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……自殺とは、どんなに愚かなものか。



わかっている。


それでも「死」は、「救済」だった。


ふたりのための。

ふたりだけの。



ほら、古代の日本でも、死は救済だという信仰があったでしょう。

竹取物語のほんとうのテーマ。

あのひとは、月に帰ったかぐや姫。





「…………」


がんがんがんがん、痛む頭で目が覚める。


せめてベッドに行けばよかったな。

身体中バキバキだ。



ただ眠っていたい。

残念ながら、その願望を満たしてくれるものは、今は睡眠薬しかない。



「…………………なんか食べるか……」


そういえばお腹が空いているんだ、と、今やっと気がついた。



何日ぶりだろう。


そもそも、さっき一度起きてまた眠ってから、何日経っているのか、はたまた一時間も経過していないのかも分からない。



付きっぱなしのクーラー。

そんでなぜか、ブランケットにくるまっている。自分。


あーあ、電気代どうしよう。もう払う必要もなくなるからいいかなぁ、なんて、ぼんさん並みに無責任だけど。




冷えきった床にもこもこの靴下とスリッパでぺたりと足をつけて、数歩歩いて、その辺のカップラーメンを手に取る。



あいにく、自炊する気力はない。


「……………。」



お湯を注いで、蓋を閉じて。

あとさんぷん。待とうとした時、埃かぶったスマホが鳴いた。


「…………あれ」


おらふくんからのLINE。

怖いから、開けなかった。


その他にも、メンバーやスタッフから夥しい数の通知と不在着信が届いていた。


…………ぼんさん以外の。




「………ごめんなさい…………………。」


ぼんさんのいなくなったこの部屋は、こわいくらいに、広い。


もう耐えらんなくなっちゃった。


こんどは、こんどは、無期限活動休止。

やさしいみんななら、許してくれるよね。




何一つ既読をつけないままスマホの電源を切って、

既に7分が経過していたカップラーメンをずるずると啜った。



「……まず」



最後の晩餐がカップラーメンだなんて、笑えないだろ。

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