は縋るように彼に寄って行った
「ライのいない世界なんて嫌よ」
「おいてかないで、私も連れてって」
「おねがいよライ」
「おねがい、」
「ごめん……」
「………………」
「ねぇサユ」
「一生のお願い。ずっと俺だけを見てて」
「……泣」
その言葉はまるで呪いのよう
私は何も答えずただただ涙を流し、手に力を加えるばかり
「サユ、愛してる」
そう言い、私たち抱き合いながら唇を重ねた
最初で最後のキスだった
彼は、消えていく
呪いによって死ぬ者はなにも残らない
私は彼のいないただの服を抱き、塵となって彼の後を追うようにして闇の中へ帰る
あぁ、思い出した
呪いなのは私自身
人に模し、彼に恋をし、呪いが移ってしまった
そのことに彼は気づいていた
気づいても尚知らないふりをした
そして最期、彼は私に呪いをかけた
「俺だけを愛せ」
そんなちんけな「愛」という呪いを
やっぱり嫌いだ
気づきながら私を仲間に入れて
私に世界を、仲間を、愛を教えて
沢山のものを一方的に与えておいて自分だけいなくなる
でも何よりも
その幸せに浸って真実を見つけられない私が
一番大っ嫌い
200年後
「今日くらい遊んだっていいじゃないか」
そうして時は何度も廻り、2人は出会った
だがその人生に幸せがやってくるのか不幸がやってくるのか、はたまた出会えすらしないのか、、、
それはきっと誰にもわからない
唯一知っているのは呪いだけだろう