テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
『双子の名探偵は今日も嗤う』〜謎あるところに闇は生まれる〜2nd season
第1章 『閉ざされた部屋は何を語るか』
〜知恵と頭脳は紙一重〜
第2話 怪と疑
『この度はご冥福をお祈りします。早速で申し訳ございませんが、第一発見者は誰ですか?』
『わ、私です。』
1人のメイドが手を上げる。
『お名前を聞いても?』
『カオリです。旦那様を起こそうと、朝寝室に行ったら…既に首を吊られている状態でした。』
『なるほど…。すみません、ドナルド様の部屋の鍵は誰がお持ちですか?』
『旦那様は自分で鍵を持ってます。予備は奥様が管理を…。』
『そうですか…。』
コンコンッ。ガチャッ。
『失礼します。』
憲兵の方が入ってくる。
『ドナルド様の遺体を調べた結果ですが鍵はポケットに入っていました。指紋も綺麗に拭き取られていてロープにはドナルド様の指紋しか検出されませんでした。』
『麻里衣さん…。主人は自殺をするような方ではありません。』
『…えぇ。私も同じですよ。だって…。ドナルド様の爪が割れていましたもの。ロープを取ろうともがこうとしてくい込んで爪が割れ、血が滲んでいました。部屋は密室。ですが…これは間違いなく他殺です。』
『お願いします…。父さんを…父さんを殺した奴を必ず見つけてください!』
『えぇ。もちろんです。』
数時間後――。
『では、今から1人ずつ聴取を行います。奥様とご子息様は後ほどお呼び致します。ハナマル、ユーハン。』
『あぁ。2人は向こうの部屋で待っていてくれ。』
『え、えぇ…。』
『失礼します。』
バタンッ。
『では、第一発見者のカオリさん。貴方の話をまず聞かせてください。』
『っ、あの、私もしかして疑われるんですか…?』
カオリさんはビクビクと身体を震わせる。
『第一発見者だからと言って証拠もなく疑いませんよ私は。安心して下さい。』
『は、はい。』
『今朝の話をもう一度詳しく聞かせてください。』
私はメモを開く。
『は、はい。朝私は旦那様に目覚めのコーヒーと軽食を渡しています。そしていつもの時間、7時半に寝室に行くんです。でも、何度ノックをしても返事がないので…奥様の許可を取り、
予備の鍵を借りてドアを開けました。そしたら…旦那様が首を…。』
『鍵は奥様が?』
『はい。』
『…分かりました。それでは最後に奥様とドナルド様の関係は良好でしたか?』
『え…? 』
『夫婦の痴情のもつれというのはよくあることです。ドナルド様は東の大地の有力な貴族様、生々しい話になりますが財力もあると思います。遺産目的で犯行に及ぶこともありますから。』
『…っ。』
私は口を噤む。
『…大丈夫ですよ。私は仕事柄口は固いです。貴方が何を言おうと奥様や他の人に伝わることはありません。その為の聴取です。』
私は安心させるため、ニコッと微笑む。
『…良好とは言えませんでした。実は旦那様はご子息であるアリン様に…ずっと暴力を振るっていましたから。』
『!』
『跡継ぎである…アリン様に完璧な跡継ぎにする為…毎夜、指導をしているのです。暴力という…指導を。旦那様は完璧主義なお方で…ルールにも厳しいのです。機嫌がよろしい時はお優しいのですが、奥様やアリン様に対しては高圧的というか……。』
『貴方や他の使用人が暴力を振るわれたことは?』
『ありません。旦那様は奥様とアリン様にしか…。』
『家庭内暴力に虐待ですか……。つまり、カオリさんは奥様か、アリン様、どちらかだと…。』
『…はい。』
『分かりました。話してくれてありがとうございます。』
『サクラさん、貴方の知ってることを聞かせてください。』
『はい、話して…参考になるかは分かりませんが…。』
『大丈夫です。なんでも話してみてください。』
『はい。私、旦那様を殺したのはランさんだと思うんです。』
『ランさん…もうひとりのメイドの方ですよね?どうしてそう思うのですか?』
『ランさんは、旦那様から気に入られていたんです。気に入られていたと言っても嫌な方での意味です。旦那様から嫌がらせというか…その…。』
