シェアする
「………────うわあぁぁ…、!」
夢の中のぼんさんが何か言ったところで、ばっと目が覚めた。
自分の声のせいで何を言ったのかわからない。
「…、………………。」
目の前には散乱する睡眠薬。
ここはダイニングテーブル?
「っ……。」
頭痛が酷い。
ぼんやりと夢の内容を思い返しながら、昼間らしいカーテンの向こうを眺めた。
「……………、」
『ぼんさんの所に行きます。』
ふと、目についた。
こぼれたコップの水と、遺書。
走り書きの、自分の文字。
そうだ、俺は、
………死のうとしてたんだ。
そうだ。そうだ。そうだ。
ぼんさん。ぼんじゅうるさんは、もうここには、いない。
「……っあ、…あぁぁぁあ…、ぁ、あ、?」
心がからっぽになる。
そうだ。そうだよ。もういない。もういないんだ、ぼんさんは。
二人きりのユートピアは、やがて廃墟へと。
「ぁ………、あ……………、」
幸せな夢が見たい。
たとえそこに行けなくても。
もう二度と、あなたに触れることはできなくても。
また、眠りにつけば、幸せな夢を見られるだろうか。
「……………。」
なんて馬鹿なことを考えて、また1錠、薬を口の中に放り込んだ。