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#莉犬くん
#異世界転移
花月夜れん
2,421
あおにゃん
64
彼女は体をバストが美しく見えるようにぐいっと前に突き出るように背をそらせ、想像上であたかもカメラがそこにあるように芝居臭く視線を泳がせた
しかし、自分がお色気を振りまかれているなど、てんで気づかない鈍い竜馬に、ジャステインが救いの手を差し伸べた
「あーすいません・・・コイツ、TVとか見ないし、世間に疎いんです」
ジャスティンはこの女優の手を、まるで壊れ物に触るかのようにうやうやしく取って、手の甲にキスをした
「それにまだ子供で、あなたの美しさには気づいていないんですよ・・・レディルビー・・・」
女優はすっかり良い気分になって、にっこり微笑み、優雅な女を気取った、キラキラのビジューのバッグから金のシガーケースを出し・・・細身のタバコを1本口にくわえる、すかさずジャステインがテーブルに片手をつき、彼女に覆いかぶさるようにそのタバコに火を付けた・・・それがまるで映画のワンシーンのようで、二人は異次元レベルに美しかった・・・そして女優は竜馬の作ったカクテルを一口飲んで言った
「このカクテルが気に入ったわ、「もういい」と言うまできっかり30分ごとに、これを持って来てちょうだい」
ルビーは魅惑的に竜馬に微笑んだ、竜馬はあっけにとられ、ディーラーのジャスティンと女優を交互に見た、ジャスティンが例のごとく目で訴えかけてくる
―いいから言う通りにしろ―
と命じている
「何か問題でも?」
ルビーは眉をひそめて竜馬を見つめた、竜馬はもじもじして言った
「ええっと・・・すいません、僕・・・時計を持ってないんで・・・時間がわからないんです・・・」
困っている竜馬を見て、ルビーがコロコロ笑った
「あなた可愛いわ、手を出して」
竜馬は目を丸くした
「え?」
「手を出しなさいと言ってるのよ」
彼女が繰り返した、どうしたものかと考えたが、竜馬は言われるがまま手を出した、すると彼女は自分が付けていたカルチェの腕時計を外し、竜馬の手首にはめた
「手首も華奢なのねぇ~」
ホホホホとルビーが笑って竜馬の手首を掴んで撫でまわした、その時計は回りにダイヤモンドがちりばめられハイテク機能が装備されて、見るからに高級な時計だった、長いベルトには彼女の肌のぬくもりがまだ残っていた、急に竜馬は心臓がドキドキしだした
「さぁ、これで、時間がハッキリわかるでしょ?その時計は人質よ、私のゲームが終わるまで持っていて」
他の椅子に座っている女性が腹立だし気に言った
「ちょっとっ!ゲームを続けてよ!」
アクセントの強い英語訛りのその女性は、いかにも気を悪くしてジャスティンを睨む、ルビーはその女性の言葉など、どこ吹く風とばかりに平然とカクテルを飲んでいるが、ジャスティンのテーブルは今やルビーの出現で一触即発の空気をはらんでいる
ここに女優のルビーが来ていると聞きつけた見物人が、チラホラとジャスティンのテーブルに集まって来ていた
「さぁっ!お美しい皆さん!次の勝負の準備はできていますか?」
ジャスティンが明るくパンッと手を鳴らして仕切り直しのカードを見事な手さばきで切った、竜馬はさっき掴まれた手の感覚を思い出してドキドキしながら、カウンターの後ろに引っ込んで、荒くなる呼吸を整えた
腕時計にチラリと目をやる・・・確かにこの時計は逸品だ・・・このブランドでこのクラスの時計を買うには、ひと財産が必要だと聞いたことがある、彼女がこの時計をはめてくれる前に、どんなふうに自分を見たかを思い出すと、なぜかドキドキして体に熱いモノが走る気がした・・・
そしてきっかり30分後、竜馬はルビーの傍に行った、彼女の視線から避けるように頬を染めて、目線を落とし、彼女の美しい丸出しの背中をなるべく見ないように、新しい飲み物をテーブルのコースターの上に置いて、ほぼ空になっているグラスをそっと取り上げ、トレーに置いた
その時、ルビーが竜馬をもっとよく見ようと、じっと顔を見つめてくる
「ありがとう」