『…性的な嫌がらせですか?』
『…はい。ランさんから相談を受けていましたが私達ではどうすることも出来ず…。』
『ランさんには殺す動機があると…。』
『あくまで私の考えですから分かりませんが…。』
『ありがとうございます。』
『ランさん、単刀直入に失礼します。貴方はドナルド様に性的な嫌がらせを受けていましたか?』
『っ!どうして、それを…。カオリかサクラのどちらかですか?』
『お教えすることは出来ません、でもその反応はそうですね。』
『っ…はい。っ!もしかして、私疑われてるんですか!?』
『いいえ。私は証拠もなしに疑ったりしませんよ。ただ、貴方はドナルド様を殺す動機があります。』
『ち、違います!確かに不必要に触られたりしましたが、殺すまでは…っ。』
『落ち着いて下さい、私はまだ貴方が犯人と決めつけたわけではございませんから。』
『は、はい…。』
『他になにか知ってることはありますか?』
『知ってる、こと…。旦那様が奥様やアリン様に暴力を振るってることしか、私は…。』
『ドナルド様は暴力的な方だったんですね。』
『はい…私たち使用人には手出ししませんが奥様とアリン様には特に…。』
(やっぱりあの2人が必要に暴力を受けていた。でも顔や手にはアザは見られなかった。
だとしたら、見えないところに…。あまり故人のことを悪く言いたくは無いけれど、卑劣なことをする。)
一方その頃――。
『お姉ちゃん大丈夫かな…。』
別室で私達3人と屋敷の人達と一緒にソファに座る。
『主様なら大丈夫です。きっとこの事件を解決してくれます。』
『そうそう。主様は名探偵だからな。』
コンコンッ。ガチャッ。
『お待たせしました。奥様、こちらへ。』
『は、はい。』
『『……。』』
ハナマルとユーハンが私を見つめる。
ハナマルは仮面は外さないのかと言いたげに私を見つめ自分の瞳の目頭を叩く。
私はしーっと唇に指を当てた。
『まだ見せるには早い。』
そう聞こえるように答えた。
『奥様、ドナルド様に暴力を受けていたとお聞きしました。実際にはどのようなことをされましたか?』
『っ…メイドから、聞かれたんですね。』
『申し訳ございません。』
『いえ、事実ですから…。主人からは毎日のように…。』
『……失礼します。』
グイッ!
私は奥様の袖をめくる。
『あっ!』
そこには痛々しい痣が。
『…酷い――。』
『…私はいいのです。このようなことをされて当然ですから。』
『……?それは一体…?』
『……。』
それ以上は何も教えてくれなかった。
『ご子息様、貴方はドナルド様に虐待を受けていたそうですが…。』
『…。母さんから聞いたんですか。』
『…それは言えません。』
『…父さんから俺は完璧な跡継ぎになる為に、沢山指導されました。社交界でのマナー、勉学、交渉術、会計学…跡を継ぐために必要なことは全て。そして出来が悪いと……。』
『……。貴方と、奥様にはドナルド様を殺す動機があります。』
『!!俺が父さんを……?』
『あくまで私の考察ですから。お気を悪くされたのなら謝罪しますわ。』
私は頭を下げる。
(仮面を外して嘘か真かを見抜くのは簡単。でも、まだその時じゃないわ。まぁこの仮面を見て気にならない訳がないけれど。)
全員の聴取が終わり、事件が解決するまで私達はお屋敷に滞在することに。
私達に案内された部屋
『何か隠し事をしてるような気がしたのよね…。ご子息様。』
『主様はあの2人のどちらかが怪しいと思ってるのか?』
『えぇ。話を聞く以上動機があって濃厚なのはあの2人なのよ。でも、なにかひっかかるのよ…。』
(違和感というか……。)
と、その時だった。
コンコンッ。
『はい、どなたですか?』
『麻里衣様、私です。カオリです。』
ガチャッ。
『夜分に申し訳ございません…。実は、話してないことが……。少し前まで話を聞いていました。申し訳ございません。それに関しての話です。』
『何か知ってるんですか?』
『っ、実は――隠し事をしてるのは奥様の方です。』
『え……?』
次回
第3話 虚と嘘
コメント
4件
1stseason?読んでから楽しみに待ってたんです!面白かったです!

天樹
313