獲物を狙う野獣のような光が、チラリとルビーの目をよぎる
「次は15分後にお願い!」
ルビーはさっきより青ざめて見える賭けの勝負相手に、厳しい視線を戻した
「この勝負に勝ったら、その後はあなたのカウンターで、勝利の美酒に酔うとするわ」
ルビーは指を鳴らしてディーラーのジャスティンの気を引き、1万ドルのチップを切るように言った、いつの間にか真っ黒のスーツを着こなしたこのカジノの胴元チャックが、ジャスティンの横に立っていた
彼がここに立つということは、このテーブルで大勝負が始まる合図だった、胴元チャックはポケットから伝票を取り出し、何やらか書き込んでいる、すかさずジャスティンが巧みな指さばきで、自分の前の作り付けの引き出しから、黒と金のチップの山を取り出し、ルビーの前に積み上げた
ザワッと見物人に動揺が走った―竜馬は後ろでぽかんと口をあけた、こんなにたくさんのチップの山は、見たことがないぞと思った、そして対戦相手も、ジャステインも、これには目を丸くして驚いている
「また喉が渇いたわ・・・可愛い人、ダーリン♪」
ルビーは竜馬の作ったカクテルを一気に飲み干し、ウィンクしてグラスを竜馬に差し出した
「なな・・・なによ!そっちがそのつもりなら!こっちだって!!」
なんと先ほどジャスティン目当てでポーカーをしていたルビーの対戦相手の女性も、震える手で1万ドルのチップの山を中央に積ませた、こちらは明らかに額に汗をかき、頭に血を登らせている、一気にジャスティンの賭けテーブルが見物人で一杯になった
竜馬がどうしようとジャスティンの顔色を伺うと、彼はこの一番の大勝負を大いに楽しんでいた、竜馬も興奮が体を駆け巡っている、たった一晩でこんな大金がここでは動いている
「さぁ!皆さんお立合い!今宵は素晴らしいギャンブルの女神が微笑むのは、いったいどちらのレディでしょう?」
ジャスティンが芝居臭く見物人の注目を集めようとしている、竜馬が再びバーへ行ってカクテルを作ろうと、身体をくるりと回すと、ルビーが竜馬の二の腕に両手を巻き付けてきて、引き留めた
竜馬は心臓をドキドキさせながら、ルビーに腕を掴まれたままその場に一時停止した、大きな胸が腕にぐいぐい当たる
「やっぱりここにいて?可愛い人、近くにいてくれたら、それだけツキがまわってくるわ」
ルビーの片手が竜馬の太ももをまさぐっている・・・思わず竜馬の全身に鳥肌が立つ
「勝ったら私の部屋に来て、お祝いしてくれる?」
今や竜馬の腰に手を回しているルビーが放つ、強い香水の香りに身を浸しながら、竜馬は真っ赤になり、何も言えなくなった
「ああああ、あの・・・でも仕事が・・・」
ポーカーのスリルとはちがう汗が、どっと体に溢れる
「お客を喜ばすのも仕事のうちでしょう?」
「あと1分で時間切れです」
ジャスティンが言った
「勝負よ!!」
ルビーの対戦相手がいきまいてカードを中央に投げた、「フォーカード」・・・誰もが良い手だと思った、対戦相手の女性もフフンッと鼻を鳴らした、しかしルビーは自分の手を見直す必要もなかった、ポンとルビーもカードを緑色のフェルトのテーブルダイスに放った
―ストレート・フラッシュ―
ルビーの勝ちだ、群衆がみごとなルビーの手にワッと騒いだ
「ジャスティン♪この子貰っていくわよ!」
ガタンとルビーが立ち上がり、竜馬の腕をひっぱってズンズン進んで行く
「ええ?助けて!ジャスティン!」
ジャスティンは肩をすくめ、その横で胴元チャックがおそらく竜馬のレンタル料も加算して伝票を切るのを見届けた
ルビーにズルズル引きずって行かれる竜馬に
「達者でな」と胴元のチャックとジャスティンは手を振った
コメント
1件
うわー、148話、めっちゃカジノの熱気が伝わってくる回でしたね!ルビーの圧倒的な存在感と、それに振り回される竜馬の純粋な慌て方が対照的で印象的。高級時計を「人質」として手首にはめられるシーン、あのぬくもりにドキドキする竜馬の心情描写がすごく良かったです。ジャスティンとチャックが「達者でな」と手を振るラストも、彼の扱いが完全に決まってて笑っちゃいました。続き、ルビーに連れ去られた先がどうなるのか気になりますね!